第15話 力の解放

まただ。


また俺は、何もできずに逃げてしまった。


怯えて、震えて、何も抵抗できずにやられるままに。傷つけられた。


「はは....何してたんだ....俺....」


「もういいだろ?お前はあいつらを殺す為に強くなってるんだろ?」


「全部捨てろ。何もかも。そしてあいつらを殺すんだ。」


「そうすれば....俺は....」



『死よ、苦痛よ。私は貴方を信じます。そうすれば、私が人を殺す理由になるのだから。』


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「戦況は...苦しいな。」

分かってはいた。リリーナから撤退命令が出た時から予想はしたが。それよりもあの2人がヤバいだろうな。俺1人じゃ奴らには勝てない。となれば人が必要だな。


「リリーナ、俺は憤怒のゴアプを倒す。そのためにもう1人の奴を相手して欲しい。協力してくれるか?」

「うーん....時間稼ぎはできます。倒す事は難しいですが...」


時間稼ぎか...やるしか無いだろう。現状今の状況で強い奴はリリーナぐらいだ。それに俺は伊達にランク4じゃない。


「分かった。協力に感謝する。」


____________________



皆んなが寝静まった頃、俺は眠れなかった。目が冴えて仕方ない。どれだけ寝方を変えても眠れない。一度俺は外に出ることにした。


まぁ...理由がある、といえばある。


結局俺はレインの手助けが出来なかった。それに一度死にかけた。はぁ....昔よりも俺はずっと弱くなったもんだな...憂鬱な気持ちだ。ここ最近はずっとそうだ。レインの力も良く分かってないし...


夜空には綺麗な星が浮かんでいる。昔は母とよく星を数えていたっけな...懐かしい。


懐かしい気持ちと共に、少し遠くにレインがいるのを見えた。もう大丈夫なのか?


俺はあいつに駆け寄ろうとしたが、目が追い付かないスピードで消えた。



「..はっ!?レイン!?どこに行く!?」


あまりにも早すぎてその場から消えたのかと錯覚する程だった。そしてあいつは敵の所に飛んでいった。まずい...俺は急いで隊長のいる場所のテントに向かった。




「リリーナ隊長!起きてください!!」

「はっ、何だ!?」

「レインが1人で敵に突撃しました!!」


____________________


遠くに敵の基地が見えた。俺は...今からあそこを壊滅させ、何もかも俺の手で壊す。


武器庫から取った槍を左手に持ち、突撃する。スピードをどんどん加速させ、油断した敵を突き刺した。スピードがありすぎて貫通し顔に血がついてしまった。



「てっ、敵だぁぁぁ!!!」


槍を抜き、剣で適当な部位を切っていく。1人、また1人と。敵は一切りで倒し効率を良くする。


「くそっ!!痛え!!」

「たかが1人だぞ!囲め!!」


流石に剣だけじゃ対処出来ない量になって来た。俺は全身に魔力を込め足で地面を叩く。そうして周りには炎が立ち込める。


「な...何だこいつは...」

「1人なのに...何て力だ...」


俺はもう、人を殺すのに何の躊躇いを持たない。殺して、殺して、殺して、殺し続ける。


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