第4話 いざ鍛錬を!!
母上に頼んでいた指導者が来た。この時代は中世レベルの文明レベルで電気もなく当たり前だが、電話も自動車もない。移動は良くて馬車、あとは徒歩だ。
そんな世界だから誤算だったのだが、頼んでから一ヶ月の日時が過ぎてしまっていた。兄の成人の儀が10ヶ月後であることを考えると時間がない。今から後継者としての立ち位置を築かなくてはならない。
もしも、希望があるのだとしたら、兄が武術を軽視しているという点だ。なんでも貴族が武術なんて野蛮だってことらしい。まあ、前のライルも同じ考えで武術なんて修めなかったらしいから強くは言えない。でも、この世界は戦が多く、武力とは重要な要素となる。ここに勝機を見出すほかないだろう。
ちなみに、この家は日本で言う戦国大名のような立ち位置だ。なんでも、国が荒れて州ごとに争っていて、その州の一つを治めるのが我が家らしい。何やってんだよ王様。他国も王国を虎視眈々と狙っており割とそれどころではないと思うのだがな。
そんな状況なわけで武術に優れた領主は支持されるらしい。まあ一人が武術に優れているくらいで何ができんだよと思うが、さすが異世界だ。魔力があるらしい。その不思議パワーで一騎当千の騎士も稀にいるとか。
まあ、主が強くないとその一騎当千の騎士にすぐに討ち取られるなんて歴史が良く起こってしまったみたいなのだ。だから、ある程度せめて自衛できる能力くらいは欲しいよな〜ってことで武力のある領主が望まれるとのことだ。まあ、周りがちゃんと守れよって思わなくはないが。
流石に一ヶ月、死ぬ気で体をいじめると体力がついた。やせ細った体がもとに戻るどころか、体に力がみなぎるような気分である。今なら、兄をボコボコにできる気がする。あの肥満野郎を殴り倒すのが実に楽しみである。そう思わないと、死の恐怖があるからほんとにやってられないのだ。
それを小さな目標にして頑張ろう。後継争いで勝って兄をなぐることを目指そうではないか!でも、こういう小さいことを考えてしまうあたり自分は凡人だと思ってしまう。だって、前世のこと考えると兄なんて子供なのだ。まあ、自分の命を取ろうとしてるけど、、
さて、指導者だが4人来た。いや、ママン。俺が頼んだの。武力、戦術の2つだぜ???4人は多いだろうよ。数はいいから質を上げてくれといいたい。
母上に確認すると本気で後継者争いで勝とうとしてそれで足りるわけ無いだろうと怒られた。さすがに、武力だけでのし上がれるほど現実は甘くないか。まあ、それでも足りないらしく、必要最低限であるとのことだったが。
あと、母上の実家に頼って資金を借りたらしい。借金してる状態だから、早く後継者になって借金返してと言われた。なにそれ、初耳。
内訳として政治、礼儀作法に一人、武術に一人、戦術に一人、魔術に一人だ。どれも質のいいものを集めたせいか金がかかったらしい。名の売れた冒険者、王に仕えたものなどらしい。
いよいよ、本格的に力を入れるつけられる。てか、以前のライルの先生はいないのかと思ったけど、癇癪を起こして首にしてそれきり自由にしてたらしい。なにそれ、自覚持てよ。嫡男の。
まず、武術の先生がきた。
「ライル様、主に剣術を教えるトールっていいます。以前は王国の騎士団に所属していました。よろしくお願いします。」
あ、剣術なんだ。というか、武術だからもっと粗雑なのを予想していた。母上、見かけだけで選んでないよな??あとなんか、こいつの笑顔が外面を取り繕っているだけのようで妙に胡散臭い。だが、残り少ない時間で劣勢を覆す最低限の力を掴み取るためにも、この先生を信じ、我武者羅に励むしかないだろうと思う。
「トール先生こちらこそよろしくお願いします。教えて貰う立場として敬称及び敬語を付けて貰う必要はありません。ただの弟子として扱っていただいて大丈夫です。」
「あい、分かった。耐え抜けば依頼通り、よほどのことでは死ななくなることもあるかもしれん。」
ん??死ななくなる??母様はどんな依頼を出したのだろうか。というか、まるで殺気を帯びたような目をしてるから怖い。死ぬほど逃げたい気分になる。だが、再び先生を選びなおす時間などない。母様と母様が選んだ先生を信じるしかないのだ。
トール先生には「体力はバッチリです!」とドヤ顔で言ったらじゃあ実戦形式で大丈夫だな!といい笑顔で返された。何だろうかと思ったら初日は鎧を着てひたすら走らされた。今日は1日中走ってろとのお達しだ。
この一ヶ月は鎧など着ないで走り込みをしていた。だから鎧をつける訓練などはとてもつらく、過酷なものであった。足は鉛のように重く、血の味が口全体へと広がる。そして、次第に意識が朦朧としていった。もはや、限界を迎えているが、やり遂げるという気力だけで脚を動かした。後半はもはや歩くのと変わらないペースとなってしまっていたが、許可が下りるまで4時間程度で終わりにしてくれたのが救いだった。
でも、前世のことを考えるとここまでできるのは不思議だなにか、走っている時にお腹がぽかぽかしたしひょっとしたら魔力を使っていたのだろうか?死にそうだから体が適応したということだろうか?よくわからない。だが、もはや動けない。私は倒れるように地面に仰向けに転がっていた。
「戦場じゃあ、慢心が一番の敵だ。己の実力に驕れば、お前は戦場じゃすぐ死ぬだろうよ。まずは、自分がいかに無力化をしれ。」
なんとも、厳しいことを言うが目が本気だ。ただいじめるためじゃないだろう。
「実戦に全く適応できてないことがよくわかりました。トール先生これからもご指導よろしくお願いします。」
私はこの先生に全力でついて行こうと思った。この人は本当に私を戦場で生き抜けるように育てるつもりだ。かの徳川家康も逃げるために水泳を重視したという。私を戦場と同じ状況でも逃げられるようにするのが今日の訓練だったのだろう。
これほどまでに実戦を考えてくれる師にはそうは巡り会えまい。この出会いは大事にしなければならないな。母上ありがとうございます。
だが、しばらく何もできる気はせず、動こうにも動けない惨めな状態が続いてしまった。
トール先生にあったとき少しでも疑った自分を恥だと思った。でも、何故かさっきからめっちゃ睨んできてちょっと怖い。
戦術、礼儀作法、魔術の先生にもご指導を受けた。ちなみに魔術の先生は黒い尖り帽子と黒いローブを纏った魔女っ娘だ。この魔術の先生には魔術は諦めろと言われた。以前のライルも素質はなかったらしい。というか、以前のライルがこじれた理由の一つとしてこれがあるらしい。なんでも、魔術は貴族の象徴らしいのだ。それがライルくんには素質がなかったのだ。
すこしおかしいと思ったのだ。いくら年上とはいえ、妾の子供である兄にあそこまで勢力が傾くだろうかと。魔術は圧倒的な破壊力があり、多勢を相手にする時に特に力を発揮する。そのため貴族として従軍して魔術を行使して、戦場に貢献するのは義務の面がある。だから、魔術の才能の有無は後継者問題に酷く影響する。
そもそも、魔術の才能は遺伝しやすいのだがライルくんには遺伝しなかったってことだ。そんなんで、転生した自分からするとめげないで欲しいが、たしかに、ライルくんからすると絶望するほどショックだったのかもしれない。
あと、何故か生涯変わらないと言われていた魔力量が前のライルくんより倍に増えてた。魔術士も死ぬほど驚いていた。何やらブツブツも言っていてすこし怖かったが関わらないでおこう。身体強化などはできる可能性があるのでそこを教えてもらえる事になった。いわゆる無属性魔法だ。
通常は適正があれば属性魔法が使えるらしい。貴族なら一つは持ってるらしい。火、土、水、風、光闇が主要な属性らしい。まあ、私は関係ないが敵が使うため勉強はしなくてはならない。
トール先生も魔術士の先生も訓練後にすこし怖かったけど、何を考えていたんだろう?特にトール先生。
あと、天然の魔女っ子が見れたのは地味にちょっとうれしい。
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