第3話 まともな兄貴とは?!
突然だが、まともと噂の兄が部屋に来た。金魚の糞どもを引き連れて病人の部屋にぞろぞろと。兄や私と年の近いものが多い。服に刺繍が入っており、比較的汚れのない革靴を履いていることから、同じ貴族の子弟であろうか。
「よぉ、ライル。元気にしているか??あ~元気にしているわけないよな。馬から落ちて記憶喪失らしいじゃないか。馬から落ちるとは貴族として情けないよ。愚弟よ!」
まともな兄はそりゃあ、ご機嫌に弟の見舞いに来たようだ。いや、こいつまともか??どう見てもこいつも愚兄なのだが??てか、引き連れた金魚の糞もゲラゲラと笑っている。中には、申し訳そうにしてるやつもおり、以前は私の派閥にいたのかもしれない。私からすると許せることではなないが、笑っている奴らも兄のご機嫌取りに必死なのであろう。
相対評価でこいつがまともに見えたってことだよな??どれだけ前のライルは馬鹿だったんだ。
俺なら少し形成が傾いたからといってこの浮かれ様は、マイナス評価である。まだ、子供であることを考えると当たり前なのかもしれない。
まあ、確実に今はあちらに形成は傾いているが。。
「ベルゲンは元気が有り余っているようで何よりだ。剣の稽古でもしてきてはどうだろうか。いい運動になるだろう。」
こちらも、兄上などとは呼ばずに呼び捨てで呼んでやる。煽ってきた少し太った兄への皮肉も忘れない。小さい男だって??小さなこと言うなよ。ちょっとした兄へのプレゼントじゃないか。
「ライル!!!お前に靡いていたやつも今は俺について来た!!もう、お前の好きにはさせないぞ!!!この家と領地は俺が守る!!お前はそのままベッドの上にいるといい!!」
顔を赤くしてそう俺に言い放った。やはりというべきか、どうやら後ろの金魚の糞どもの一部は兄ベルゲンに寝返ったやつららしい。それをライルに見せに来たらしい。やっぱりベルゲンは器が小さいのではないだろうか。
しかし、剣の稽古の煽りでここまで怒るとは、剣は少し苦手なのかもしれない。
「そうですか。私は体が重いのでそろそろ寝たいと思います。どうかお引取りを。」
ベルゲンはそんな私が負けを認めたとでも思ったのか、それは良い笑顔をしていた。
「体は大事にするといい。まあ、成人するまでに命があるかはわからんがな。じゃあな。」
ベルゲンは私にそれは良い笑顔を見せながら去って行った。てか、命があるかはわからないって、もしかして私のことを殺そうとしているのかもしれない。後継者争いに勝ったら殺すという挑戦状なのかもしれない。
しかし、あんなんでもベルゲンもなかなかのやり手だ。寝て記憶をなくしたとはいえ、そのチャンスを決して逃さずにライルの勢力を削いだのだ。一筋縄ではいかないかもしれない。腐ってもあいつも貴族ということであろう。
とはいえ、ライルが現状不利というだけでまだ確定というわけではない。まだ、後継者になる道は残されている。
1つはベルゲン派閥からの引き抜きをはかること。もしくは内部分裂を誘う。
2つ目に、自分の後継者としての価値をあげること。財力、武力なのだろう。
3つ目は戦に勝つことだろう。戦の英雄というのは影響力がとにかく大きい。前世でも英雄の影響力を恐れた王様が英雄を殺すなんていうのは、珍しくはなかったはずだ。だって、英雄に軍事への影響力持たれていつ寝首を掻かれるか分からないもん。まあ、戦に勝つのはそれだけ支持を得られるので有効だということだ。
1つ目の相手派閥から引き抜きは、今のライルには魅力がないから難しいだろう。それこそ弱みなどを握らない限りは。
3つ目も現在そんな力はない。武力もないし、私についてくる軍もない。
となると、まずは2つ目の後継者としての価値をあげることに注力するのが一番良いか。幸い母が協力してくれるらしいし、武術、戦に関しての指導者をすぐに呼ぼう。
その後、すぐに母を呼び指導者を探してもらえることになった。呼ばれたことが嬉しかったのかハグされた。今度は加減してくれたようで安心である。以前のライルはどうやら距離を置いていたようなのでうれしいようだ。もしかしたら、母の自分のためにライルを利用する面が嫌いだったのかもしれない。
とはいえ、指導者を呼び寄せるまでにできることはある。武術を身に着けようにも体ができていないのだ。しかも、2週間寝ていたのだからろくに食べ物を食べていなかった。もう、ガリガリなのである。すぐに料理人を呼び付けカロリーが多いものに改善して貰うようたのんだ。カロリーという概念を説明するのに少し苦労したが、何を食べると太るのかというのは何となくわかるそうでわかってもらえた。
記憶はないとはいえ、元はクソガキからの呼び出しだ。なにか粗相があったのではないかと顔を真っ青にして、私に会いに来たのはなんか申し訳なかった。ここら辺のイメージも改善しなくては。
あと、運動もするのでタンパク質も増やして貰う予定だが、今の自分は歩くのもやっとなのだ。ここらへんは多少無理をしてでも、早く筋肉をつけなくてはならない。死ぬ気で頑張らなくてはならない。
だって本当に命がかかっているのだから。この世界では後継者争いで命を落とすなど珍しくないのだ。生きていれば、虎視眈々と家督を狙う兄弟など争いの種になりかねないのだ。
今は、生きるために密かに力をつけよう。いつか陽の光を堂々と浴びるその時のために。
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