第9話 龍哉の気持ち~龍哉視点~
洋一が俺の封印されていたトイレの中にあった結界を解いてくれたおかげで再び現世に戻ってこれてから暫くしてからの話。
「やっと帰ってこれたかー?ふぃ~~~、あー長かったぁ~。」
洋一。俺はこの世界に帰ってきて一人目に出会った人間だ。この廃棄ガスやら何かの工場の臭い、相変わらずうるさい車の音。でも久々の空気を吸えたのも洋一のおかげだ。
ただこの約18年は長かった。向こうの世界じゃー勇者の仲間だとかでチヤホヤされて、うぜぇったらありゃーしねぇ。まぁ、向こうには不思議な力があるみてーでよ?こっちに帰ってこれた時の事を考えて英雄様特権で成長を止める薬を飲みまくった。
「あんの、クソ女神が嘘をついていなければよっ!あんな封印しやがって、そもそも帰す気ねーんじゃなかったのか!?」
でもよ?悪い思い出ばかりじゃーねぇ。向こうには魔王っつーやべぇやつもいたしよー。魔王チームと勇者チームがタッグ組んでクソ女神に一発強烈なのを食らわしてやったっつーわけよ。最後に魔王の娘…。なんつー名前だったかな…。たしかスルト??変な名前だったよなー。あのガキなんか、泣きながら手をふってくれてたっけな!
「ぷふ!!あのガキ、のじゃのじゃうるせぇーガキだったけど、やたら可愛い子だったよな。そう!父性本能をくすぐられたっつーかな」
いずれ結婚するであろうあの魔王の娘の婿さんが見てみてぇーもんだ。そう考えながら、やっと帰ってきた現世を見ると凄く落ち着く。日本なんだなぁ~と。でも、この居なかった時間、色々変わった事があった。
「つか、街並みも全て変わりやがって。たったの18年くらいでこんなに変わりやがるか?フツー。携帯電話はスマホだ?なんだそれ?!俺の時代はパカパカだぞ!よくまぁ薄っぺらい板に変わったもんだよな。壊れないのか?あれ…」
一人事をぶつくさ言ってるけど…。気にするな。俺は、昔の同僚を探し回っていた。皆、俺の姿見ればぜってー驚くだろうな。だって、一人だけ年取ってねぇから。
数日間、聞き込み回った。異世界に行く前の俺は色々な意味で、善くも悪くも名前が広まっていた。一応、カラーギャングのリーダーもやっていたからな…。
探していると数人、昔世話なったり、世話をした人に会えた…。一人は隣街で不動産業をやり始めた知り合いだった。
「えっ…!?龍哉の子供か?!」
「いや、だから言ってるべ?!俺が龍哉だって!しっかし、カズは老けたなぁ~!あんだけ一番童顔だったのによ!」
「うるせーぞっ!でも間違いなくその口の悪さは龍哉そっくりだな!」
カズは驚きながらも、俺をまじまじ見ている。まぁ、昔と変わらない姿の俺が居るんだから当たり前だけどよ。
「でもよ?んなもん信じられっか?!でもよ~龍哉まんまだよな!?どうなってんだよ!?」
「色々あったんよ!」
俺はカズに説明した。夢の中でそれはそれは、美しい~女神さんが現れて、選ばれた者だから、こっちに来いって。着いていけば、そこはゲームみたいな世界だったってわけ。最初は魔王や魔族に困っているから始末するのに力を貸してほしいって言うから力かしてたら、逆だったわけよ!
女神や天使がその世界を支配したいからって、優しい魔族を殺戮しやがっていた。俺は弱いモン虐めしている女神に反発したら、現世の帰るための道を閉じられちまったってわけよ。帰るために色々頑張って、帰り方分かったら、戻れなくなっていて~、それを救ってくれたのが洋一って奴だったわけよ。
「お前がゲームの世界に!?すんげーぇ、笑えるべ!」
「だべぇ~!?」
色々と話をしていた、懐かしくもすげー盛り上がった。最後に、カズは昔、俺に世話なったからってマンションの物件を一つ提供してくれた。後、ここのオーナーは昔、俺が暴力団から助けた二回りも違う青年だった。何かの縁なんか?あー、ちなみにその青年、今ではオッサンな。
そして、次に出会ったのが、俺の昔の担任だった。カズの話を聞けば俺が行方不明なって、一番心配してくれたらしい。捜索にも協力してくれたりな。高校行ってた頃は~、虐めっ子を成敗していたり、チンピラに絡まれている担任を救ったりしていたからかもしれねぇ…。んで、今はこの街で校長先生をやっているってな。丁度、会ったのが洋一が一人、泣きながら帰り道を帰る姿を見た時だった。何か縁を感じた。まさか俺の元担任が校長をやっている学校から出てきたんだから。んで担任と話すと。
「そんな事が!信じられませんが…。いや、信じるしか…」
「カズから聞いたよ。探してくれていたんだってな…」
俺は、カズに話をした内容と同じ事を、包み隠さず話をした。昔の面影はなく、貫禄のある逞しい年配の男性となっている元担任だ。
「それでな?頼みがある…。俺をこのガッコーにいれてくれねぇか?」
「えっ!?でもしかし…」
「俺の両親はもういねぇし、それにこの学校にゃー俺を救ってくれた恩人がいるんだ」
元担任は、目を細目ながらメガネを上下に軽く上げ下げをして考えこんでいる。
「う~ん…。年齢だって無理があるし…。ちなみに、その子の名前は?」
「えっと~…、たしかヨウイチだったはずだ」
元担任は、パソコンという機械を開き名簿を眺めている…。
「確かに、ヨウイチって生徒はいるなぁ~。高校2年生らしいけど…。」
「そこだっ!頼むっ!ヨウイチがいるクラスにいれてくれっ!」
「ん~…。まぁ…、私が校長に上がれたのも朝倉君のおかげでもある…。仕方ない…。責任は私が持とう!年齢は誤魔化しとくよ…」
「ありがとう!!流石は先生だっ!今度一緒に飲もうぜ!」
そう、言うと元担任はにこっとしながら
「朝倉くんは未成年でしょ?」
「違うわっ!!年を止めてもらっただけだっつーの!」
「冗談です。その時、向こうの変わった世界の詳しい話聞かせてくださいね!それより、奥さんはどうなりました?」
「奥さん…。あぁ…美名の事な…。それも探しいるんだけど、わかんねぇんだわ。息子がいたけど、息子もわかんねぇ…。洋一と同じ年になってるはずなんだけどなぁ~。だから洋一をみていたら、なんとなく息子に見えちまってんかもなぁ~」
「私の方でも探してみるよ。ただ、名前が分からないから見つけれるか分からないから…それだけは了承してほしい」
「本当か?!助かるよ!先生っ!!」
間島美名…。美名は俺が住んでいた家の近所には住む5つ上の姉さんが居た。小さい頃から、公園で遊んでくれていた綺麗な姉さんだった。俺が13歳くらいん時だったかな…。異性として好きになっちまった。んで、中学卒業して真っ先に告白した。告白を受け止めてくれて交際をして…、俺が16ん時に美名と俺の子供が産まれたんだけど、美名の両親が大反発して離された。んで、2年後にまた再会した時に愛し合って…。その後だったな…。
(あぁーあん時は楽しかった。美名に会いてぇ~な…。元気してっかな…?)
でも間島という家を探し歩いたけど…。この地域にはいなかった…。
~後書き~
~不幸からの逆転 9話についての~こぼれ話
以下、僕の作品である 不幸からの逆転 と 追放された…けど の2作品のネタバレが含みます。
龍哉が何故今まで封印されていたか、龍哉は何者か?をここで書きました。
実はこの現実世界は、僕が長編で書いている「追放された…けど!この世で大切なお前達がいるから俺は旅に出る!」の世界の話でもあります。追放された の現在の主人公はルイスですが、昔にも色々な迷人が現実世界から異世界に転移しました。龍哉も実は迷人として、追放された…の世界で活躍しました。
異世界と現実世界の時間の流れは同じですが、異世界に入った時の時間差は現実世界と大きくことなるため、現実世界では10年くらい後に、異世界にいくと、100年くらいたった時間になります。
ただ戻る時は逆で、1年異世界にいても現実世界では1年だけしか過ぎません。ルイス君ことレイジが来たのは洋一の時代とほぼ同じ年代ですが、転移時間のせいでレイジは龍哉の200年後くらいに行く事になりました。ちなみに200年前(龍哉の時)は何故、女神で レイジの時は強制的にワープしたかは、追放された… の方で明かしていくつもりです。
個人的には、不幸からの逆転にて、追放された…のメインヒロインの一人、スルトの名前を出せて書けたのが面白かったでした。
そして、追放された の作品100話にて、彼がどうして成長を止める薬を服用していたのか?また、彼は好きだった人をどう思っていたのかを、魔王の娘が語ってくれています。興味ある方は是非、覗いて見てください…。(追放されたの作中では、紛らわしさを省くため、嫁となっています…)
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