第12話 回る人形劇
「さ〜て、今日は会えるかな?」
ヘルはそう言ってとんでもない速度で戦場に突っ込んだ。ヘルがいた地点は少し地面が抉れている。このスピード、俺でも無理そうだ...
「はぁ...私たちも行きましょう」
「あのキチガイが全部殺ってくんね〜かな」
「全員、集中しろよ!」
俺たち3人はヘルに続くように走った。俺は敵の目を集め、バリウスは俺の背後を守りつつ攻撃し、キリシマも同じように戦う。俺たち3人はこうやって生き残ってきた。
「一つ、バリウス!そいつ頼んだ!」
「はいはい!やりますよ!」
「叩き切ってやる!」
バリウスが斧で敵を叩き切り、横から敵が来るがキリシマが剣で喉を貫通させた。
「サンキュー!キリシマ!」
「礼は後で!今は集中しましょう!」
そんな時、上からかなりのスピードで炎の球が来た。俺はとっさに魔法の壁を作った。
「全員!俺の後ろに!!」
「あ!?了解!」
「分かりました!!」
2人は慌てつつも早く俺の後ろに来た。何とか間に合ったが、俺の魔法...いや適正魔法。魔法の壁を作ることで防げはしたが、火力が強すぎて俺の魔力をほとんど使ってしまった。そして、目の前にその犯人がいた。
「今のを防ぐとは...結構やり手みたいだね?」
「おいおい...何でここにランク3の危険対象がいるんだよ?」
必ずと言って良いほど戦争は何かしら強い奴はいる。だがここでランク3の危険対象が来るとは...奴は俺たちを値踏みするような目で見てくる。今すぐ倒したいが...俺たちで倒せるか...?
「なるほど、3分で終わらせよう。」
そう言って奴は3つの魔法陣から炎を噴射してきた。俺たちは後ろに飛び込んで避けれたが、奴は追撃に空中から氷の球を出した。
「さっさと終わらせないと。」
「クソ!こんな所で!」
俺はかすめたが避けれた。キリシマは剣で氷を切れたが、バリウスは避ける事も、防ぐ事も出来ず腹に突き刺さった。
「うぐっ...ぐああっ!!」
氷はデカく、あれじゃ胃がダメになっているかもしれない。血は滝のように出てき、回復魔法を使わなくてはいけない状況だ。しかし、回復魔法を使うには戦場を一度撤退しないといけない。さらに目の前には化け物がいる。つまり、バリウスを助けるのは難しすぎる...
「貴様!よくもバリウスを!」
「キリシマ!速攻で終わらすぞ!!」
苦肉の策とも言うべきか。俺は奴を倒しバリウスを助ける事にした。キリシマなら闇討ちすれば勝てるかもしれない。俺は奴のターゲットにするように前に出た。
「撤退すればいい物を...」
「だったらお前を倒して撤退させてもらうぞ!!」
俺は剣を横振り、縦振りを繰り返しとにかく放置させるかと剣を振り回した。だが奴は一切顔色を変えずに回避していった。クソッタレ、どうやったら当たるんだよ。
「今は消えてくれ。」
そう言って奴は右手を俺の脇腹に当て、一気に炎を出した。
「がっ...」
言わなくても分かる。これは...死だろう。キリシマは...アイツは...生き残ってくれ...
「貴様ぁぁぁぁ!!!」
キリシマは溢れ出る殺意を抑えられず、奴の恨みを叫び殺そうとしたが、とても大きな氷の壁がキリシマを包んだ。
桁違いだ、何もかも。...まぁこんな日が来るのは分かっていたさ。これは戦争だしな。そう思い、俺は静かに息を引き取った。
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「チッ、何か変だ。」
妙な違和感を肌で感じていた。いや長年の勘と言うべきか。とてつもなく大きな魔力を持っている奴がいる。その答えは意外と早く分かってしまった。
風すら置き去りにするスピードに気づけたのは奇跡だろう。剣を防御の形に構えた瞬間デカい衝撃が走り、そこにはクソアマがいた。
「やっぱりお前かよ...」
「私の攻撃を防ぐなんて、結構強い方か。ねぇ、最近そっちで危険対象とされた子がいるんだけど、その子の居場所わかる?」
間違いなくレインの事だろう。死んでもコイツには言わないがな。俺は一度距離をとり体制を立て直した。
「知らないな、そんな奴」
「そう、じゃあ死んでね!」
俺は剣を両方で構え、クソアマが攻撃した瞬間、カウンターで奴をバツの字に切り裂いたが奴の魔法のせいかあまり喰らっていない。
「結構本気だったんだけど、中々やるねぇ!」
「チッ、とっとと死んでくれよ...」
ああクソ、イラつくな。よりにもよってまたクソアマにあうだなんてな。あの時以来から二度と顔を合わせたくなかったんだが...そんなくだらない事を考えていたら後ろからクソアマと同じぐらいの魔力を感じた。
リリーナ隊長だったらどれほど良かったことか。そこには殺意で溢れた顔のレインがいた。
「見つけたぞ...このクソ野郎!!!!」
「見つけた!!私の運命の人!!」
今からここは、地獄も生ぬるい場所となるだろう。
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