不幸からの逆転 ~虐め、寝取った男、寝取られた女にこれから仕返しします。首を洗って待っていてください~

ねればる

第1話 リーゼント頭との出会い


 僕は、高校2年の新堂洋一。これから皆さんに僕の今までの事を伝えるべく、文章に残します。それと、たしかに僕の唯一の救いであり同級生の恋人だった江頭白百に制裁を与えたのも僕でした。しかし!他校16歳の刈谷真名という1つ年下の女の子は無実です。僕を救いたい想いで行動に移しただけです。

 皆さんは、僕がおこなってきた行動に対して批判的に見る人も多いと思います。しかし、被害者の気持ちなんて誰からも理解されないと思っていますが、言わせて頂きます。それは、現実で"そのような目"に合った事がないから、皆は批判してくるんだろうと思いました。


 それでは、僕が何をしたのか…。全て包み隠さず話をします。途中、僕が嫌いな人達から聞いた言葉や行動も全てお話します…。




………。

……。

…。



 「はぁ…」


 僕は溜息を大きくつく。今日からまた月曜日…、長い一週間が始まり…、また学校が始まる。外が明るくなると車の走る音の数も増えていき、雀の鳴く声も五月蝿く感じてくる。


 目覚まし時計を6時に設定しているけど、もう一眠りできそうだ…。でも今日は何故か二度寝ができない…。嬉しい事と嫌な事が合わさり、まるでフランスパンに挟まれたマヨネーズでぎとぎとにつけられたちくわの様に不幸な感覚でもある。


 「洋一~!朝だからおきな~!」


 母さんの声も聞こえてくる。もうじきまた、学校に行かなければ行けない。横になっていると金曜日の起きた事が走馬灯の様に映像が頭の中で過ってくる…。


 (よ、洋一君…。良かったら付き合って!?)


 こんな僕に彼女ができた。小学生の時に、近所に引っ越してきた幼馴染みだった。中学生の時はクラスが別な事もあり、話す機会が減ったけど、高校になると同じクラスになった事で話をする機会も増えた。凄く嬉しかった…。彼女の名前は江頭百合。百合からの告白は本当に嬉しかった。



………。

……。

…。



 普通通り学校について、机に座っている。


 (皆、こっち見てくるし…。本当に嫌だわ…)


 本当に嫌だ。告白されるのと同じくらい嫌な感情…、人生を狂わせてしまったほどにも嫌な出来事がある。それは中島勝という1年の頃の同級生だ…。


 「洋一く~ん?いるかな~っ?!」


 そう、こいつだ…。僕は勝に呼び出され、人気のない場所に連れてこられた。


 「何、不貞腐れてるの?それともビビってんの?」


 そして、勝の他に3人の男女もいる。コイツらも僕を虐めて喜んでいるようなクズだ。


 「おい~?金、持ってきた?」


 「ひ弱君~売店行ってパン買ってきてくれない~?リナ、お腹すいたぁ~!」


 「早く出せよ!金!」


 勝含め、リナ、金髪、ハゲの4人は金を出せと要求してくる。そして…。


 「まさか持ってきてない?!俺とリナとこれからラブホ行くのにどうしてくれんだよ!!」


 「おい!!ひ弱!!金今すぐ持ってこいよ!ぼこられたいの?!」


 そうリナというクズが言う前に、僕の脇腹に強い痛みを感じた。


 「ぐっっっ!!」


 勝が脇腹を力強く殴ってきた。あまりの痛さに僕は脇腹を両手で押さえうずくまる…。


 「金持ってこない奴にはお仕置きだな!」


 こういう事がよく続く…。この時はまだ、僕だけ耐えてれば良かったから我慢できた。それに百合もいたから自暴自棄にならずに精神崩壊しないで済んでいた…。



………。

……。

…。



 あれから数ヶ月経った。相変わらず虐めもエスカレートしていく。


 「はーい、水掛けご飯でしゅよ~!」


 僕の弁当がトイレの便器の中に落とされていく。お母さんが眠いのに朝早く起きて作ってくれた弁当だ。しかも今日は熱があったというのに…。


 「ほら!早く喰えよ!!」


 「やめろよっ!ぐっ!!」


 金髪は僕の頭を掴み、便器の中に顔を突っ込もうとする。僕は両手を使い、抵抗するも…。


 「がはっ!! ごぼっごぼっ!!」


 「きゃはははは!何食べるの我慢してやがんの!?」


 リナは僕の両手を力いっぱい蹴る。僕はバランスを崩して便器の中に顔を浸けてしまう。


 「きったねー!!コイツ!やりやがったわ!」


 その瞬間をスマホのカメラで撮られてしまう。その矢先、僕の携帯がポケットから落ちると…。


 「おい!こいつAndroidなんて使っているぞ!?だっせー!」


 「今はアイプォーンだって!だっせぇなあ~!」


 奴らにスマホを取られると、便器の中に落とされてしまう。僕は直ぐ様、拾い上げ電源が故障していないか確認をする。とりあえずは大丈夫だったみたいだ…。


 (とりあえず今日また1日耐えたら明日は…)


 そう、明日は百合と6回目のデートだった…。前回のデートの時にドン・チホーテで2000円ほどの指輪を見て「可愛いなあ~」と言っていたから、貯金を崩して指輪を内緒で購入したから内緒でサプライズプレゼントするんだ!全ては百合がいたから今、こんな事になっても耐えれている…。




………。

……。

…。




 「遅くなってごめんねっ!待っていたかな?」


 今日は百合と6回目のデートだ。段々とお互いの中はよくなってきている。彼女が居るから今は理性を保っていられるんだ…。


 「大丈夫!百合、いつもありがとうね」


 「なんもだよ!それよりも、最近の洋一君、浮かない顔しているけど何かあったの?」


 百合は、少し心配そうに僕を見てくるけど、逆に心配をかけたくないから…。


 「最近、夜遅くまで勉強しているからかな…!」


 「さっすが洋一君!今日は公園の噴水行こう~!」


 僕と百合は、公園にやって来た。夕方という事もあり、子供連れの姿も余り見なく静かで噴水の水の音が心を落ち着かせてくれて穏やかな場所に感じる。暫く、公園のベンチで二人並んで仲良く話をしている僕達。いつ、プレゼントを渡そうか考えていたら、急にトイレに行きたくなった…。


 「ごめん!百合!ちょっとそこのトイレに行ってくる!」


 「分かったよ~!」


 公園の公衆トイレに駆け足で向かった僕。トイレで用を足していると、ふと奥に変わった小さな供物が添えられた仏様があった。何かをここで祭っていたのかな?そんな事を考えていたら…、聞きなれた不快な声が後ろから聞こえてきた。


 「よ~!洋一く~ぅん。何、俺にイチャイチャした姿見せつけてくれてるんだよ!」


 「な、なに?!」


 「黙ってこそこそお付き合いですか?!弱虫のお前が?」


 「ほっといてくれよ!頼むから!」


 勝はニヤニヤしながら嫌な表情を見せつけてくる。


 「んっ?なんかポケットに入ってる?見せろよ?」


 「むり…」


 「良いから見せろや!」


 勝はいきなり僕の腹を蹴り飛ばしてくる。


 「ぐふっっ!!」


 そして、僕のポケットから指輪が入った箱を取り出すと…。


 「まさか、あの子にプレゼント?!お前が!?」


 「返せよっ!」


 「何?生意気じゃない?」


 「良いから返せよっ!!」

 

 勝は、袋をビリビリに破かれ箱から指輪を取り出す。


 「あの子、お前には勿体ねぇなぁ~っ!俺が貰っちゃってもいい?」


 「やめろよっ!!」


 僕は指輪を必死に取り替えそうと勝に食って掛かる。必死に必死に押さえながら、手を伸ばし、ケースを取り返そうとするが…。


 「うるせぇよ!黙れよ!!」


 勝は拳を使い強烈なアッパーで僕の顎下部分に当ててくる。僕は少し宙を浮き吹き飛ばされてしまった。それと同時に、先ほどの仏様に当たってしまい気を失ってしまう…。


 「あの女、頂くね~…」


 気を失う最中、そんな勝の声が聞こえた気がした…。



………。

……。

…。



 僕は、夢を見ていた。一人の一昔前のよくテレビや漫画で見るようなリーゼント頭の風貌のヤンキーみたいな男の人が僕の目の前で蹲踞(そんきょ)のポーズ…。いわゆるウンコ座りをして、目を細め、頭を斜めにして此方を見てくる人が居た。


 「おい、テメェ…、何ガン飛ばしてやがんのよ!?」


 「は、はい!と、飛ばしてませんっ!!」


 「テメェ~すっげー睨んでんだろーがよ!?ああっ!?ざけれやっ!!」


 「ち、違います…」


 ヤンキーは一回、ウェッヘっ~と咳して口をモゴモゴしたら、ぺっとツバを吐き出す。


 「んにゃ~、いつもの癖でわりぃ~。テメェだろーがよ?壊してくれたんのよ~ぉ」


 「は、はい?」


 「俺、封じられてたからよ。テメェ~が仏を壊してくれたんだべ?」


 「あっ…、そう…見たいですが…」


 すると、一昔前のヤンキーは、にこっとすると…。


 「あんがとよ!お陰で外でられんわ~!テメェ~、名前何よ?」


 「あっ…洋一って言います…」


 「おう!洋一な!覚えれるわ!!っつーか、腹いてーからさっさと出てってくれねーか?復活したら会いにいってやんからよ!」


 「は、はい!ごめんなさいっ!」



………。

……。

…。




 僕は目を覚ますと、トイレで倒れていた。辺りはすっかり夜だった…。


 「はっ!しまった!」


 そう、彼女を置き去りにしたままだった…。でも百合はなんでトイレに行った事を伝えたのに連絡すら寄越さなかったんだろうか…。そんな事を考えながら、一人、夜の公園を後にした。


 (それにしても、変な夢を見たなぁ~…)



 

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