第2話 転生と現状整理
いつもと違う天井を見て思ったのは、まだ夢なのかかとそんなことだった。いつもの白い天井とは異なり木目調の天井であった。
それにしてもさっきの夢は妙にリアルで恐ろしい夢だった。とにかく下の濡れた衣類をなんとかしなければそう思いベッドから立ち上がった。だが、不自然に体が重く、立ち上がるのも一苦労だった。
また、不思議とやけに身長が低い。今度は子供の夢でも見ているのだろうか。また、まわりを見渡すと部屋もいつもとは異なることがわかった。何やら成金趣味な部屋で正直、気持ち悪い。しかし、調度品の一つ一つが無駄に手の込んだ彫刻や金属装飾が付けられており、とても高価なものが多いことはすぐ分かった。
そして何やらこの夢も妙にリアルだ。さっきは朦朧としていたから夢だと思ったが、今回は頭もよく冴えている。
こういう時は、夢かどうか確かめるために、ふと頬をつねると決まっている。手を頬にやりつねると痛みがあった。
いや、そういえばさっきの夢も朦朧としていたが痛みがあった。なんだ、何かがおかしい。
今更ながら気づくとは、我ながら能天気なやつだと思うがいきなりの状況だ。こんなもんだろう。
部屋に鏡があったからそれをふと覗く。髪色は黒で顔は白く、やせ細った病人のような顔をしていた。顔は西洋人のそれだ。目つきは鋭く、性格が悪そうなクソガキの顔だ。また、その青い瞳はもはや日本人ではないという事実を私に告げていた。でも、痩せすぎではあるが顔は整ってはいるようであった。
その時、後ろの扉がガチャリと開いた。知らない女が扉をあけ、私をしばらく凝視して固まった。私も身構えるように体が強張ったのを感じた。なんとか対処をせねばなるまい。
だが、その女のその出で立ちもあまり見ないものであった。その女はガウンのようなものを着ていた。それは、現代ではドレスやワンピースが近いのではなかろうか。その上に白いエプロンを着ており、いかにも使用人のような出で立ちである。
その女は再起動し、悲鳴を「ぎゃーー!!!」とあげ、「奥さまーーーー!!!!ライル様が!!!」と言いながら走り去っていった。
「ぎゃー」はないだろうよ。
いったいなんだ、今の女は!!待て、今ライルと言ったか。先程の夢と全く同じ名前じゃないか。偶然か。いや、ここもまだ現実と決まったわけではない。あまりに情報量が多くとにかく頭が混乱している。
そんなことを考えていると、ドレスだろうか。まるで中世の貴族のような服を来た女性がやたらと興奮して涙を浮かべながら駆け込んできた。そして、その勢いのまま私に飛びつき抱きついてきた。私は咄嗟に動こうとしたが、体がいうことを聞かずなにもできなかった。
「ライルーーー!!!心配したのだから!!!もう、私起きないと思って、、本当に、本当に!心配したのだから。。」
何やら変な女が抱きついてきて、私を強く抱きしめ、泣きじゃくっていた。だが、あまりに強く抱きしめるのと体に力が入らないせいで、うまく息ができない。体が弱っているのもあるのだろうが。
あ、これまた死ぬかも、、まあ、女性に抱かれて死ぬのだからさっきの夢に比べればましか。今度こそ早く夢から目を覚ましてくれ。。。心からそう思う。
最後に、はじめに入ってきた女の「奥様!!ライル様が!!!」という声を最後に意識が途絶えるのであった。
◆◇◆◆
結論から言おう。少なくとも女性に抱かれて絞め殺されかけたミニ【ライル】の夢は夢じゃなかった。夢だけど夢じゃなかった!!
この体はライルといいどうやら貴族の嫡男であるらしい。泣きついてきた女性はライルの母親でミレイというらしい。たしかに、目元はきつく吊り目で鏡でみたライルに似ているような気がした。ライルと同じ青い瞳はとてもきれいで、髪は銀髪で軽く巻いてあり、黒髪のライルとは異なるものであった。しかし、その佇まいは先程の取り乱した姿とは異なり、優雅さと品位を兼ね備えた貴族然とした美しい女性であると感じた。
どうやら、目を覚まさなかった子息がやっと目を覚ましたために興奮してしまったとのことだ。まあ、危うく死にかけたのだが、、
なんで目を覚まさなかったかというと、ことの顛末としてはこのクソガキは家臣の静止も聞かず、家臣の馬に無理やり乗ろうとして落馬して頭をうち、二週間も目を覚まさなかったらしい。
でも、ライルくんの記憶とかもないし、あるのは私というか別の人格の記憶だけだ。もしかしたら、本当のライルくんはもう死んでしまったのかもしれない。私という霊が入ることで命を繋ぎ止めたということだろうか。
分からないことが多すぎて、全てが仮説の域を出ない。
あと、分かったこととしてはこのライルくんはとんでもない問題児だったということだ。だってメイドさんたちから腫れ物のように扱われるんだもん。もちろん、表面に出さないようにはしているが。触らぬ神に祟りなしだ。使用人たちの極力関わりたくないという意思がひしひしと伝わってくる。
あと、この体の記憶がないことに関して頭を打った衝撃で記憶がないということで押し切った。どうやらまだ14歳とのことだから、どれだけこの体がやらかしていようと挽回が効くだろう。
いや、挽回が効くだろうと思っていたが正しい。状況は思ったよりも悪いのだ。どうやらライルには腹違いの2つ上の15歳の兄がいたらしく、絶賛、後継争いの最中だった。兄は妾の子供で、私は正妻の子供だ。
私は正妻の子供で嫡男認定されているということで、今までは後継争いを優位に進めてきた。まあとんでもないクソガキだったが、こちらが正当性があるとのことで支持を受けてきた形だ。
しかし、そんなクソガキが目を覚まさず目を覚ましたら記憶喪失ときた。そりゃ、まともと噂の兄を支持し始めるだろうさ。記憶喪失と考えなしに言ってしまった自分を殴りたい気分だ。痛いからやらんが、、
さらに不運なことに、兄が今年で成人を迎えると来た。この世界ではどうやら成人は16才と速いらしい。成人を期にもう、後継者として確定しちゃいましょうぜって流れができてしまっていたのだ。気絶している間にも着々と、、
この世界ではどうやら後継者以外は争いの芽を無くすために、坊さんになるか、なにか因縁をつけて殺されるなんてことも珍しくないらしい。なにそれ物騒だよ。。まあ、仲が良いと普通に家臣として取り立てるか、そのまま平民として生きることを許されるらしいが。。うちは仲が悪いからありえないらしい。
しかも、転生前にみた死んだ夢の体にあった家紋は我が家の鷲の家紋と同一のものだった。あれは未来の自分の姿かもしれないのだ。気を引き締めなければならないであろう。
あと、母の立場もやばいらしい。正妻ということでさんざん妾をいじってきたらしい。このままその妾の子供が後継者になると立場が入れ替わるとのことだ。「母の自業自得」とも思うが、一応実の母だし守りたい気持ちも少しはある。とういうか、母自身の状況も悪いのもあってライルの状況を詳しく教えてくれた。
これからも色々と支援はしてくれるらしいです。一応、まだ正妻だから財力は妾などよりあるらしい。母は散々、自分の状況を同情を誘うように語ったにも関わらず、「無理しなくてもいいのですよ」とも言っていた。きっと、自分を救いたい我可愛さもあるが、自分の息子も同じくらい可愛いのではないだろうか。母の内心の矛盾とというか、人間らしい一面をみた気がした。
あと少なくとも、前世の俺はThe平凡だった。いや、俺も小学生くらいまでは俺って天才かもとか思っていたよ??でも成長するに連れてあら??俺って凡人??って自覚するわけよ。ちなみに入社面接でお前って自分が思っているより凡人だからって言われた。そこで気付いたよ。思ったより遅いな笑
あれ、涙が。。転生したときのショックが今頃、きたな!!そうに違いない。
てか、いまの状況ってけっこう詰んでね。。
◆◆◆◆◆
盛り上がりが第2章からなのでそこまで我慢して読んでもらえたら嬉しいです。
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モチベ上がりますのでよろしくお願いします。
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