第18話 2つのシーグラス

馬車で走ってると海が見えてくる。


「海、か…」


と思わず呟く。


「どうした?」


「私海行ったことないんだよね…そういうところに住んでなかったし…それに」


「ルカが死んだ後は何処にも連れてってもらえなかったし」


するとベータは思い付いた顔をして


「よし」


と言った。


「どうしたの?」


「海に行くぞ」


「え?今なんて?」


聞き間違いかな?


「だから海行こうって言ってんだ」


聞き間違いじゃなかった。


ベータって慎重じゃなかったっけ?


「今私達、逃げてるんだよね…?」


「嗚呼、そうだな」


「じゃあ何故?」


「安心しろ、私がそんな馬鹿だと思うか?それにこの行動は作戦の内だ」


「え…?そうなの?」


「嗚呼」



〜〜〜〜


「わあ、海ってこんなに冷たいんだね、なんか気持ちいい!」


今海辺にいる。


波の音が心地いい。


追っ手とかは大丈夫なのかというと今私達は透明になる魔法で透明になっている。


でさっき乗っていた馬車は瞬間移動で駅に移動させ追っ手を欺くという作戦だ。


バレる可能性もあるが一か八からしい。


まあ「馬車はいくらでも出せる」とベータが言っていたので大丈夫だろう。


ベータ曰く、逃亡する事がバレるのは分かっていたのでここで私達は立ち止まりこの作戦でいったという。


「初めての海を楽しんで貰えて良かった」


「うん!すっごく楽しいよ!ベータ!…あっ」


海辺にキラリと光るものを見つけた。


これって…


「シーグラスだ!」


「絵萌も見つけたのか。私もさっき見つけたんだ。そうだ、ちょっと貸してみろ」


すると彼は2つのシーグラスに魔法をかけた。


私の見つけた青いシーグラスとベータの見つけた紅いシーグラスは形が整い指輪のアームが付いた。


「初めての指輪がこんなので情けないが、受け取ってくれるか?」


「情けなくないよ…すごく嬉しい…!」


そしてベータは私の左の薬指にあかの指輪を付ける。


「私にも付けてくれるか?」


「うん!」


そして彼の指にも指輪を付ける。


「結婚指輪だね!なんか嬉しいな」


「私も幸せだ」


と笑い合う。


どうか、逃げ切れますように…


そして、この幸せが終わりませんように…




どうか終わらないで…



            To Be Continued

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