不思議な彼女
友達の彼女に理由のわからない質問をされた。
「……ちょっとこっち来ようか愛莉! な? 圭もちょっとまっててくれ!」
瞬は、僕と愛莉の間に慌てて入ると、愛莉の手をグイグイ引っ張って僕から距離をとった。
「え、瞬! ねぇひどい! 約束が違う〜!」
愛莉は首をやだやだと振りながら何か駄々をこねている。僕の頭は「???」でいっぱいだった。
今、僕はパンツの趣味について尋ねられた気がする。しかし、僕も一度深呼吸をして落ち着く。いや、まさかパンツなんてそんなことを彼女みたいな可愛い子が聞くわけない。きっとパンダとかパンケーキとかの聞き間違えに違いない。僕はそう自分に言い聞かせて落ち着きを取り戻した。
少し半袖では寒いな、と思うくらい夜は深まっていた。愛莉と瞬の方に目を向けると、さっきまで子供みたいに拗ねていた愛莉が神妙な顔をしていた。愛莉はこちらに気がつくと、テクテクと歩いてきて、僕の前でペコリと頭を下げた。
「変なこと聞いてごめんなさい……」
とりあえず、パンツの好みを聞かれたことは聞き間違えではなかったらしい。
「圭、違うんだ。愛莉がパンツの好みを聞き始めたのは理由があるんだ」
「そ、そうなんです! 圭先輩!」
瞬は僕が勘違いしている、と、そう言っているようだ。そりゃそうだろう。可愛い女の子(彼氏持ち)が僕のパンツ事情に興味があるわけがない。
「じゃあ愛莉、ちゃんと説明できるか?」
瞬は愛莉の肩を叩き、愛莉は満面の笑みを浮かべた。
「うん!」
そう言うと、彼女はもう一度僕に向き合って言葉を紡ぐ。どんなアイドルよりも魅惑的な笑顔を僕だけに見せて、彼女は僕にこう尋ね直した。
「今日のパンツ何色ですか?」
……
…………
………………
「ちょっと愛莉黙ってくれる?」
「えー?」
瞬の眉がピクピク動いていた。僕はわかる。あれは彼が本当にイライラしている時のクセだ。怖い。
「えっと、今日は多分……黒かなぁ……」
怖いから一応返事しておくことにする。男のパンツの色とか誰得情報だよ。
「おー!」
愛梨はなんかキラキラした目で僕を見ている。なんであの子は嬉しそうなのか理解できない。
「圭、違うんだ。ほんとに違うんだ……! 俺に説明させろ!」
瞬は俺の両肩をガチッと掴むと、そう訴えてきた。目がギラギラとしていて、力が強い。肩にめり込む指がズキズキと痛む。そんな『昔の』彼のような面影に、少しゾクッとした。
「お、おう……」
勢いに押されるままにYESを答えると、いつもみたいな天真爛漫な瞬の笑顔に戻った。よかった、と瞬は呟くと、僕に説明をし始めた。
作者です!面白いなーって思っていただけたら星とハートもらえると嬉しいです…!笑
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