第10話 僕はこの日、監禁を決行する。
「お願いします…。それに、お腹の中に勝の子供もいるから…」
「へっ?!な、なんへ…?!」
このアマは寝取られただけでなく、勝という犯罪者のガキまで身籠ってたのか…。ますますこっぴどく潰してやりたくなった。さて、どうやってこの"3人"を始末しようかねぇ…。
「とりあえず、これ以上は何もやらない」
「ふ、ふぉんとぅふぁ!?(本当か!?) 」
「ああ!ここではね…続きは別の場所でね…」
「えっ…?まっ、待ってよ!どういう事っ!?」
ここでは、もう何もしない。これからじわじわと痛めつけてやるのみ。僕の復讐心が更に火をつける。僕はこのゴミを連れて、あらかじめ龍哉さんに借りた小さい廃工場の知り合いを一人一人連れていく。途中バレたら嫌なので、怪我している人を運ぶふりをしながら目的地にまで運ぶ。僕が苛められていた場所は決まっていたから、近場の廃工場を探したら良い所があった。凄い運というのか…。こういう時だけ運が良い自分自信にも更にイラついた。
「…ったく、いちいち疲れる野郎共だな」
金髪はハゲを。百合にはリカを。そして僕は勝を連れて運ぶ。ここまで普通に歩けば10分ほどだ。ここの建物は以前、食品加工工場だったらしく、地下にある食品保存庫があり防音完備も完璧だ。また、外から施錠もできるので隠しておくには完璧な場所だった。
「本当にお前らのせいで…!このやろーがっ!!」
僕は腹いせに勝の顔を蹴り飛ばす。勝は当たりどころが悪かったのか、血を吐きまくっていて汚い。
「ぐ、ぐげぇぇえええっ!!」
「ねぇ!?出してよ!洋一!!私…、騙されていたんだよ…コイツらに騙されていたの!」
百合は今更になって真剣に謝ってくる。心優しいお人好しな寝取られた男なら許しているんだろうな。僕はそんなお人好しみたいな雑魚い男にはなりたくない。
「騙されていたからって何?まんまと流されて信じてしまって勝の上で腰振ってたのに?」
「ち、違…っ…それは…」
百合は困惑する。涙を流しながらも、自分が違うと否定をし続けている。するとつい先程、目が覚めたリナが血を滴しながらも…。
「や、やめなよ!お前の彼女なんだろ!?私達はどうなっても良いから、この子は解放してあげなよ!お腹に赤ちゃんいるんだよ!」
その情報量が多いリナの言葉に俺は更に怒りが沸き上がる。僕はリナの目の前に近づき、僕は膝を曲げ思いっきり力強く前へ押すように蹴りを食らわす。
「ぎゃああああっ!!」
リナは思いっきり後方へと吹き飛ぶと、保存庫の中にある棚にぶつかる。物凄い音とともに棚が崩れ落ちた。リナは崩れた棚の下敷きになる。
「よ、洋一…。怖いよ…」
更に、同じ様に、今度は百合にも同様の蹴りを食らわす。
「い、いぎゃあああっ!!」
吹き飛んだ百合は、崩れた棚の中へと吹き飛び、その勝との間に生産されたゴミが詰まった腹に棚の出っ張った部分に直撃する。あーあ、あれはまじ痛そうだ。
「何見てるの?金髪?」
びびって硬直している金髪だけまだピンピンしていたのが凄くムカついた。だから僕は…
「い、痛いいいいいっ!悪かったですっ!!もうしませんっ!!」
金髪の髪を引っ張りながら、怪我をしている足を蹴り飛ばす。
「ぎゃああああっ!!やめっ!!許してっ!!」
髪を引っ張りながら何度も何度も何度も蹴る。蹴る度に体が前に出るが、髪を引っ張っているせいで後方へ吹き飛ぶ前に手前に戻ってくる。その度に、ぶちっぶちちっと髪から音がする。そう、髪が抜けまくっているんだ。
「とりあえず、今日はこのくらいにしとくよ」
僕は最後に金髪の胸ぐらを掴み、崩れた棚へと投げ飛ばした。百合とリナの方へと吹き飛び、2人に激突する。
「僕の恨みはね?こんなもんじゃないからね」
僕は、事前に購入した鎖を手足に縛り付け、口に粘着テープを貼る。とりあえず息がしやすいように、口元のとこだけ、空気を入れるための穴を開ければ完璧だ。
………。
……。
…。
帰り際に、僕はこの工場の中にある元更衣室で着替える。流石にこの服装で帰るわけにはいかないからだ。時間を確認すれば、今は5時半過ぎ…。
(こっぴどくやってやってるけど、何故か怒りが収まらない。むしろ余計にイラつく。謝られれば謝られるだけイライラする。いちいち謝んなよ…イラつくから)
そんな事を考えていると、一通のRINEが僕のスマホに届いた。
(刈谷さんからだ…)
『がっこー終わりました?良かったら今から少し会えませんか?(*≧ω≦)』
『いいよ?待ち合わせはどうする?』
『この前の公園はどうです?(ノ≧∀≦)ノ』
『OK~。今から行くね』
『分かりましたー!( ・`ω・´)』
僕は、この呪われた廃工場を後にする…。
………。
……。
…。
「待った?」
「ん…、大丈夫です!」
僕は、刈谷さんの顔を見ると何故か頭の中が色々あったせいでぐちゃぐちゃになる。復讐しているはずのつもりなのに、何故かもっと深い悲しみに包まれてしまい、大粒の涙が目から大量にボロボロと溢れ出す…。
「ど、どうしました?私、なんかやりましたか?!」
「ひっく…ごめん…!ち…ひっく…違うよっ!…うぐっ…本当…うっう…違うよ…!」
「お母さんの事ですね…」
刈谷さんは、そう言うと僕の頭を刈谷さんの胸で押し付けて、ぎゅっと優しく抱いてくる。その暖かさが、無くなった母さんを思い出してしまう。余計に涙が大量に溢れる…、ただどこか優しさに包まれて落ち着くようにも感じた…。しばらく、刈谷さんの胸の中で沢山、沢山…涙が枯れるくらいに泣き続けた…。
それからしばらくして、ようやく話をできる状態に戻れた僕だった。
「刈谷さん…ごめんね。もう大丈夫だよ…」
「ん…、大丈夫ですよ!少しか恩返し出来ていれば嬉しいです!」
「ほんっと、ありがとう!」
「ん…、いいですって!それにしても、新堂さんって、さっき赤ちゃんみたいに泣いてましたね!」
刈谷さんは、いたずらっ子っぽくウインクをしながら下を出して、テヘペロといった感じの仕草をする。
「あはは!うるさいぞ!このーっ!」
僕は、心が少し落ち着いた感じがしてつい、刈谷さんの頭を撫でてしまった。最初は刈谷さんに「えっ?!」という表情をされてしまったと思ったけど…。
「新堂さん?」
「ご、ごめんっ!!つい…」
「えへへ!いーですよー!その代わり…」
刈谷さんが満面の笑みで僕の方をにっこりと見ながら…。
「その代わり、今度デート誘ってください!」
その笑みを見ると僕は、何故か心臓がバクバクとしだす。鼓動が早くなっている音が、体を通して分かる…。
「デートでさっきのいきなり撫でてきたのをチャラにしますね!」
その優しい声に僕は…。
………。
……。
…。
あいつらを監禁した次の日、僕は龍哉さんに呼び止められた。
「洋一?あいつらに復讐はやったんかよ?」
「うん。こてんぱにしてやったよ」
「ああいう奴らって、命ごいはするけど、出してやったらまた同じ事をやる。出すなら、徹底的に衰弱させてやってからの方がいい。じゃねーと俺の知り合いみたいになるぞ」
龍哉さんは、何故か何かを思い出したかのように目を細めていた。
「かなり、昔。とある人…いんや…人達を苛めていたやつがいた…あーっと、言い方がむずけぇなぁ…。ある人達を虐げ殺し回っていたやつがいた。」
「えっ…」
「俺の知り合いが取っ捕まえたんだけどよ?捕まえた奴がめっちゃ命ごいするわけよ。あの場所は寂しい場所だったなぁ…。とても気持ちわりーどんよりとした森を進むと大きな滝があって音も心地いいくれぇに凄く、綺麗な場所だったのに…。いつかまたあの行けたら、線香でも持って行きてぇなあ…」
「うん」
「んでよ?知り合いが改心したと思って、外に
出した思ったら、命ごいは嘘でよ?知り合いは刺されて殺されたよ…」
「…」
龍哉さんは悲しい思い出話をすると、どこか遠くを見るような目で過去を思い出していた。その表情はとてつもなく冷たさを感じ取れるような表情だった。
「だから、命ごいされてもぜってー許すな。クズはどこ行ってもクズだっつー事は忘れんなよ?」
「うん。ありがとう…」
そう、命ごいされても許してしまえば隙も生まれる。そうなってしまってからは既に遅い。復讐は絶対だ…。龍哉さんには感謝しかない…。
………。
……。
…。
ゴミを監禁してから、更に3日が経つ。僕は祖父母から貰った弁当代で、廃棄寸前の安い弁当を2つ購入する。人の様子を伺いながら、廃工場に赴き、あのゴミどもに飯を食わす。勿論、哀れみなどそんな感情は一切無い。ただただ、死なれては困るからだ。
奴らは未だに、鎖で手足を縛られている状態のままだ。精神的におかしくなっているのか僕の顔を見るなり勝達は『ご免なさい!ご免なさい!』ばかり。一方の百合は、妊娠しているせいなのかゲロを吐きまくっていて、汚物で汚れまくって異臭を放っていた。本当に汚い。臭い。最悪だ。おまけにコイツら、服の上から便やら尿やら垂れているせいで、余計に臭くてやばいくらいだ…。
僕は、2つの弁当の容器を開けると、無造作に糞まみれのところに弁当をぶちまける。それを鼻で笑いながら、まるでスキップでもしたくなるかのような愉快な気持ちで外へ出ていく。
そして、僕は今日…。初めて刈谷さんとデートをする事となった…。
不幸からの逆転 ~虐め、寝取った男、寝取られた女にこれから仕返しします。首を洗って待っていてください~ ねればる @aoihito417
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。不幸からの逆転 ~虐め、寝取った男、寝取られた女にこれから仕返しします。首を洗って待っていてください~の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます