第10話
いや、しかし、風呂屋といえどもスーパー銭湯。
どれだけコラボしていようとも公序良俗に反したものは無いはず。
それに風呂屋で騒ぐのマナー違反、濃いファンが外にいたからアレだったが、中に入ればゆっくりできるはず……
俺はそう思い、会計を済ませて父さんと一緒に脱衣所へと向かう。
料金プランにランダムにグッズが入っているセットもあったが、父さんも母さんもそういうのは家が狭くなっちゃうから心に響いたときしか買わないタイプなのでスルーしていた。
「ママは1時間ぐらい入るからふたりともゆっくりね〜」と母さんは手を振って別れ、俺達も軽く手を振って脱衣所へと向かっていく。
途中、食堂では「綺羅星カレンちゃんプロデュースメニューうますぎぃ!こんなの食ったらもう二度と母ちゃんの飯食えねえよ!」とか休憩所にある等身大パネルに5歳ぐらいの子どもが「カレンちゃんと写真とりゅ〜」といって写真を取っていたりとかハチャメチャなことになっていたがスルーをした。
脱衣所に入ると、空いているロッカーを見つけ、開ける。
俺は服を脱ぎ、タオルを取り出す。
すると周囲の人達は一斉に俺の方を見てきた。
いや、正確には俺は見ていない。
服を脱いだ父を見ているのだ。(乳ではない)
「いやぁ。親子で風呂ってのも良いものだなぁ」
と父さんが呟くと同時に
「おい、みろ!あの筋肉。すげぇ!ハリウッド俳優みたいだ!」
「ホモになっちゃうよ……やばいやばい……」
「ンァー!」
と小さい声で周囲の声が聞こえてくる。
俺は「そうだね」と返すが、俺も父の乳を見る。
やっぱりすげえや……父さんの筋肉……
と思いながら、いつもの事なのでスルーして、風呂場へと向かう。
ここから先は自分の世界だ。
父さんも俺も風呂の入り方は似ているが一緒の流れでは入らない。
それでは整わないからだ。
スーパー銭湯と言えばサウナ。
サウナと言えば整い。
そう、俺はサウナーなのだ。
まず、かけ湯。洗体。そして、温泉。
その流れで進んでいく。
道中、『綺羅星カレンプロデュース。カレンの湯』と書かれた薬湯コーナーがあったがスルーした。
「すげぇ!綺羅星カレンちゃんプロデュースの薬湯!茶色に濁っているぞ!薔椒(バンショウ)茴香(ウイキョウ)生姜(ショウキョウ)蒼朮(ソウジュツ)黄柏(オウバク)が入っていて、成分が濃い!こんなのアイドルのセンスじゃねぇ!流石カレンちゃんだ!」とわけわからん事を叫んでいる人がいて、店員さんに怒られたいたのは目に入っていない。
「ふぃー。いい気待ちだ……」
のんびりしていると店員さんの声が浴室に響く。
「これより悶絶調教熱波師タクヤのアウフグースショーの開幕です。整いたい方、是非サウナ室へとお越しください!」
その声に俺は急いで湯船を出た。
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