Alice

並木空

二十首連作

帰らない 出て行くことを 決めたのは

君と他人に なりたかったんだ


黄金の 時間と言った 学者は

ナンセンスだと 笑うだろうか


いつまでも 変わらないはずは ないと知る

君がヒールの 靴を見た時


知っていた 眠りの姫を 起こすのは

自分ではない 残酷な夢 


絶対に 手を伸ばしても 届かない

月が欲しい 嘆く子どもだ


流れ星 君は見上げる 熱心に

かける願いは 知りたくないな


くりかえす 呪いのような 生まれた日

耳をふさいだ タイムリミット


砂時計 眺める顔を こっそりと

見つめていたよ 向かい側でね


ゼロとイチ 脳の中では デジタルだ

シンプルには片付けられない  


夕焼けは 終わるのだ それでもと

曖昧なまま しておきたいと


幸福に なって欲しいと 願うけど

この手を放す 覚悟はできず


夜型と 言い訳している 怖いのは

君が出て行く 朝の光だ


気付かれず 終わるのならば それでいい

迷惑だろう 君への想い


出会いすら 皮肉なものだ それでもと

鎖のように 縛られている


いつの日か 君の口から 聞くんだね

好きになった相手の名前を


相談を されるんだろう どうすれば

振り向かせることができるかと


白い服 君は笑って 離れていく

ネクタイを締め 拍手を贈る


良かったと 想いを隠し 笑うだろう

鐘の音色に 言葉を濁す


誰だって 離れていった 嫌悪する

自分の中の 醜悪さに


君だけは 傍にいたから 期待した

ありえないと理解はしていた

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Alice 並木空 @iotu

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