第20話 呪術師と裏通りの道具屋
特に縛りも無いようだし何より押し付けがましさの欠片もないのが俺好みだ。
よし!ボク、
と言うわけで残り5回ほど今回と同程度のクオリティで納品しなくてはならない。
その為には
防具もいい加減キチンとしたのを装備したい。
と言うわけで昨日も今日も武器屋を見て回ったがティンッてくる武器が中々無かった。
かと言って武具以外にも細々とした道具も必須だ。
丈夫な紐に着火道具や鍋なんかも欲しい。
今迄も煮炊きはしたかったんだけど土器の自作はハードルが高い、もっぱら竹筒や何かの葉っぱの蒸し焼きまでだった。
そんな考え事をしていたら
まだ来たことの無い通りだったが丁度よく道具屋があった。
――よろず屋スミス――
看板にはそう書いてあった。
こぢんまりとした店構えだが北部で開いてる店だから日常生活品と言うより冒険者とか
店に入るとカウンターには何か作業をしてるオッサンがいた。
「らっしゃい……」
作業の手を止めずに、半ば上の空で挨拶してくる。
こちらも邪魔する気も無いので、大人しく店内を見て回る。
紐も太さ違いで置いてあるのは助かる。
ちょっとした金具や杖に棹、各種薬品に保存食、火口箱にランタン・松明、テントにタープ等など。
キャンプ用品店の様な豊富な品揃え、それこそじっくり見てたら日が暮れてしまいそうだ。
各種ポーチや背嚢、ブーツなんかも置いてある。
その奥のトルソーには革製のジャケットが掛かっている。
各部位には補強が入っていて丈夫そうだ……というかコレは隠しポケットになってて中にプレートが入ってるのか。
傷んだり用途に合わせたりでプレートが交換できる様になってるのか、よく出来てるなぁ。
ココまで来ると動きやすい鎧って感じだな、後で試着させてもらおう。
同じコンセプトなのだろう、プレートが交換できるチャップスの様なズボンも置いてあった。
帯革と一体になってるポケットが沢山付いてるベストなんかも使い勝手が良さそうだなぁ。
俺の場合は闇の世界があるから要らないって言えばそうなんだけど、“多機能”とか“機能性”を前面に出したデザインは心惹かれるモノがありますよん。
ほうほう、マチェーテやハチェットにナイフ各種なんかも置いてある。
やっぱりゴブリン製とは違って造りがシッカリしてるなぁ。
刃物類で突き当たりかと思ったら曲がり角になっていた、奥も覗くと……え?武器まで扱ってんの!?
トンファー、ヌンチャク、鎖分銅、鎖鎌、鈎手甲、プッシュダガー、カランビットナイフ、ナックルダスター、ジャマダハル、兜割り、契木、十手、鉄扇……
面白武器コーナーかな?長物はもっと奥か、槍は無いのか?
「なんじゃい、武器を探してるのか?ウチには普通の剣は置いとりゃせんぞ」
作業が終わったのか店主が近づいて話し掛けてきた。
背の低いオッサンだ。
「奥に見えてる長物に興味がありましてね、槍を探してるんですよ」
「剣じゃなくて槍なのか?」
「剣とかちゃんと振れる様になるまで結構な修練が必要じゃないですか、別に槍が簡単だとは言いませんけど付け焼き刃でもある程度形になりやすいかと」
「今日日、ちゃんと振れる奴も少ないけどな。大体がスキル頼みで戦うのが主流になっちまったからのぅ」
「スキル……ですか?」
スキル、そう言うのもあるのか。
「なんじゃ?近接職じゃないのか?」
「こう見えても闇術使いなんですよ」
呪術師だとウケが悪いからね。
「闇術?……また古臭い言い回しだな。まぁ闇魔術師なら槍の1つも持ちたくなる、か」
そうだった、属性魔術だと闇魔術って言うんだったっけ。
ちなみに属性魔術は地水風火光闇に分類される。
「どうにも決定打に掛けてましてね……それにしても色々ありますね、これは片鎌槍じゃないですか」
30センチ程の穂先を含めた全長2メートル強の槍は先端に向かい湾曲した15センチくらいの枝刃が生えている。
「ほう、良く知ってるな。バランスにクセはあるが、突いても枝刃で止まるから刺さり過ぎることも無い。それにスキルに頼らずに技術だけで槍を扱うなら、まずは振ることから覚えた方がよい。“剣は突くもの、槍は叩くもの”と言ってな、技術が身につく前に突く事に拘って戦術を狭めるよりも技が荒くても振り回せる方が生き残れる。普通の槍よりも先端が少し重くて降るのに力が乗る、振りが良ければ自然と枝刃で斬れる。言ってみれば
そんな説明聞いたら欲しくなっちゃうじゃないの。
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