新世界のチュートリアル


『NewWorldOnline

 神によるリセットにより滅ぼされた文明。

 神によって新たに作り直された世界「新世界」。

 数千年前に滅ぼされた古の文明と

 神の恩恵が溢れる「新世界」を

 プレイヤーとなって解き明かせ!!』


 スタートを押すとゲー厶のプロローグが始まった。その内容を噛み砕くと、何らかの理由で滅んだ古の文明(世界)と、神々の恩恵としておそらく魔法やスキルがある新世界を、プレイヤー皆でクリアして解き明かそうっ!というものだ。ということからこのゲームは、ただ敵を倒してレベルアップするだけのゲームではなく、物語を展開していきエピローグへと持って行くストーリーゲームなのだと確信する。


 そしてハルトは、様々なゲーム設定を見るコマンドを見つけたので一通り目を通した。

 

「なるほどねぇ…。ってことはプレイヤー同士の協力が思った以上に必要だな……。設定読んだ感じPK系統やランキングみたいな競走要素はないし、情報は積極的に流した方が良いのかな?おっと本編が始まった。すげぇえええ!」


―始まりの街「ボア・テイル」ー


 ハルトは自分と同じく驚愕しているプレイヤーやNPCの活気的な雰囲気に圧倒された。街並みは結構整備されていて、見えるだけでも宿屋・武具屋・服屋・アクセサリーショップ・露店・民家等々がある。


「思った様に動く手、伸び縮みする筋肉、街並みやNPCのグラフィック……。ガチで第2のリアル、まさしく新世界だなぁ…」


 新世界とは我々リアルの人間にとっての新たな世界であり、ゲーム内のNPCにとっても新世界なのだ。そんな2つの意味がある新世界のリアルさに感銘を受けつつ、早速とばかりに強制的にチュートリアルを受ける。


「この感覚は初めてだし、はやく慣れないとなっ!」


 ーチュートリアルを開始しますー


 チュートリアルを開始すると四方が壁に隔たれた円形の闘技場の中心に、アイドル服の美少女ロボがそこにいた。傍から見れば、アイドル美少女ロボ(通称:アイドルちゃん)と上下黒の狐仮面の変態……もとい不審者が対面しているという、何とも度し難い状況なのだが………アイドルの美少女ロボがドストライク過ぎるので気にしない。


(アサシンをサポートするアイドル美少女ロボって……めちゃくちゃ厨二病心刺激するなぁ………良き)

 

『『システムコール:UI』と念じることで、システムが思考を読み取りUIが顕現します。まずは、UIに表示されてるウィンドウを操作し、武器を装備しましょう』


「はーい!それじゃあ早速『システムコール:UI』……起動!!」


『システムコール:UI』と念じるだけで良いのに「起動」と言ってしまうのは、ハルトが厨二病で『カッコイイから』と思ったのが理由であり、かつテンションをぶち上げるのに必要な儀式だからなのだ。


 顕現されたUIのウィンドウを操作して両手に武器を持ち、手首をくるりと捻り回して武器を構える。


『――武器の装備を確認。チュートリアルを第2段階に移行します。それでは、目の前に現れる人形に攻撃をしてください』


 現れた人形は一体、人型のロボだ。ロボといっても、通称アイドルちゃんほどの精巧さはない。しかも、見た目が男だ。なら……このマネキンに遠慮はいらない!


 1歩目を強く踏み込み、体勢を低くしたまま加速。ロボの懐に入り込み、加速を維持したままロボの腹に2連撃しつつ右側から抜け、ハルトとロボの背中が合わさる所で左足を軸に回転し首に標準を当て2連撃『クリティカル』繰り出した。欠損部位からポリゴンが溢れるロボを背景にハルトは3歩歩き止まると、手首をくるりと捻り武器を構えて……はいポーズ、カシャッ!(スクショ)


「よっしゃ、決まったぁあ……!やっぱ、初めての攻撃はスクショ撮りたいよねぇ。うん」


『――訓練用人形トレーニング・ドールへのダメージを確認。チュートリアルを第3段階に移行します。第3段階に移行するにあたり、第2段階での戦闘データを確認。戦闘データを参照して、貴方に見合うスキルを取得します。スキル『ロックオン』と『アクセル』を取得しました。UIを開きスキルの詳細を確認した後、スキルを使用してください。スキル欄を見る時は、『システムコール:UI,オペレーション:スキルウィンドウ』、と念じるとウィンドウ内のスキル欄を直接顕現させることが出来ます。そしてスキルを使う時は、使いたいスキル名を思考すれば使えます。また、その結果を思考し、自身で行動することで、スキルの効果はより飛躍的に上昇します』

 

「よく分からないけど……何それカッコよ!!よーし、やってみるとしますか!『システムコール:UI,オペレーション:スキルウィンドウ』」


 ハルトが念じるとUIではなく、ウィンドウ内のスキル欄が出てきた。スキル欄が直接出てくるなら、武器やアイテムを取り出す時間だって短縮出来るということ。ならば1秒1秒が惜しい状況…特に戦闘中に活きてくると、ハルトは喜んだ。


「へぇ…マジで工程省いてるじゃん。戦闘中に武器変更しやすそうだなぁ、ありがたやぁ。それはそれとして、スキルはどんな感じかなぁ?……んんんん????」


――――――――――――――――――――――――


【スキル】


 ロックオン

▶︎敵対相手の弱点部位に円型のターゲットが表示される

▶︎パッシブスキル扱い


 アクセル「CT:10秒」

▶︎一瞬加速する


――――――――――――――――――――――――


「なんか…微妙じゃね?ん……?いや、でも…。ロックオンは敵対相手だからこっちが敵対してなくても相手が敵対してたら分かる…つまり不意打ち防止用で使えるし、弱点が分かるなら単純なダメージソースが一つ割れるってことになるから……うん、普通にヤバい。あとはアクセルだけど、このゲームは物理エンジンが現実のそれだから、速さ×力でダメージにもなる。それに加速して懐にも飛び込めるし、クールタイムも短い!あぁ…普通に当たりだったわぁ……やば」


 字面じゃ分かりづらいが、ハルトのプレイスタイルにとってこの2つのスキルの存在は大きく、あらゆる場面での汎用性に長けている。それに、このゲームではスキルを使い続けると熟練度が上がり、熟練度が一定値まで達すると進化し、より性能が上がる。よってパッシブスキル扱いの『ロックオン』は言うまでもなく、汎用性の高い『アクセル』も熟練度が上がりやすいので、当たりスキルなのだ。


「そういえばマネキンとアイドルちゃんにターゲットがない…。つまりこの2人は敵対してないってことか。ターゲットの体感はまだないから、分かりやすくアクセルの方を試してみるか……『アクセル』」


『アクセル』とスキル名を念じると同時に、その結果を予測した行動を取った。


 何故ならそれは結果を予測、つまりはイメージしてスキルを使うことで、スキルの効果に振り回されず最大限に使うことが出来るようになるのだ。しかしそれが出来るのはスキルに対応できるレベルのプレイヤースキルがあってこそなのだが……。


 例えば炎の槍を放つ魔法を使う時は炎の槍がどういう軌道を飛びどこに当たるのか、そのようなイメージをして遂行させる、そこにプレイヤースキルが必要になってくるのだ。だが、魔法の、もといスキルの命中率や精度を高めることができても、魔法の威力や範囲を強めることはできない。


 しかし、それはスキルに限ってはその域を出る。例えば『アクセル』の場合は加速することができるのだが、それは言葉通りに加速するので単純にAGIが増加するだけではない。何故なら加速するときに起こる瞬間的な運動を火力に変換させることが出来るからだ。加速し、懐に一気に踏み込んでから繰り出される一撃は計り知れない。そしてその戦闘スタイルは職業『アサシン』、いや……それ以上にハルトの本能的な部分と噛み合っているのだ。ならばこそ普通の人なら現実離れした初めての加速に置いてかれるところを、ハルトは置いてかれない……否、扱いきることができるのだ。

 

 加速した後の攻撃とステップをイメージしつつ、右足を1歩前に突き出した瞬間に加速し、加速で生じた運動によって増加した火力を上段に構えた右手側の短剣で人形の首に叩き込みつつ、それで終わらせまいと右足を起点に少し軽く跳びながら回転し、2段目に左手側の短剣を腹に、最後の3段目を右手側の短剣でお気持ち程度の落下運動も込みで頭に叩きつけて、フィニッシュ!この間約3秒。


「うん、良い感じ良い感じ。さっきから思ってたけど、フルダイブ型VRゲームヤバいなぁ……。従来のリモコン型とは没入感と満足感が違う。でも1番はやっぱり、肌感だよなぁ。肌感があるだけで、ここまでゲーム感覚が違うとは……テンション上がったし、アイドルちゃんとスクショ撮ろっと!」

 

「やぁやぁアイドルちゃん。どう?カッコよかったでしょう?え?やっぱりそう思う?奇遇だね!僕もそう思ってたんだ!って…そろそろ本格的にヤバい人だな俺…。まぁいいか、スクショしよー」


 ――アイドルちゃんは、無表情で何も言わない……。

 

 アイドルちゃんの隣に、好きな人と一緒に並んで写真を撮ることになった照れ屋な乙女ポーズで……はいポーズ、カシャッ!(スクショ)


「うん、いい写真だ!NWOのスクショはアルバムにして残しておこー」


『――スキルの使用と、ハルトの鎮静を確認。チュートリアルを第4段階に移行するにあたり、取得する魔法の属性を選択してください』


 俺が鎮静……?と聞こえたような気がしたのが、このゲームのAIはプレイヤーの状態を知り、自分なりに咀嚼することで、その度合いに合ったあしらい方をしてくれるらしい……。ふむ、何ともありがた……ゲフンゲフン。とまぁそれはともかくとして、自分の目の前に現れていた画面に気を向ける。


――――――――――――――――――――――――


【魔法属性】

 

 火属性

▶︎敵を焼くことが可能な攻撃タイプ

▶︎火属性で一定のダメージを与えた部位は急所になる

▶︎軽い火魔法を使うことでBBQが出来る

▶︎燃えた木は時間経過で治る


 風属性

▶︎風による攻撃やアシストが可能なアシストタイプ

▶︎風を起こすことで浮遊することが出来る

▶︎風属性で切り裂いた部位は急所になる


 水属性

▶︎水による攻撃や回復が可能なヒールタイプ

▶︎水を出すことで清涼飲料水を飲める

▶︎装備が濡れる

▶︎水属性を浴びせまくった敵は移動速度デバフを受ける


 土属性

▶︎土による攻撃や守りが可能なディフェンスタイプ

▶︎泥を出すことで泥パックや泥団子作成が出来る

▶︎ゴーレムによる攻撃や防御が可能

▶︎性能の高い壁は、盾にも矛にも檻にもなれる


 雷属性

▶︎雷による攻撃やデバフが可能なデバフタイプ

▶︎雷を使うことで充電やマッサージが可能

▶︎雷による行動不可デバフは強力


『貴方は……どの子にしますか?』

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「最後までやかまし過ぎだろ!各属性で必ず1つ役に立つようなぁ?役に立たないようなぁ?っていう説明入れてるのなんで?電気マッサージとか泥パックとか何に使うの?っていうね。まぁ……多分だけど、NPC関係のクエストで使うんだろうけどさ。そもそも俺、MPに振ってないんだよねぇ…。んー、風か雷かなぁ俺の戦闘スタイル的に」


 風魔法で浮遊することが出来るということは、自分にそれ相応の運動が働くことになる……と思う。その運動を加速にし高速で浮遊することで、自分のテリトリーや戦法を増やすことができ、普通に移動が楽になる。


 雷魔法は行動制限デバフを与えることができるから、アサシン特有の超至近距離でデバフを与えつつ、行動、つまり怯んで何も出来なくなった相手を無条件でタコ殴りにできる。


 よって、どちらも相性が非常に良いので陽斗は悩んでいるのだ。しかし、今ここにいるのは陽斗ではない。ハルトなのだ。何よりもカッコ良さとロマンが大好きなキャラであるハルトが、何も出来ない相手をタコ殴りにするだろうか?否、しない。なら、縦横無尽に浮遊し相手を切りつけることはするのか?是、絶対にする。何故なら、縦横無尽に動き敵を倒す『アサシン』がカッコイイからだ。何故なら、単純に浮遊するのはロマンだからだ。


「やっぱりロールプレイ的に風だよねぇ…うんうん」


『風属性』で良いですか?

 YES・NO―YESー


『――魔法の取得を確認。チュートリアルを第4段階に移行します。魔法の詳細もウィンドウのスキル欄で確認することができます。また、魔法を使う時もスキル同様に、魔法名を念じてください。それでは、魔法を使用してください。あぁ……大丈夫ですよ、この場でのみMPを消費しないで魔法を使えます』


AIアイドルちゃんにここまで気遣われるなんて…なんて役と……ゲフンゲフン、なんて凄い技術なんだ…!えーと、魔法は…」


――――――――――――――――――――――――


【魔法】


 風刃ふうじん「消費MP10」

▶︎風圧の刃で切り刻む


 風纏ふうてん「CT:30秒」

▶︎足に風を纏うことで、一定時間内に任意での加速が可能

 

――――――――――――――――――――――――

 

「………ふぇ?風纏がアクセルの完全上位互換なんですけどぉ??アクセルさん、体育館裏で青春泣きしてるんですけどぉ???ま、まぁ…ク、クールタイムがね?アクセル先輩の方が、20秒短いからね?う、うん、大丈夫さ!はっはっはぁ…。とりま魔法使うか……『風刃!!』」


 困惑したり、スキルを慰めたりと、忙しないことこの上ないのだが、気を取り直して魔法を使った。体内にある魔力で創造された風の刃を、サンドバック君に当たる様イメージして放つ。放たれた風刃は物体化した風が刃状になった形を保ったままシュンッ!!と、高速でサンドバック君にイメージした軌道を通って首に当たり、貫通した。


「すぅううううう。えぇぇぇぇ……??グラフィックが綺麗だし迫力があるのは言うまでもないんだが……威力がヤバくね?確かに首っていう急所は狙ったよ?でも、貫通て…。これあれだよね?単純にサンドバック君が防御の無いサンドバックってだけだよね?うん、多分そうだな。じゃないと初期の魔法でこれはヤバい。このままじゃ最初の街に出るモンスターが、ゴブリンとかスライムじゃなくてオーガとかトロールレベルじゃん!サブジョブといい、スキルといい、魔法といい……なんつぅエグい内容なんだよいやマジで!」


 何回思い、何回感じ、何回考えたか分からない、このゲームのゲームバランス。レベル上限まで変更不可や追加不可っていう条件があるにしろ効果が今までやっていたゲームの、それもラスボス前のステータスの比じゃない。それが意味するのは、それだけの難易度の高さと理不尽さなのだろう。それに対して内心ちょっぴり緊張しつつも、それ以上の高揚感がハルトの脳内を支配していた。しかし、その興奮すらもハルトというキャラの冷静さで別のエネルギーへと変化させる。


「俄然やる気が漲ってきたああああ!!あっ……1人で盛り上がって、すみません」


 ハルトを機械的に生暖かい目で見る視線が1つ。


『――魔法の使用と、ハルトの鎮静及び反省を確認。チュートリアルを第5段階に移行します。チュートリアルを第5段階に移行するにあたり、プレイヤーハルトの言動を確認、参照します。タイプイレギュラー。ハルト、こちらへ来てください』


 アイドルちゃんから来るようにと誘われたので、何やらニコニコしてるアイドルちゃんを不思議に思いつつ辿り着いた。


「来たよー?どーかしたの、アイドルちゃん?」


『ハルトさん、前屈みになってください!』


(声のトーンが上がった?!機械的な声も好きだけど、こっちの声も良いなぁ)


 声のトーンが上がったことに驚きながらも、アイドルちゃんの前後の声の善し悪しを比較しつつ前屈みになる。


『それではチュートリアルを第5段階に移行します』


「ぐはっっ……!!」


 チュートリアルを始めると宣言したアイドルちゃんは、その人間とも見間違えるほどの精巧な綺麗な足でハルトの背中を勢いよく踏みつけた。いきなりの事なのと、痛みはないが意外と衝撃のある踏み付けを食らって混乱した。しかもそこで終わらないのがNWO産のAI、もといアイドルちゃんなのだ。踏み付けた後は踵でグリグリと足を押し付ける。


「この状況、冷静になるとご褒美……あぁダメージが!ダメージが凄いのぉーー!やめれえええ!」


『ふっ。やっと自分を解放しましたね……』


「自分を解放しちゃうのおおお!!………って、おい!これじゃ別ゲーだよ?!なんか乗っちゃったけど、違う趣旨のゲームになっちゃってるよ?!まったく危ないところだった、NWO恐ろしいな……。クールにいかないとな」


『ハルト、こちらをどうぞ…回復薬です。これを飲み込むとHPを回復することができます』


 何事も無かったかのように平然と回復薬を手渡ししてくふアイドルちゃん。おそらくアイドルちゃんとは仮の姿で真の姿は嬢ちゃん(意味深)なのだろう、とくだらないことを考えつつポーションを飲み込む。視界の端の方に表示されているHPバー(10/31)が全回復したのを確認しつつ、アイドルちゃんの手の温もりを「ふぁー」と気持ち悪い声を出しながら思い出していていると、思考を読み取られ『ハルトさん気持ち悪いですね』と蔑むような顔で睨まれたのでスクショを逃さず撮ったあと、AI相手に変なことは考えまいと強く誓った。


『――アイテムの使用を確認。第5段階のチュートリアルを経て、チュートリアルが終了しました。他の詳しい設定やシステムは、UI内の設定ウィンドウで閲覧できます。チュートリアルお疲れ様でした。それでは、を楽しんでくださいね!』


「待って、アイドルちゃん!!僕と一緒に行こう駆け落ちしよう!僕が君を幸せに……ぐわっふ」


 ハルトの右頬にダメージと痛みが生じた。仰け反ったハルトは一瞬何があったか分からなかったが、蔑むような目と、何か愛のムチビンタした後みたいなポーズをしていたので察した。


「冗談が……過ぎ…た、か……」


 遺言を残しつつバタリと倒れ溢れる涙が宙を舞っていると、チュートリアルを始めた場所にワープをしていた。涙を流しながら半笑いをして地面に倒れている、全身黒の狐面。その姿はさながら…というか不審者そのものなので周りから冷ややかな言葉と視線が飛び交う。


「何あの人、泣いてるんですけど…」


「ママー、あの人なんで泣いてるのー?」


「見ちゃ駄目よ、さ、行きましょう」


「全身黒に狐面って…拗らせすぎじゃね?」


「それなー」


 …………………etc


 INしてきた人には笑われ、通りすがりのNPC親子には腫れ物にされ、チュートリアルが終わったのであろう二人組の男剣士には厨二病認定……


「まぁ、確かにハルトは厨二病キャラだけどさぁ……それにしても酷い言い様で心がポッキリ、目からは悲しみの雫がドバドバ……って、してないな俺。よーし、切り替えていこー」


 陽斗は陽斗であってハルトでなく、ハルトはハルトであって陽斗でない。つまり陽斗は現実とゲームは完全に別物としているため、現実の陽斗とゲーム内のハルトは別人なのだ。もしハルトがアイドルちゃんにした様な反応や絡みを陽斗がした場合、両親や橘やクラスメート全員が、陽斗本体宇宙人に連れ去られた説を出しかねないし、普通に体調不良を心配される。だからハルトというキャラは立ち直りが早いし、陽斗がしないようなことをするのだ。


………………………………………………………………………………


⚠️普通の人がチュートリアルを受けた場合


『魔法の使用を確認。チュートリアルを第5段階へ移行します。チュートリアルを第5段階へ移行するにあたり、プレイヤー○○○の情報を確認。それでは移行します』

 

 パチンとAIが指を鳴らすと、プレイヤーのHPが少し減る。


『どうぞ、これは回復薬です。これを飲むことで自分のHPを回復することが出来ますよ』


※HPが1の場合は、普通に回復アイテムが渡されて、それを飲むと回復しますと説明されて終わり。

 

――――――――――――――――――――――――


【設定】


 

魔力

▶︎あらゆる力を代行、体現しえるもの。



魔法

▶︎空気中にある魔素(酸素みたいな化学物質の様なもの)を体内に取り入れることで魔力(MP)というエネルギーに変換し、それを使用することで森羅万象を引き起こすことが可能。これが魔法である。



スキル

▶︎技術、技。魔力を使用することで、スキルの効果(スキルを使用した結果)を体現することが可能。例えるなら『毒の効果がある攻撃をした』という結果を魔力によって体現するので、毒が付与された規定の攻撃を自分の意思も含めて半オートで体現できる。



プレイヤーとは?

▶︎ゲームをプレイしている人



レベルって何?

▶︎モンスターを倒すことで手に入る経験値が規定量集まると上がる、自身の価値の様なもの



モンスターって何?

▶︎基本的安全地帯以外に存在するプレイヤーの敵

▶︎ノーマルモンスター(そこらへんにいるモンスター)

▶︎レアモンスター(ノーマルモンスターの亜種)

▶︎ユニークモンスター(亜種の上位種)

▶︎ネームドモンスター(レイドボスモンスターやエリアボスモンスター)

▶︎アルティメットモンスター(モンスターの頂点にして原点。国一つを狩場するような存在。NPCからは神扱いされるモンスターもいる)

▶︎ゴッズ(それは神であり、概念であり、事象であり、理である)



NPCとは?

▶︎ノンプレイヤーキャラクターの略

▶︎言葉のやり取り、金のやり取り、拳のやり取りなどで関わる非プレイヤー

▶︎好感度があり、好感度が上がるとイベントが起こる可能性も(ストーリー、ジョブ、討伐、スキル、アイテム)



結婚って?

▶︎生涯を共に添い遂げると宣言し、誓う儀式(ゲーム内)

▶︎モンスター、プレイヤー、NPCなんでも可能

▶︎離婚は相互の同意のもと可能だが、昼ドラ展開はNG

▶︎異次元に家を持てる(無料)。外装内装変更可能(自腹)



プレイヤーがHP0になると

▶︎一定時間内なら蘇生可能

▶︎蘇生不可状態及び時間外ではセーブ地点にリスポーン

▶︎デスペナはない



NPCがHP0になると

▶︎非戦闘員はプレイヤーによるダメージを受けない

▶︎戦闘員(パーティーメンバー)は蘇生可能。方法はプレイヤー同様



スキルとは?

▶︎攻撃、防御、回復、製造などの技術

▶︎レベルアップと行動(ロールプレイ)で取得可能

▶︎レベルアップの場合はジョブによって代わる

▶︎ロールプレイの場合は、自分のした動きがスキルとなって、強化や進化も可能



スキルの強化とは?

▶︎スキルを繰り返し利用することで熟練度があがり、効果が増加する



スキルの進化とは?

▶︎スキルの熟練度が上限まで達すると進化し、格上のスキルとして変化する



PKは可能か?

▶︎不可

▶︎PKの代わりにペナルティ無しの決闘あり



プレイヤー、またはNPCとのアイテムトレードは?

▶︎両者が同意した場合のみ可能



フレンドとは?

▶︎ゲーム内で仲良くなった人のこと(互いの名前を記憶すること)または仲良くしている人のこと

▶︎パーティーに誘いやすい利点

▶︎メッセージを送りやすい利点などがある



職業(ジョブ)とは?

▶︎戦闘時に必要な役割であり、根底に存在するもの

▶︎ジョブによって装備できる武器が変わる

▶︎ジョブによってレベルアップで取得できるスキルが変化

▶︎進化によって派生する




サブ職業(サブジョブ)とは?

▶︎戦闘時の根底に存在するものではないが、ものによってはかなりのサポートになる

▶︎戦闘職用のサポートだけでなく、鍛冶師など生産職という第2の職業でもある

▶︎レベル上限まで達することで、追加でサブジョブを一つ装備可能



ユニ教とは?

▶︎世界に恩恵をもたらした母なる神『ユニ』を讃える宗教

▶︎存在する宗教のうちの一つ



クランって何?

▶︎プレイヤーで作られる団体のようなもの

▶︎仲の良い人、または同じ目標や志を持つ者が集まる



スクリーンショットって何?

▶︎ゲーム内で写真を撮ることが出来る

▶︎ゲーム内で撮った写真はリアルで保存することもできる

▶︎他人を撮る時はネットマナーに則って、断りを入れて承諾されてからにしよう



英雄度

▶︎NPCにプラスの影響を与えることで溜まる

▶︎高ければ高いほどその人物の名は広まる

▶︎一定値を超えるとNPCとの会話に補正が掛かる



好感度とは?

▶︎印象。NPCやテイマー相手のモンスターによって、上がる条件は変わる

▶︎基本的には高いほど良い

▶︎好感度が上限まで上がると結婚できる(既婚者以外)



テレポート

▶︎一度行ったことのある国や街などの特定の場所に無償で瞬間移動が可能

▶︎魔法使い職が使う場合は距離に見合うMPを消費することで行ったことのある場所全てに瞬間移動が可能

 

 

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NewWorldOnline 初心なグミ@最強カップル連載中 @TasogaretaGumi

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