イデアルチューター。*家庭教師はコスプレーヤー*

猫野 尻尾

第2話:天使にナースにJKになに?

次の朝、朝食を食べる前に霊音れおんさんが僕の部屋にやって来た。


「おはようございます貴人たかひとさん・・・ご機嫌うるわしゅう」


「おは・・・・・・・」

「霊音さん・・・それって?・・・誰かと結婚するの?」


「はい?・・・誰とも結婚なんかしませんよ」


「だってその格好っていうかその衣装・・・ウェディングドレスじゃん」


「あら、メイドの衣装ですけど・・・これもダメですか?」


その朝、霊音は純白のメイド服を着ていた。


「いやいやダメじゃないよ・・・って言うかさ、そもそも昨日着てた衣装の

スカートが短いってのが問題だっただけで、衣装が白になったからって・・・

それはそれでいいと思うけど、っていうかさ、むしろ黒いメイド衣装より、

白のほうが断然いいと思うな・・・って言うかさ・・・」


「言わせてもらうと霊音さん・・・今、まじで天使だから・・・」

「って言うか、その衣装は卑怯だよ」


「って言うかってって言葉多いですね、日本語の使い方も学ばねば

なりませんね」

「それで?・・・褒めてくれてるんですか?」


「うん、褒めてる・・・それで勉強しなさいって言わなかったら完璧」


そう言って貴人は親指を立てた。


「勉強しなさいって言わなくていいくらい勉強してください」


「家庭教師じゃなかったらな・・・もっと仲良くなれたって思うんだけどな」

「綺麗な歳上のお姉さんなのにな・・・憧れるんだけどな〜」

「笑顔が死んでるのが惜しいけど・・・」


「まあ、散々ですね」


「あのさ、本当にごめんだけど今日も勉強がはかどりそうもないんだけど」


「あら、どうしてです?」


「そんな、天使みたいな格好の家庭教師・・・そばにいられたら勉強なんか

できるわけないでしょうが・・・」


「もう・・・じゃ〜どうすればいいんですか?衣装変えろって言うから

変えたのに・・・」


「スカートが短くてパンツが見えてるって言ったんだよ」

「霊音さんが、じゃ衣装変えますって言ったんだじゃないか」

「あのさ、言っていい?」


「どうぞ・・・」


「たぶん僕が勉強に身が入らないのは衣装だけじゃないと思うんだ」

「今日のその白い衣装着てる天使みたいな霊音さん見て分かったよ」


「???・・・意味が分かりません」


「霊音さんの存在だよ・・・君のその美貌に持ってきてのメイド衣装だろ?

そもそも君がメイドコスをしてることが僕の心を乱してるんだ」

「言っちゃってしまえば最強最高のメイドさん家庭教師ってことなんだな」

「そんな、お姉さんに僕が太刀打ちできると思う?」


「太刀打ちって・・・戦ってる訳じゃありません」

「では?なんでしょう〜私にメイドコスを辞めろとおっしゃるのですか?」


「そうだな・・・メイドコスじゃなかったらもしかして大丈夫かも?」


「私がメイドじゃなければいいんですね?」


「まあ、そう言うことになるかな?」


「分かりました!!」


「え?何が分かったの?メイドコスやめるの?」


「貴人さんがそれを望むなら・・・」

「メイドコスが貴人さんの勉強に妨げになるなら辞めます」


「辞めるって言われると勿体無い気もするんだけど・・・」


「もう、どっちなんですか?」


「じゃ〜普通の私服でいいよ」


「私服なんか持ってません・・・明日からナースコスで来ます」


「は?・・・ナース?、今ナースって言った?」

「でも霊音さんメイド限定って言わなかった?」


「言いましたけど・・・実は私、ナースの衣装も持ってるんです」

「なんならセーラー服もありますけど・・・他に婦警さんとか、あと

レディーススーツも持ってます・・・あ、バニーちゃんも」

「お望みならアニメキャラの衣装もまります」


「幕張のコスプレイベントにいらっしていただけたら私と会えます。

でも私専用のサークルが出来ますから直接はお会いできませんけど・・・」


「うそ〜、まじのまじで本格的コスプレーヤーじゃん」

「それって絶対、僕にとって逆効果だと思うけど・・・逆効果って言うか、

はっきり言って健全な青少年に悪影響しか及ぼさないよ」


「健全な青少年じゃなくて性少年なんじゃないですか?」


「りっしんべんはいらないよ〜」


「どのコスプレもダメって言うなら家庭教師を辞めるしかありませんね」

「私はコスプレ辞めるつもりはありませんから・・・」


「まじで?・・・・」

「ごめん!!・・・いろいろ言ったけど家庭教師は辞めないでくれない?」


「え〜もう・・・わがままですよ」


「わがままついでに告白していい?」


「ダメです・・・私に告ろうとしてるんでしょ」

「私を好きになるのは100年早いです」

「ちゃんと私の言うことを聞いて、ちゃんと勉強して立派な大人になったら

考えてあげてもいいですけど」


「え〜彼女をゲットするのも勉強か〜」

「分かった・・・でも家庭教師はやめないでよ、絶対!!

「あ、コスプレも・・・」


おしまいs。


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イデアルチューター。*家庭教師はコスプレーヤー* 猫野 尻尾 @amanotenshi

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