第10話 oath

「姉さん、聞いて、ここにいちゃダメだよ…ねえ、元の世界に帰って一緒に暮らそう?」


「なんで?」


「僕はトラックに轢かれた君を助けるためにベータに人間としての人生を支払い悪魔になったんだ。

ずっと姉さんの元に帰るために辛くても悪魔として頑張ったんだ!

だから姉さんを想ってるのは僕なんだよ。

あいつに騙されないで!」


と必死に訴える。


想いが伝わってくる。


「ルカ」


私はルカに歩み寄る。


「姉さん?」


そしてルカを抱きしめる。


「私の命を助けるために悪魔になったんだよね、ありがとう」


「姉さん!分かってくれたの⁉︎」


と笑顔を見せる。


ああ、相変わらず単純ね。


私は袖に隠したものをルカに


_突き刺した。


「ガッ!」


ルカの胸と口から血液が溢れる。


「ど、うして…」


「貴方が相変わらずの馬鹿で良かった、騙すのも簡単だったよ」


ルカの表情は絶望で染まっていた。


「でもさっきの感謝は本心だよ」


「きっとルーと家に帰っても同じことを繰り返すだけ、お母さんは私を元々愛してないんだもの。

ルーの見てたお母さんの私への愛は所詮仮初なんだよ」


「でもね、唯一ベータは私を愛してくれる。私はベータと一緒にいる」


「私はベータと一緒にいれるなら悪にだってなる」


「だから、さようなら」


ルーは動揺していたが諦めた顔をして


「君たち、は狂ってる…でも…どうなっても、良いなら…足掻いて…苦しむがいいよ…」


そう途切れ途切れに言葉を発した。


ルーは動かなくなり、肉体も塵となって消えた。


だが彼の受話器が残っていた。


すると留守電みたいなのが流れた


『幸せになって、姉さん』


「…」


これでいいの。私はベータと共に生きる。


それを邪魔する輩がまた現れるなら消すだけ。


でも


「ごめんね…ルカ、幸せになるよ」


私はルカの言う通り幸せになる。


だから大丈夫だよ。


いつの間にか受話器は消えていた。


そして合図がなる。


ドアを開け


「おかえり、ベータ」


といつものように彼とキスをする。


彼は部屋を見やり


「頑張ったな」


と頭を撫でた。


きっとこの部屋でなにがあったか分かったのだろう。


「辛い選択をさせてしまったな」


「ううん、貴方といれるならなんだってするよ」


『私はベータと一緒にいれるなら悪にだってなる』


その誓いが強く残っていた。


            To Be Continued

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