第1話 高校生ってレモンティー飲んでるイメージあるよな?

………………


ここは…病院?


目が覚めると知らない天井だった。


「やっと目が覚めたか。」


知らない男が声をかけてくる。


年齢は僕と同じくらいだろうか、いかにも流行りのファッション的な服を着ている。


「それより君、体はもう大丈夫かい?」


「あなたは…?」


僕はベットから体を起こしながら尋ねる


「ああ、俺は飛鳥蒼空あすかそら


「君は如月湊きさらぎみなとだね?」


「飛び散っていた荷物の中に君の生徒手帳を見つけたんだ。顔も一致してる。返しておくよ。」


そう言って蒼空と言う人は生徒手帳を渡してくる。


「てかほんとに体大丈夫かい?自分の体見てみなよ。」


「え?」


体を見るとメロンのような火傷の跡が全身に広がっていた。


「それは電紋って火傷の跡だ。雷みたいな強い電撃に当たった時に出来る火傷の跡。」


「でもあの時雷は鳴ってなかった。」


「そして現場には感電死したと思われる巨大な犬と君の姿。」


「何があったんだい?」


「それがよく覚えてないんだ。 少女達を庇って左腕を噛まれたくらいから覚えていない。」


「あ!少女達はどうなったんだ。」


「あの後、警察と救急車が駆けつけて、少女達は病院へと運ばれたよ。」


「そうか……」


「片方の少女は義足になることになったがもう片方は君のおかげで無事だ。同じ病院に居るぞ。会いに行くか?」


僕は迷ったが


「別にいい」


と言ってベッドから立ち上がる。


「冷たい男だな。」


蒼空は僕に対しそう言ってくる


「喉が渇いてるから飲み物買ってくる。病院に自販機は流石にあるだろうし…」


「そういえば僕のスマホと財布は?」


「あ、ああ。スマホと財布はそこの机だ」


僕は自分の財布を手に取り病室を出ていく。


出る間際に


「帰ってきたら話があるからなぁ」そんな声が聞こえた。


何の話だろうと思いながら僕は自販機を探した。



「で、話っていうのは?」


僕はレモンティーを飲みながらさっきの事について問いかける。


「なんでレモンティーなんだ…」


「そりゃ高校生が飲んでそうな飲み物ランキング一位だからだよ!で話は?」


「は、はぁ。君、石を見たかい?これくらいの大きさの。」


蒼空は指で大きさを伝えてくる


「んんー、見た気がしなくも無いが…記憶が曖昧で分からない」


「まぁ空気でわかる。お前の心臓から石がある気配というかなんというか…」


「まぁ君にも分かるようになる。」


「その石は"ソウルパーク"、俺達はそう呼んでいる。」


俺"達"…?


「それは急に地球に降り注いだ小さい隕石と思って貰えればいい。」


「その石に相性がいい人が触れると石は心臓部まで這い上がっていきその人はひとつ特別な能力を使えるようになる。その能力の事を僕達は"資質"と言っている。」


「そんな信じられない事を言われてもあんなデカ犬を見た後なら信じられるんだが、俺達って言ってる理由となんであんなデカイ犬が居たのかを説明してくれ。」


「まず犬の方から説明しよう。あの石は相性がいい人となら能力を使えるようになるが相性が悪いと見た目が変わったり暴走するんだ。」


「そして俺達って言うのはこの石はまだ希少だが世界中に降っている。もちろん日本にも。もちろん石の能力を君みたいに人を助ける為に使おうと考える人も居るだろうが悪い事に使おうとする人もいる。」


「そんな人を始末する組織を俺は作っている。まだ2人だが、今日で3人になる。」


「君を入れてな。」


いきなり訳の分からないことを言われて頭が追いつかない。


でも──────


「面白そうだからのった!入ってやるその組織に。」


「そう言ってくれて嬉しいよ。」


「退院になったらこの住所の家に来てくれ。もう1人を紹介しよう。」


「これで話は終わりだ、長話だったな。」


話が終わり、僕はもう一度レモンティーを飲む。

そんな時


『トントン』


病室のドアがノックされた。


蒼空がどうぞと言うと女の子が二人入ってきた。


一人は片腕に包帯を巻いた少女、そしてもう一人は脚が無く、おんぶされている。


二人は僕に対して頭を下げて二人とも嬉しそうにありがとうと言った。


「この度は私達を助けてくれてありがとうございました!」


おんぶされている少女は言う。


僕は少し照れくさくなりながらどういたしましてと返す。


「私からもありがとうございました。」


もう一人の少女は言う。


僕は少し微笑んでどういたしましてと返した。


「あんた達どこ行ってるの?まだ安静にしておきなさい。」


少女達の母親だろうか?隣の部屋から聞こえてくる。


「はーい、じゃあね。お兄ちゃん!」


少女二人はそう言って帰って行った。


4月6日12時


それから入院生活は3日で終わり


教えられた住所の場所に居る。


結構大きめの家だ。


ピンポーン とインターホンを押すと


「ドア開いてるから勝手に入ってきな」


とセキュリティもプライバシーも無ぇ女性の一言が飛んでくる。


お邪魔しますと小声で言ったあとドアを開ける


家の中に入ると奥の方の部屋からキーボードをカタカタと叩く音が聞こえてくる。


僕は奥の部屋のドアを開く。


そこには、ヘッドホンを身につけFPSをしている女性が居た。


服が傾いていて片方の肩が出ていてザ部屋着見たいな格好だ。


「お!やっと来たか。」


とヘッドホンを外しながら言ってくる。


「君は如月湊くんでいいのかな?私はとおるだ。」


「早速だが、ちょっとこっちに近づいて来てくれないか?」


そう言って透は近づいて来た僕の顔に手のひらをかざすようにしてくる。


すると僕の頭からまるでホログラムを見ているみたいに映像が浮かび上がってくる


「これは君の記憶を動画にしたもの、私の資質はヴェルスジェネシスは色々なものを動画にして扱える能力。」


そして指をさして


「君、京都に行ったことはあるかい?」


突然そんな事を訊いてくる


「まぁ中学の修学旅行で行きました...」


「ちょうどいい、じゃあそこにある私の服を取ってくれ出かけるぞ」


そう言って透は僕の後ろを指差す。

言われた通りに後ろのクローゼットを開くとそこには服がずらりと並んでいた。

僕は言われた通りに適当な服を選び透に渡す


すると透は男の前だって言うのに気にせず着替え始める


「あなたは羞恥心とか無いんですか...?」


「私に羞恥心があると思うなよ、別に君に見られても減るものじゃ無い。」


僕は呆れながら透の着替えが終わるのを待つ


「よし、ちょうど動画の巻き戻しも終わったし行くか。」


もう一度浮かび上がった画面を見ると中学の頃の修学旅行の映像になっていた


「よーく画面を見てるんだぞ」


すると画面は僕の方に近づいていき視界が白飛びする。


眩しくてつい目を閉じてしまう


「よし、着いたぞ」


その声につられ僕は目を開ける。


そこは映像の中にあった京都だった。

1度来たことがあるから一瞬で分かる。


「君は今からここからさっきの東京の私の家まで24時間以内に辿り着いてもらう。」


「もちろん交通機関を使うのは無しだ。」


何を言っているんだこいつは。


「たどり着けなかった場合お前をそうだな...火口の中にでもぶち込んでやる。」


理解が追いつかない、いや追いついている。


だけど、理解したくないのだ。


「じゃ私は帰るから」


透はさっきやったように映像を出して姿を消した。


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