第26話 呪術師と試射場
よろず屋スミスでは楽しいお買い物のひと時を過ごせた。
ジャベリンは予備兼サブウェポンとなり、何より
練習用の杖は街中での護身具としても使えるかな?
格好いいブーツも買えた、今迄は森歩きの為に靴に手製の
弓も一張、複合素材の長弓で矢は24本買った。
甲矢乙矢があるのかと思ったら矢羽は鳥の羽根じゃないらしい。
素材は何かと聞いたら企業秘密だと不敵に笑われた、きっとファンタジー素材に違いない。
矢羽を良く見ると微妙に螺旋状に付いていて飛ぶと右回りに統一されている、前世のお気に入りのリボルバーと同じだ。
ジャベリンにしろ弓矢にしろ新兵器を揃えたと浮かれてばかりもいられない、超嬉しいけどね。
何を言いたいかと言うと練習しないと実戦投入なんか出来ませんって事ですよ。
練習場は当たりを付けてる、と言うか
100メートルもある試射場とか豪勢ですなぁ、道理で北部の外れにあるわけですよ。
それ以上の距離は街の外で自主トレするんだそうな。
って言うか狙って当たる距離なの?って聞いたらスキル持ちは平気で当ててくるらしい。
初心者なら、まず30メートルを目安に当てられる様に練習し始めるのが一般的らしい。
素で60メートルを当てられるなら上等な部類なんだそうな。
ちなみにスキルの生え方は個人差があるものの
呪術師は60目指して練習あるのみですな。
練習してるとおやっさんとジョバンニが時々アドバイスと言う名のイジリにやって来る。
アドバイス自体は文字通り的を射ているので助かるんだが、一射毎に拍手されたり溜息つかれたりするのは少々居た堪れない。
筋はいい、と言うか当て勘がいいとは褒められた。
調子に乗っていいかな?
ジャベリンと練習用の杖を投げ比べてみた。
素で投げてみても
素で投げても30は届くんだけど
60は放物線を描いてギリ届く感じかな、集団戦でも無い限り牽制にしかならないかなぁ。
そんな新兵器にギャラリー達は興味津々だ。
貸してあげたら、俺が
って言うか、おやっさんは翌日にはシレッと自分用の杖を入手してて投げたり振ったりしてた。
その次の日くらいだったかな?実際に護身具として優秀だったとか言ってたけど、どっかで使う機会でもあったんか?物騒な話だ。
但し精密性に欠けるかなぁ、何なら飛ばさないで0距離鈍器としても使えるから汎用性はピカイチなんだけどね。
3日もしたら注文してた鉄礫が仕上がっていた。
オッサンは性能を確認したいからと試射場に付いてきた。
それ以上の距離は
自らも投げてみて結果を興味深そうに考察してたオッサンに1つ提案してみた。
弓に照準器を付けられないかと。
丸い枠の中に印を刻んだ細い棒を生やした様なアレだ。
長弓を使うのは生粋の
翌日には試作品を仕上げて来たのには驚いた。
それからは調整だ何だと店を早仕舞いして試射場にチョイチョイ来る様になった。
その頃あたりからオッサンにおやっさんやジョバンニ達と晩飯を食いに行く様になった。
酒も入るのでアレやコレやと好き勝手な話題で盛り上がったりで随分と仲も良くなった。
おやっさんとジョバンニは所帯持ちだから6日に1遍くらいのペースだったけどね。
そんな感じで朝起きて槍の修練、日中は試射場で練習して夜は飲みにいったり干し肉作ったり酒作ったりの生活が続いた。
肉屋で売ってるのは
色んな
しょっちゅう燻煙とかしてたから宿屋の人には変人に見られてたかも知れない。
そんな生活も二十日も超えてくると
友好的な奴、気難しい奴、真面目な奴、ちゃらけた奴、色んなのが居たが共通してたのは総じて職人気質な一面を持ってる事だろう。
俺の練習を見ても賛否両論だ。
アレコレ手を出さずに弓に集中すべきだと主張する奴も居れば、興味深そうに見てたと思ったら次会った時には買い揃えてる奴もいたりと中々にカオスだった。
中でもブーム到来と言えたのが弓の照準器だ。
やれこんなのは初心者の気休めだとか、意外と使えるとか議論を呼んだ。
気づけば付けてる派、丸枠を外して棒だけ付けてる派、付けない派と派閥ができていた。
付けない派の弓にも本体にコッソリと狙いをつける印が付いていたのは見なかった事にしておこう。
その頃には弓で60メートルを外さなくなっていた。
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