律儀な死神

 これは2023年11月ころの作品。タイトルが気に入っている。「律儀な」で誠実さを表しつつも、「死神」と真逆の言葉をくっつけており、現在(2024年6月)でもこれを超えるタイトルはない。初めて★が二桁に達した作品であり、飛び上がる程に嬉しかった記憶がある。


 寿命が残り一年という作品はテレビドラマなどで先行作品があるが、大抵は持病によるもの。「死神が寿命を宣告する」という作品はほぼないのではと思う(作者の読書歴が浅いだけかもしれない)。


 死神が登場するものの、律儀なだけあって、かなりいい奴。「死」という重いものを扱いつつも、主人公と死神の軽妙なやり取りも本作の特徴の一つ。


 本作には小さな問題点がある。恋人とディナーの最中に火事になるシーンがある。主人公は「彼女は余命宣告をされていないから、死ぬはずがない」と考えている。しかし、「主人公が知らないうちに、彼女も余命宣告をされており、この火事で亡くなるはずだった」という可能性がわずかながら残っている。これは、許容範囲かもしれない。


 初めてレビューをいただいた作品で「人間の命の尊厳を、死神の律儀さを通して照らし出す、心を揺さぶる物語」と絶賛されている。少し、恥ずかしい……。2作目にしてレビューをいただき、感謝しかない。


 もし、「死神から余命を宣告されたら、自分ならどうするか」という読み方をするのもありかもしれない。


10点満点なら、7点くらい。

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