第8話

ルーと話していると思い出しそうになることがある。


本当は元の世界のことなんて思い出したくないのに。


私には弟がいた。


弟がいた時は、お母さんも優しかった。


とても幸せだった。


でもそれは、突然終わりを迎える・


私は、トラックに撥ねられてしまった。


でも私は、一命を取り留めた。


しかし、頬に黒い痣ができてしまった。


それだけでは悲劇は終わらない。


弟が突然の心臓発作で亡くなってしまった。


その後からは最悪だった。


優しかったお母さんはひとが変わったかのように私に酷く当たるようになった。


今思えば、あの優しさは弟がいたからこそのものだったのだろう。



プルルルルっ!


考え事をしていたらいつもの如く受話器から着信音。


まただ。本当にしつこい。


ルーはなんでこんなに私に執着するの?


これ以上貴方と話すと嫌なことがフラッシュバックするの。


そしてどうして私とベータを引き裂こうとするの?ほっといてよ!


「うっさいな」


私は我慢できずに受話器を部屋の外に乱暴に投げ捨てた。


ふう…やっと静かになった。


いつもは無視を決め込んでいるが、もう鬱陶しいのでこうした。


そういえば、ベータが出かける前、私にナイフをくれたっけ。


「もしも、お前を狙う輩が来たときに使え、場合によっては殺してもいい」


って言ってたな。


私はこのナイフでどうするか決めていた。


彼が来たら…必ず。


そう決意した。


そしていつもの合図が鳴る。


「おかえり、ベータ」


「ただいま」


と私から深いキスをする。


「んっ…?」


今日は逆で彼の口に舌を入れる。


私からするのは初めてなので流石のベータも驚いている。


「…はっ…随分今日は積極的だな、したいのか?」


「うんっ…」


私はずっとこの愛に溺れていたい。


それだけだ。


〜〜


「どうして…絵萌…いや


_姉さん」


         To Be Continued

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る