親友の彼女と友達になった

オタク友達

「圭、お願いだ! 一生のお願いだ!」

「いや一生のお願いがそれはおかしいだろ!!」

 翌日僕は親友に土下座されていた。

 朝、気晴らしにランニングでもしようと家のドアを開けたら金髪の陽キャが見事な土下座を決めていたため本当に驚いた。「まだ朝の五時なのになんでいるんだ……」といった気持ちと、「これが僕の親友か……」といった複雑な男子心が芽生えてしまう朝だった。しかも土下座の理由が不可解極まりないのだ。

「圭……お願いだから俺と愛莉と一緒に遊びに行こう!!」

「だからなんでだよ!」

 僕は何回目になるかわからないツッコミを入れる。なぜか圭は俺を二人のデートに混ぜたがるのだ。これは完全に寝取られ趣味がある。僕の親友本当にヤバイ。僕が心の中でドン引きしているが、瞬はそれでも土下座を崩さずに俺の家の前に鎮座している。時計を見るともう六時を回っていた。つまり瞬は俺の家の前に一時間以上待機していることになる。普通に怖いって。

「圭が来てくれないと俺は社会的に死ぬ……!」

「僕が行ったらある意味僕の方が社会的に死ぬんだが?」

 周囲から見たら、美男美女カップルのデートを僕が邪魔しているようにしか見えないだろう。それは絶対に嫌だ。俺みたいな陰キャオタクがいていい場所じゃないし、多分裏でなんか言われる。陽キャ怖い。

 それに、僕は瞬には絶対言えない秘密があるのだ。昨日、確かに僕は愛莉に見とれてしまったのだ。あの美しく可愛らしい少女の髪に触れたいと願ってしまった。端的に言えば、彼女に一目ぼれしてしまったのだ。どこか彼女は僕の推しキャラに似ている雰囲気があったのも、原因かもしれない。そんな下心を共にして、僕は彼女と会う権利はないのだ。なんか瞬は狂っちゃったのか何なのかわからないが土下座してるけど、僕の意思は変わらない。

「瞬、普通に二人でデートしてきてよ。本当にわけわかんないって。かぜでもひいたんじゃないのか?」

 僕は瞬の前に屈みながらそう言った。すると瞬はいきなりバッと顔を上げてきて、僕の目をみて言う。

「これは、愛莉のためなんだ!」

 何なのかはよくわからないが、瞬はガチだった。すごく徹夜のテンションだった。カラスが鳴いている声を遠くに聞きつつ、僕は瞬の言葉の続きを待つ。

「圭ってさ、結構アニメ詳しいし、しかも同じ趣味の友達が少なくて悩んでただろ」

 僕がまさか、と思うと同時に、瞬はにやりと笑う。

「愛莉もさ、お前と同じでオタクなんだ」


 僕は、瞬の申し出を受けることにした。

 ところで、瞬は何で僕がオタク友達が出来ずに悩んでいたことを知っていたんだろうか。裏垢でしか言ったことがなかったけれど、もしかしたら今まで顔にも出ていたのかもしれないな。







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なんか俺、親友の彼女にストーカーされてるんだが ぐらにゅー島 @guranyu-to-

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