第2話 残酷な虐めという名の犯罪


 「どうしたんだろ…」


 公園からの帰り道、彼女の百合にRINEするも講読が一向にも付かない。ぼーっとしながらも家につくと、咳をした母親が出迎えてくれる…。


 「お帰り~。遅かったわね? けほっ!けほ!! …んっんん… ふぅ…。ごめんね?百合ちゃんとデートだったの?」


 「うん…」


 「そうだ!けほっ!今度…、百合ちゃんにケーキ作ってあげるからって言っておいて?」


 「ありがとう!」


 僕は、母親と話をしていた。希に咳き込む母親はとても苦しそうに思えた。暫く話をして時計を見れば11時になっていた。僕は寝る支度をして…。


 「じゃあ、おやすみなさい…」


 母親に挨拶をして、階段を上がる。階段を上がってすぐ右側に僕の部屋がある。その間もスマホをチェックするがいまだにRINEの講読は付かないまま…。


 (どうしたんだろう…)


 僕は、部屋に入るなりベッドで横になる。6畳間ほどの小さい部屋だ。明かりを消して天井を見れば星が緑色の蛍光色を放つ壁紙が天井全体を輝かせている。それからも連絡を待っていたけど、一向にも連絡もRINEの講読すらもつかない彼女に対して凄く不安になってしまう。それと勝が彼女に何かしたんでないか不安にもなっている。


 (まさか、百合…。勝に何かされたんじゃないんだろうな…。それか、もしかして…、怒って先に帰って…、連絡寄越さないのかな?明日になれば連絡あるかな?)


 電話をしようと思ったけど、しつこいと嫌われたら嫌だったから電話はしなかった。次第にスマホと睨めっこをしていたら睡魔に襲われていく…。そのまま吸い込まれるように深い眠りへと落ちていく…。




………。

……。

…。





 翌朝になり、いつも通り6時の目覚ましが鳴り始める。


 ティテケティーン!ティテケティーン!ティテケティーン!


 いつもの聞き慣れた目覚ましの音で次第に目を覚ます。昨日の彼女からの講読が付かないのも気になり、スマホに目を通すが、百合からの返事もなければ講読はついていない…。


 (やっぱり、講読がついてないか…。どうしたんだろう?)


 僕は不安な気持ちを押しころしながらも、支度をしていく。支度を終えて、階段を降りると、いつも弁当を作ってくれている母親の姿がない…。不安になり、居間を見渡すが人気が無い。居間の奥に母親の部屋がある寝室を覗くと、母親は具合が悪い見たいでベッドで横になっていた。


 「今日は、ごめんね?お母さん、ちょっと… けほっ!けほっ! 具合が悪い…から…。そこの…テーブルに1000円有るから…、好きなの買って… ゲホッ!! 食べて…」


 「うん。それより大丈夫?」


 「ありがとう…。お母さん、大丈夫だから… けほっ! 心配しないでね? すぐ元気になるから!」


 表情を見ると凄く苦しそうだ。病院に行っているみたいだけど、原因はただの風邪らしい…。


 「行ってきま~す」


 僕は母親に挨拶をして、またあの嫌な学校に向かう…。それからも百合からは一向にも連絡がない…。



………。

……。

…。



 学校に入り、教室の席につく。周りを見ればいつも通り、僕は4番目くらいに早い。それから暫くすれば、また一人…、また一人と生徒が入っていく。いつも百合が来る時間になっても一向にも来る気配がないまま、朝のHRが始まる。頭は何故かボーッとしたままだ。そんな状態のまま一時間目が終わり…、そしてまた一時間目が終わって…。昼に4時間目の授業中になると…。教室の戸がガラガラと開く。


 「遅れました…」


 入ってきたのは百合だった。百合は急いで着たのか、服が乱れ、顔の頬が火照っている感じに見えて、凄く息を切らしている。


 「遅いよ!早く席について」


 4時間の数学の先生に言われ急いで百合は席に座る。僕は百合と目線を合わすも、百合は無表情のまま席へと座る…。



………。

……。

…。




 4時間目が終わり、お昼のチャイムがなると一斉に生徒が騒ぎ始める。僕は、百合と話をしよう話しかけるが…。


 「百合!ずっと心配したよ!」


 「…」


 「百合?もしかして怒ってる?」


 「…」


 ずっと無言をついている…。暫くすると百合は椅子から立ち上がり急いで教室の外へと出ていく…。それから昼休みになると、またあいつらに呼び出されてしまう。


 「洋一くん?今日もまた持ってきてないのかな?」


 「…」


 「黙っていちゃ~わからないよ~!」


 「罰ゲームだね~っ!」


 僕は立ったまま下を向き、早く終わるのを待っている…。只でさえ、今の僕は落ち込んでいるのに…。こいつらになんて構っている暇ないのに…。


 「昨日さぁ~!こいつ彼女と一緒に公園でデート中だったんだよね~!」


 「何ソレ!ちょーウケるんだけどぉ!!」


 「良い事を思い付いた!!コイツにその彼女の名前を言わせながらオ◯ニーしている所のムービー撮ろうぜ!」


 「いいね!それ!!勝、天才じゃん!」


 4人は悪魔みたいな笑い方をしながらニタニタして僕の顔を見てくる。 


 「…っつ!それだけは絶対嫌だ!」


 「早くやれよ!あの女を犯していいよね?」


 「えっ?」


 「早くやらねーと、お前の彼女犯すね!」


 (辞めろ!辞めろよ!彼女だけは辞めろ!彼女は関係ないだろっ!!)


 そんな事を思うと、ヤツラのいいなりになっていた方がまだマシだと思った…。だから僕はズボンを脱いで…。


 「…っつ…、百合…、百合っ!!百合っ!!」


 僕は彼女を思いながら、奴らの言われた通りに行為に及んだ…。


 「ぎゃははははは!コイツまじかよ!!」


 「やば!ちょーやば!!ありえないし~!!」


 「うわぁ~!ちっちぇえなあ~っ!おい金髪!ちゃんと撮ってるか?!」


 「バッチリだよ~んっ!」


 僕は次第に意識が朦朧としていき、イッてしまう…。


 「きたねーなぁ!!」


 「小さいのによく飛ぶね!!」


 「ちょっと!こっちにまで飛んできたんだけどォ!!」


 皆に笑われながらも、なんとか無事にすんだ…。意識が朦朧としながらも教室に戻るととっくに昼休みが終わり、5時間目の授業が始まっている所だった…。百合とも目が合うが、百合は何故か冷めた目でこちらを見ているだけだった…。僕はそのまま、廊下に立っていろと怒られ…、廊下で暫く立たされる事になってしまった…。



………。

……。

…。




 最後の授業時間が終わり、帰りのHRが終わると僕は、百合に近付こうとするが、既に百合は居なくなっていた。ますます不安になりRINEに「昨日はごめん」と送る。それからも帰り道、ずっとスマホを見るが講読がつく様子もなかった…。


 (まじで、どうしたんだろう…。本当に怒っているのかな?)


 頭の中がモヤモヤして何も考えれなくなりながらも、自宅へと帰る…。相変わらず母親は苦しそうにして寝て安静にしていた。とりあえず明日は休みだから…。


 (明日になれば、きっと大丈夫…)


 そう思いながらも、寝る間もずっとスマホを確認していると、やがて睡魔に襲われる…。

 



………。

……。

…。




~???視点~



 (ん…、確かに…、この辺だと思ったけど…。)


 私は、とある人の家を探していた。名前は分からない…。私の母親だった人だ。


 (ん…、引っ越しをしていないなら…多分、ここら辺りなはず…)


 昔、私の両親は離婚した。父親は転勤族ということもあり、母親と離婚してからも各地域を転々としていた。前の学校の友達と仲良くなれてすぐに転勤となってしまった。そして、やってきたのは私が産まれた、この北海道の◯◯だった…。私は休みの日を利用して、母親を探している。勿論、父親には内緒で…。でも、中学生の私に一人で探すのなんて不可能に近い…。分かっているんだけどもね…。


 「あの…、昔ここで………な人知りませんか?」


 「ん~…、聞いたこと無いね…」


 「ん…そうですか…。ありがとうございます…」


 私は、また母親の情報を探し求めて、私が産まれたという、この街を一人で聞き探し回っていた…。


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