第7.5話 初めての

私の心に強く残ってる記憶がある。


それは、10年前のことだ。


当時、人間界に来た時私としたことが、猫の姿から戻れなかったことがあった。


猫の姿ではどうも魔法が使えず、雨の中寒さに耐えることしか出来なかった。


「だいじょうぶ?」


突如、上から幼い声が聞こえた。


声のした方を見やると、傘を持った少女が私に傘を差し出していた。


「もしかしてさむいの?じゃあ」


声と同時に視界が高くなった。


持ち上げられたと判断するのに少し時間がかかった。


すると私は抱きしめられた。


「こうすればあったかいよ」


本当に暖かった。


これが温もりなのか。


これが優しさなのか。


私は彼女が欲しくなった。


愛したくなった。


だから元の姿に戻っても彼女を見守った。


どんなことがあろうとも、彼女を守り、私のものにする。


だから、あの日もあの決断をした。


奴の人間としての人生を代償に彼女を助けた。


そして今彼女の顔にある黒い痣、私のものであるという印を付けた。


彼女は、奴…いや弟を大事にしていた。だから邪魔だったと言うのもあったが。


そいつがまた彼女を奪い返そうとしている。


それなら、こっちにも考えがある。現実を見せつけてやる。


嗚呼、絵萌…私に愛することを教えてくれたのはお前なんだ。


私の愛が歪んでいても愛してくれるか?


            To Be Continued

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