第二話 予想してた買い物とは……。
「てめえ、何だっ!」
「……むぉっ?!」
真比登の力は強い。
肌が浅黒い
背が低いほうの
「てめえ!
と怒鳴り、真比登に向かってムチをふるった。
(こいつ
いや、それはどうでも良い。)
そんな事を思いながら、真比登は右手で狙いすまし、ふるわれたムチをぱしっととらえた。
左腕は可哀想な名前の
(大ぶりだな。)
難なく真比登はよけ、ムチを手放し、右手で軽く拳をいなすと、
「まあまあ……。」
ぎりぎりっ、と
「ぎゃっ……。」
その怪力に、
後ろから、瞼が腫れた
真比登は
「オレは別に……。」
ムチをよけ、右足をぐんっと踏み出し、右手で、瞼が腫れた
(こいつ
真比登は涼しい顔のまま、ぎしぎしぎし、頭蓋がきしむような力でハゲ頭を絞り上げた。
「げひっ……。」
瞼の腫れた目が血走り、顔が苦痛に歪んだ。
「喧嘩しにきたんじゃない。
とうとう、瞼の腫れた男も膝をついた。
「お願いです。親切な
はっきりとした声をだした。
真比登は瞼の腫れた男から手を離し、
目があう。
(この
「この子を買ってください。こんなに細いんじゃ、誰も買ってくれないでしょう。
誰にも買ってもらえなければ、この子は……、夜を越せない!」
と
「え? うーん……。」
真比登は顎に手をあて、困惑した。
(思わず
たしかに可哀想ではあるが……。)
「オレもこの子と一緒に、あなたのところに行きます。
オレが、この子の仕事の分、全部やります!
何でもします! お願いです。」
と言った。
目尻に涙が滲んでいるが、
今、ぼろぼろ泣いたら、真比登は話を聞いてくれないと察し、泣くのを我慢しているのだろう。
(聡い子だな。
それは、真比登の心の
(たしかに、誰かに買われなければ、この
オレが買ってやっても良い。
だがオレは、
真比登はしゃがみ、
(これで
オレは
女童は、じっと真比登を見つめかえした。
真比登の左頬の
だが、その目には、動揺も怯えも見られず、ただただ、静かだった。
(良いだろう。強い子だな。)
真比登は表情を緩め、ふわっと笑った。
今は極度に痩せて、元気がないが、これだけ強い眼差しで、真比登を見ることができるのだ。心が強い子に違いない。
「良し。オレが買う。」
「あっ……、ありがとうございます! 親切な
緊張が解けたのだろう。
「小鳥売、これで、命は助かる。ううっ……。
優しそうな人だ。きっと大丈夫だ。オレもついてく。
にんまり、と笑った
「
手をスリスリ、揉み手しながら近寄ってきた。
「ああ、
「米300束で負けときますぜ。」
「ああ、良いだろう。家までついてきてくれ。即刻、渡す。」
「ひょう! 流石です益荒男、
奴婢売りの
真比登も、ふっかけられたのはわかっていたが、財貨には困っていない。
この卑しい男たちから、少しでも早く、この女童と男童を引き離したかった。
「交渉成立だな。そこの
「
「
真比登は腰に
「ひょう!」
今度は、
「オレが運ぼう。」
真比登は、チン……、と
「
「小鳥売。」
小鳥売を抱き上げると、木の枝のように軽かった。
真比登は
真比登は、笑顔の明るい青年である。
小鳥売は、ただ、真比登を見上げた。
表情はひどくぼんやりしていたが、やはり
真比登は、
(予想していた買い物とは、ずいぶん違う買い物になったな。)
と思ったが、小鳥売と
ぐう。
(お?)
真比登の腹が鳴った。
(そう言えば、オレも朝から水しか飲んでなかったな!)
続き、
きゅう。
くるる……。
と可愛らしい音で鳴いた。小鳥売は、もじ、と恥ずかしそうに、軽く身じろぎした。
「ははは! 良し、
食べ物なら、家に豊富にある。
オレも腹が減った。
小鳥売には、好きに食べさせてやってかまわないが、ここまで弱っていると、沢山食べるとかえって毒になる。
隣を歩く
「はい!」
いずれ
十五歳の美しい
↓挿絵です。
https://kakuyomu.jp/users/moonpost18/news/16818093079951181308
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