第16話 俺だけが持ってるチートスキル

もう何人殺しただろう。大地は焼けて、俺の体には血が被っている。ああ、そうか。今わかった。俺の力はこの為にある。だから...


「もっと殺さないと....」


剣がぶつかる音が響く。そして目の前にいるのは憤怒のゴアプだ。わざわざ来てくれるなんてありがたいな。


「随分派手にやってるねぇ?弟子の恋人のだけはあるね。」

「お前も殺してやる。ぐちゃぐちゃに、肉を引き裂いてやる。」


距離をとり左手で炎を出す。当然だがそれを避けて来る。剣が互いにぶつかり膠着状態になった時、俺の剣が壊れた。正確に言えば折れたの方が正解だろう。奴はそれを見逃さず上半身を叩き切ろうとしたが、直接右手で剣を掴んだ。


「へぇ?根性があるねぇ。けど、もう手は使いようにならないと思うけど?」


昔の俺だったらそうだったな。


「お前を殺せるなら...こんな痛みは耐え切れる。」

「!、流石に驚いたよ。回復魔法が使えるなんてね。」


痛みは当然ある。だがソルーシャ隊長や、グリムさんを見殺しにした俺には...当然の苦痛だろう。この力と俺の苦痛は俺の罪だ。そして、こいつらを殺すことが俺にとっての贖罪なんだ。


「これは、少し本気を出さないとね?」


そう言って、俺は全身がみじん切りにされたような痛みが走る。一瞬のことで危なかった。全身に魔力を流さなかったら本当にみじん切りにされていただろう。


だが、それが何だ?


こいつは俺が殺さないといけない。俺がどんな目に遭おうとも。奴の肉体がバラバラになるまでは...



「殺してやる...ここで!」


俺は天にものぼるぐらいの炎を出した。人間じゃ無理だろうが、今の俺ならできる。全部捨てた俺なら。奴は避けられず体の右半分が焼けていた。そうして俺は奴の心臓を貫いた


「うっ...へぇ...流石に...彼女が惚れるだけは...あるねぇ...」

「もう喋るな、クソ野郎。」


奴の胸から剣を抜き、文字通り体をバラバラに引き裂いた。ただ、俺の目の前にあるのは肉塊だけになった。



「これで終わりじゃない...」

「もっと殺すんだ。」

「戦争が終わるまで。」

「何度だって。」

「きっと、俺はその為に転生されたんだ。」




『ああ神よ、何故人を産んだのでしょうか?結果は分かっていたでしょうに。人々は結局、戦いあう運命というのに。』


____________________


「くそっ、あいつ一体何で.,.」

俺がもう少し早くいけば止めれた筈だと言うのに。モヤモヤが止まらない...


「今は考えるな。彼を見つける事が最優先だ!」

「もうすぐ着きますよ!」


そうだ。今考えたって仕方ないだろ。呼吸を整え、俺は剣を力強く握った。そうして、見えた場所は地獄そのものだった。


「だれかぁぁあ!!!」

「うわぁぁあ!!何だよコイツは!!」

「助けてくれぇぇ!!」


肉や髪が焼ける臭いと、鉄臭さ。正直慣れた物だと思ったがあまりにも酷い光景と臭いに吐き気がする。それはあの人たちも例外ではなかった。


「なんて光景だ...」

「これは...酷いな...」


レイン、お前の力はどこまであるんだ。お前は...この世界で何をしようとしているんだ。

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