第15話 変わった"デート"
「ベータってさ」
「どうした?」
「人間時代ってこの前、踊ったとき言ってたけど、前は人間だったの?」
ぶっちゃけ気になってたので聞いてみた。
「嗚呼」
「あれ?意外とすんなり答えるんだね」
「隠してることじゃ無いからな」
「そっか」
意外とはぐらかすかと思った。
「教育係にワルツ教えてもらったって言ってたけど意外と貴族だったり?」
「嗚呼、結構昔のフランスの貴族だったな」
「そ、そうなんだ」
いやエリートじゃん。
「そうだ、今日は夢の中でデートでもしないか?」
「え、面白そう!」
「じゃあ、昼寝するなよ、まず眠気が無いと夢は見れないからな」
「はーい」
〜〜〜〜
「寝る準備できたよ!早く早く!」
「楽しみなのは分かるが、急かすな」
そしてベッドに入る。
「私が魔法で夢の世界に連れて行くから、お前はそのまま眠気に身を委ねればいい」
「うん」
そして私は目を閉じた。
目を開けると、お城の中だった。
広くて煌びやかで本でしかみたことない景色だ。
「ようこそ、私の人間時代の住処へ…とは言っても私の記憶から作り出した空間だが」
「すごい!記憶から作ったとしてもすごいよ!」
「喜んでもらえたなら良かった」
ベータはこの環境の中で生きてたんだなあ。
「絵萌」
「どうしたの?ベータ」
「私は此処で物質だけは恵まれた生活を送ってた、両親を早くに亡くし、愛されず、ただ物しか与えられず、貴族としての教育を受け、機械のように愛情を感じない人生を送るだけだった」
「…そんな」
そんなの…辛すぎるよ
「でも、人間としての生を終えて、ようやく愛というものを理解できた…
雨の中私が人間界で猫の姿から戻れなくなってた時お前はそばにいて温もりを与えてくれた」
「え⁉︎あれってベータだったの⁉︎」
「嗚呼」
ベータは私の頬に触れる。
「私が愛せたのはお前だけなんだ、絵萌」
「ベータ…」
私の頬に当ててる彼の手に自身の手を重ね
私が先にベータに愛情を教えてたんだね…だから私を愛してくれたんだ。
「私だって愛せたのはベータだけだよ、だってベータだけだよ、私を愛してくれたのは」
「絵萌」
「うん」
「どんな事があろうと私はお前だけを守り、愛すと誓おう」
「うん、私も何があっても一生ベータ愛し、そばにいると誓う」
私たちは誓いを口にし、優しい口付けをした。
簡単だけど私たちにはこんな誓いでいい。
だって結婚式みたいに神に誓うほど私たちは綺麗じゃない。
そんな私たちにきっと報いが来るのは分かってる。
『死が二人を分つまで』というけどきっと死さえも私たちを分つことは出来ない。
だってこの誓いは消えないから。
To Be Continued
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