第6話 訓練って終わりがないよね

 うーん、ちょっとやばい先生が多い気がする。トール先生はなんか目つき怖いし、ルイス先生に至っては時折、私を見て恍惚とした表情をしている気がするのだ。まあ、自意識過剰が故だろうが。


 ルイス先生はお腹空いているのだろうか。ちゃんとお給金でてると思うんだが食べれるほどもらっていないのだろうか。魔力を使うとお腹がすきやすいのかもしれない。今度差し入れでもしよう。いや、前回って魔法使ってなくね??


 ちなみに、武術の訓練はその日の一番最後になった。初日に他の授業がまともに受けられなかったため、他の講師から猛抗議が入ったためだ。トール先生はお預けされた犬のような顔をしていた。そんなにも私の指導に真剣に取り組もうとしてくださっていたのかと少し感動してしまった。トール先生、あなたについていきます。


 礼儀作法の講師だがどこかの貴族夫人が担当してくれることになった。ザマス口調の癖の強い女性だ。ぜんぜんできない私に苛ついてか厳しい。しょうがないじゃん。初めてなんだから!腹いせにザマス先生と心の中で呼んでいる。一度、うっかりと口に出して以来、より厳しくなってしまった。泣きたい。


 戦術の授業だが、中々に面白い。なにせこういうのは男のロマンであろう。どうやら、平野で合戦を行うのが主流のようだ。はじめに矢合わせをしお互いに矢による応酬しつつ、接敵し戦が始まるらしい。

 

馬の運用に関しては両翼に配置して敵の背を狙ったり、接敵して隙ができた箇所に投入するために後ろに配備したりと指揮官の好みらしい。まあ、両翼に配置するのが無難らしいが。


 あと、意外なのは槍がそこまで主流ではないことだ。どうやら剣のように全体が金属でできていないため、魔力がうまく通らず、剣で簡単に武器を破壊されてしまうらしい。この世界では、魔力で武器を強化するのが常というわけだ。

 

 それなら槍を全部金属で作るか全体を金属で覆うかすればいいのではと思ったが、それも重量の問題で難しいのと、手から矛先迄の距離が長く魔力の制御がうまくできないらしいことからやはり難しいらしい。そんなわけで槍は相当なもの好きで魔力制御に長けたものか、稀に100人に1人いる魔力なしが使う程度らしい。魔力なしは普通は弓を使うらしいがな。そういうわけで槍使いにあったら大抵、手練れだから気をつけろとのことだ。


 というか、魔力持ってるのって珍しくないのか〜。なおさら、後継者が難しいということが分かった。魔術を基本的にには使えないが魔力を持ってはいる平民と状況が一緒なのだ。


 そんなわけで戦術の授業が終わり、無属性魔法を習うこととなった。この無属性魔法も侮れなく、むしろ死なないためには必須だという。というのも、武器を強化するのはもちろんのこと、身体強化、わずかなの傷回復の促進などもできるらしい。


 ここまで聞くと、魔法なんかなかった前世からきた自分からすると十分だろーっと思ってしまった。とはいえ、属性魔法持ちもこれらができるわけで何もアドバンテージにはならない。

 

 しかし、私の十分だろーという考えも間違いではないらしく、稀に平民から無属性のみの英雄が出るらしい。その情報だけで少しは頑張れるものだ。


 ルイス先生に魔力操作を教えてもらったのだが、その際に手を強く握られスリスリされた。手を通して体の中の魔力を動かしてくれるらしい。なんとなくだけど感覚は掴めて来たかもしれない。


 だが、やけに汗ばんでいるのはきっと、それだけ体外から動かすのは困難と言うことだろう。ルイス先生もすごいな。きっと、恍惚とし表情に見えるのは気の所為であろう。


 身体強化強化などに関しても一通り軽くは教わったが、よくわからない。ルイス先生には手取り足取り教えるから一緒に気長に頑張ろうと手を掴んで言われた。ルイス先生優しい。頑張ろうと思った。


 最後に、トール先生だが、木剣による先生の攻撃を私が防御するとのことだ。正直に言って全く見えない。流石トール先生だ。何回も何回も鎧を着ているとはいえ良いのを貰ってしまった。


 しかし、鎧を着てるとはいえ衝撃がけっこう来るので死ぬほど痛いのだ。というか骨にヒビが入ったことさえある。そこは流石、異世界のポーションで直して貰えた。とはいえとても怖いのだ。眼光が鋭く執念が宿ってるようにさえ見える。ここまで熱を入れた指導をしてくれるとは流石トール先生だ。


 何回も受けるにつれて、見えてきて剣に剣が当たるようになってきた。まあ、そんなんお構いなしに剣は吹き飛んで鎧に当たるが!でも、成長しているのがわかりキラキラした目を先生に送ってしまう。


 先生は違う!!!違う!!そうじゃないんだ!!と言われていたが、もう少し具体的に教えてくれるとありがたい。


 訓練後はすごく疲れた顔であいつなんなんと言っていた気がするがよくわからない。

 

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