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俺は結局、逃げ癖のついた不真面目大学生でしかなかった。
ここまで追い詰められても、突如天才的な閃きが降りて来るような事もなく、走馬灯の内容もショボく、結局は思考のほとんどを逃避に費やしていた。
スマートフォンを取り出す。あれから何時間経ったのか、もともと講義中にこっそり覗いていた事もあって、充電は残り30%を切っていた。
それが尽きれば、一週間程何の娯楽も無しに、この狭い空間の中で、飢えと凍えに苦しみのたうち続ける事になる。それは分かっていた。それでも俺が考えていたのは、最後くらい、彼女の声を聞いていたい、という事だった。
イヤホンを耳に入れて、スマホの画面をタップし、アーカイブの視聴を再開する。
『私、「死ぬ前にこれはやっておきたい!」、の精神でこれまで生きて来たんで。だから怪しい占い師とかにも会いに行きますし、変なセミナーにも潜入したりするんです。まあちょっと無茶だな、って所はありますけど、「どうせならやろう!」って精神のお蔭で、今の私があって、皆さんと会えたので、このスタンスは大切にしていきたいと思ってるんです』
それを聞いていたら、空元気だけは湧いた。
何処にも行けないし、どうしようもないのに、自分は何者にも成れる、そんな根拠のない自信が沸いた。
俺は昂りのままに、スキップしながらその空間をぐるぐる回る。
彼女の声に耳を傾け、彼女の姿を見て、その言葉に酔いしれて、
『だから皆さん』
踊り出したいのを堪えるように、バッテリーの残りを全て注ぎ込んで、最後の宴を楽しんで、
『これからも宜しくお願いします』
キキャァァアァァアアアアアアア!!
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