第14話 ワルツ

「ワルツか…」


そう呟いたのが始まりだった。


私は読んでた本でそのシーンがあったので声に出てしまった。


「なんだ?興味あるのか?」


「興味あるっちゃあるけど…私の人生はワルツとは無縁だよ」


するとベータは立ち上がり


「お前でも踊れるようにしてやる」


「本当に?」


「悪魔である私に出来ないことは無い」


するとベータは私の額に指を当て


「絵萌、目を瞑って『私はワルツを踊りたい』と心の中で言え、あとは私に身を任せろ」


「うん」


私は心の中で『私はワルツを踊りたい』と言う。


あれなんだか踊れる気がする。


「一曲踊っていただけますか?」


とベータは私にてを差し伸べる。


もちろん私は


「はい」


と答え、彼の手を取る。



やってみるとまるで映画の役者さんのように綺麗に踊れる。


そして、服はベータの魔法で一時的にお姫様みたいなドレスに変わっている。


お姫様みたい!


こんな気持ち初めて…!


「すごい、上手く踊れてる!」


「だから言っただろう」


それにしても


「エスコート上手だね、誰かと踊ったことあるの」


きっとモテるんだろうな、こんなにエスコート上手いって。


「人間時代に教育係に教えてもらっただけだ」


「そ、そうなんだ」


「なんだヤキモチ妬いてるのか、本当に可愛いお姫様だな」


「っ!」


顔が熱くなる。そう言うところだぞ。


「大丈夫だ、私が踊りたいのは何があってもお前だけだ」


「ベータ…」


ベータは嫉妬の気持ちが消えないのが分かってたんだ。だからこう言ってくれた。


ベータは優しい。


それにワルツに憧れていても踊れない私のために魔法をかけて踊れるようにしてくれた。


きっとその優しさは私にしか向かないのだろう。


でも、私はそれでいい。


「ねえ、ベータ」


「どうした」


「また、踊ってくれる?」


「嗚呼、もちろんだ」


このままこの幸せが続きますように。



            To Be Continued

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る