第5話 教師サイド
俺はトールと言う。これでも、元はAランク冒険者そして、王国騎士も務めた。我ながら出世コースに乗ったと思う。
まあ、そんな王国騎士も上司や同僚と折り合いが合わずに辞めることになってしまった。貴族の家出身のやつも多く、平民出身の俺が目障りでしょうがなかったらしい。あんなクソ野郎度もこっちから願い下げだ!!魔物にでも食われちまえ!!
そんなわけで露頭に迷ってしまったのだ。幸いにも妻や子がいなかったので、働かずに元職場の不満を発散するために日々、酒場に通い詰め、時には夜の町に消えたもんだ。
だが、そんなに豪遊を毎日していては路銀もつき、日々の生活も怪しくなってきてしまった。そんな時に貴族の坊っちゃんの指導の話を聞いたのだ。それなりの実績、実力も求められるらしいが俺なら大丈夫だろう。あと給料がすこぶるいい。王国騎士の倍の額がもらえるようだ。
王国騎士だって、平民の年収に比べて4倍近い額を貰っていたのだ。まあ、ほとんど武具の用意などに消えていたが、、とにかくそれを考えると破格であるのは間違いないのだ。
多少、貴族のクソガキが喚こうがこれなら我慢できるというものだ。まあ、これだけ条件が良いとなると競争相手も多かったが、他の奴らはボコボコにしてこれを掴み取った。
依頼内容を貴族の奥方様から直接に聞かされた。普通はこんな平民に貴族様が、実の息子のためとはいえわざわざ会うことなどないのだが、それだけ本気ということなのだろう。なんでも、ミレイ様というらしい。ちょっと目つき怖いけど、綺麗な人だった。
依頼内容だが、とにかく殺す気で鍛えて欲しいらしい。あと、死なないようにしてほしいらしい。殺す気と死なないって矛盾していると思うんだけど、いいのだろうか。一応確認したが、もし死んだらお前も殺すと言われた。まあそうだろうな。あと、そんな目つきのミレイ様も素敵です。
王国騎士団の経験から貴族に期待なんかできない。根性も曲がっていて、何より堪え性がないのだ。日頃、ぬるま湯に浸かっている証拠だろう。あれが騎士団とは本気でこの国は大丈夫なのだろうかと思う。この仕事を終えたら他国に移り住もうかと考えている。
そんなわけで、貴族の坊っちゃんに教えることになったわけだが、営業スマイルなんてお手の物だ。とにかく、相手を適当に煽てて無難にこの仕事を終えようと思った。
だが、こいつ最高に厳しくお願いしますと来やがった。あれか!ミレイ様の殺す気で死なないようにするというのはガチだったのだろうか。中々骨のあるやつなのかもしれない。
だが、目つきが気に入らない。日頃、騎士団で見てきたクソ貴族どものそれだ。この坊っちゃんには悪いが日頃の恨みを少し晴らさせてもらおうと思う。
本当は剣術の方なんか教えて適当に終わろうかと思ったんだが、方針変更だ。徹底的にいじめてやろう。騎士団の同僚に仕返しをできるようで表情が一瞬崩れるが堪えたと思う。少し坊っちゃんが引いていた気がするが気の所為だろう。
坊っちゃんには鎧を着せて、走り込みをさせることとした。これけっこうきついのだ。鎧が重く何よりも鎧同士の邪魔をして動きづらくい面もある。もし止まったり、座ろうとしたら引きずってでも無理やり走らせてやる。なーに、走るだけだ死にはしないさ。ただ少しの絶望を味合うだけさ。
知らない貴族との因縁を押し付けるようで少し悪いがまあ、バレないしいいだろう。
だが、おかしい。走り始めて1時間立つが、止まったり座る気配がない。たしかにペースが落ちて顔はすごい苦しそうであるが、それを維持して橋って嫌がる。
「体力は大丈夫です」なんか、ほざいていやがったが本気だったのだろうか。どうせ嘘だろうと思って相手にしなかったし、何なら大丈夫な訳ないだろうと思ってかなり苛つかせられたものだ。
結局やつは4時間走り抜きやがった。おかしい。ただの12歳じゃ鎧を着て5分走るのだって、厳しいだろうよ。止まったところ、引きずって走っていじめ抜いて、あわよくば上下関係を教え込む作戦がご破産じゃーないか。
これじゃあ、こいつをいじめ抜いたことにならない。早く他のことを考えねば、こいつを絶望させなければならない。つい殺しそうな目で視線を送ってしまったが、気づかれてないことを祈ろう。
あと、なぜか終わった跡に妙にキラキラした目で見られた。上下関係は教え込めたかもしれないが、そういうことじゃない。お前をいじめ抜いた末にそれは掴まないとならない!!!これは貴族への俺の報復なんだ!!金を貰って報復できる最高の機会なんだ。だからそんな目でみるな!!!
いつか絶望をお前の目に宿してやる。
◆
私は魔術師のルイスといいます。縁あってライル様に魔術を教えることになりました。これでも一応、魔術王立学園を主席で卒業しているのです。
魔術学園には奨学金も借りているので早く返したいのもあって給料のいい今回の仕事は渡りに船だったのです。あわよくば、就職先としてそのまま貴族に雇われるかもしれません。そしてあわよくば、お手つきになれるかもしれません。お恥ずかしながら年下が好きなのです。
そんなわけでライル様に教えることになったのですが、第一印象は丁寧だけど目つきが怖く、クソガキかと思いました。こいつ、ねこ被っているだけだと思いました。
ただ、目つきは悪いけど顔はいいのです。今から私が育てれば、いい素材かもしれません。あ、よだれが。。(ジュルリ)
ライル様の魔力量は事前に知らされており、まあ凡人魔法使いの魔力量です。首席の私はその倍はあるのです。あと、前任の講師の資料によると属性魔法の適性はなしだったそうです。貴族としては珍しいのです。
無属性魔法でもできることは多くあるので、そちらでなんとかするしかないかと思います。奥様に殺す気で死なないようにしてくれと言われましたが、この資料をみると難しいかもしれません。とはいえ、嘘でも頑張りますといいましたが。
あと、ライルくん死ぬほど疲れていました。そのせいで魔力測定しかできなかったのです。武術の先生に文句を言わなくてはというか、いつもこうならなら一番最後にしてもらわなくてはならないのです!
ちなみにライルくんの魔力ですがデータの倍に増えてました。いやなんでよ!!普通は増えないはずなのです。これが事実なら学説がひっくり返るレベルなのです。まあ、前回の測定ミスでしょう。
とはいえ、宮廷魔術士が凡人魔法使いの1.5倍程度の魔力であることを考えると、ライルくんは魔力だけなら天才の私と同じ域です。これなら殺す気で死なないようにできる希望があるのです。
このライルくんを殺す気で育て上げて、玉の輿に乗れる日が来るかもしません。
あ、よだれが。。
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