第6話 殺すための決意
「う...あ...?」
頭痛と共に目を開ければ、そこは知らない場所だった。昨日はカンヘル部隊のみんなと共に酒場にいた。
頭痛がするのには...心当たりがある。それは...そう、あの時だ。
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「いつ死ぬかわかったもんじゃねぇからよ!さっさと飲みなぁ!!」
「うっ!!!」
とてつもない力で酒を無理矢理飲まされた。何で他の人達は止めないんだよ!!
「ねぇ、君可愛いね。」
ミラノさんは期待してないけどちょっとは助けてよ!
「ふむ、この肉中々に美味いな?」
カイルさんは見向きもしてない...!?
「うう...なぜ...」
酒が入ったコップはほんのちょっぴり減っている。酒弱過ぎるだろ...
まずい...目が回って来た....
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「はぁ.......」
多分ここに来てから一番のため息を出しただろう...
その時、不思議な感触がした。
「ん?なん.....」
俺は絶句した。何故こんなところにミラノさんが?そして何より俺の手が当たっているのはどう見ても当たってはいけない場所だ。
「ん...?ああ、おはよ。」
俺はベットから頭から転げ落ち、2度の頭痛を抱える事になった。
「ななななな!?何でこんな所に!?」
「ああ、僕と一緒に寝てくれる人がいなくてね、君が酔い潰れて可哀想だったし一緒に寝たのさ。ああ、そうゆう事は大人になってから...ね?」
顔がとてつもなく赤くなり、言葉も出なくなって来た。ガチガチとした足取りで俺は部屋を出た。
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「君たち、私は明日任務を伝えるって言ったよね?」
「まぁ、確かに聞いたな」
「ならなんで酒場に行ったんだよ....!!」
多分、いや確実にソルーシャ隊長はここで一番苦労してる人だろう。俺も人の事は言えないけど。
「はぁ、まぁいい。次の作戦を説明するよ。私たちはデュラク攻略戦が失敗し、物資と人間の無駄になった。そのせいで今度はアリアス地方が攻められている。グリムとレイン君はそこに援護に行ってくれ。」
戦いか....今度こそ、俺は人を殺してみせる。家族と、このカンヘル部隊の為にも。
「まぁ、ちょっと頭いてぇが、仕事は仕事だ。さっさと終わらすか、レイン!」
そういや、グリムさんはどうやって人を殺してきてるんだ?俺はああ言ったが、まだ殺せる様な気がしない。
「グリムさん、何故戦争で戦えるのですか?」
「あー...そうだな。」
グリムさんが少し苦い顔をした。もしかして聞いてはいけなかったのか?
「昔の話だ。ガキの頃父と母を亡くしたんだ。それもオーラスにな。だから俺は復讐って目的で戦ってる。」
復讐...俺もその気持ちを抱けば、殺せるのか?結局、自分の心の中に闇を抱えなければ戦えないのか...
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数日が過ぎた時、アリアス防衛線に着いた。ここまで結構あっさりだった様な気がする。
それと、ここは俺の家に結構近い。
「カンヘル部隊のグリムだ。」
「筋肉やべぇな?」
「あの隣にいるやつ誰だ?」
カンヘル部隊は結構名が売れていて、こうゆう場所でも噂にはなるらしい。デュラク攻略戦の時も少し話題になっていたしな。
「カンヘル部隊、グリムとレイン。到着したぜ。」
「応援に来てくださりありがとうございます。私はアール・アンシュタインです。」
「それで、資料で見たがかなり強い奴がいるって本当か?」
「はい。剣を2本持っていて、動きが物凄く早い奴です。こいつのせいでどれだけの兵を失ったか...!」
俺も行く時資料を見たが、こいつはかなり強そうだと思う。けど多分グリムさんならやれるだろう。俺はあれだけボコられたし...そうゆう理由もあるけど、グリムさんも素早い。
相手がどれだけ素早いかは分からないが、やれたらいいな。
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「すぅー....はぁー....」
「ちゃんとやれるか?レイン」
そうして、戦いの時が迫る。俺はあの時何も出来なかった。ただ見るしか出来なかった。あの時の、罪と憎しみを思い出す。
「...行けます」
「へっ、そうか!」
そして、ぶつかり合いが始まった。
グリムさんは相変わらずだ。手に鉄の手袋をし、相手を的確に殴っている。一発一発が重たい一撃であり、相手をまさにワンパンで倒して行く。
「やってやる。罪を認め、復讐の思いをたぎらせろ。」
段々と力が強まって行くと共に心が悲しくなって行くのが分かる。でも仕方無いんだ。これが俺の...チートスキルなんだから。
そうして俺は飛び出し、敵の心臓を...
「貫く!!!」
血が顔に付き、人を殺した、という思いが駆け巡る。俺はそれを必死に考えずに敵の集団に突っ込む。
「来たぞ!!」
「袋叩きにしろ!」
右手で剣を振い、左手で炎の魔法を出す。1人、また1人と人を殺す。
「あつい!!あついよぉ!!!」
「がっ...ぐっ...」
「何だよコイツはぁ!!」
「友のかたきぃぃぃ!!」
彼らには人生という物があったんだろう。それを俺が奪っているんだ。ああ、何て俺は酷い奴なんだ。そんな思いと共に、俺の力は上がる限界を知らないと言うように力が強まっていく。
「そこまでだ。」
急な風が来たのかと思った数秒には、体が切り刻まれていた。
「くっ...そ...」
知らないやつの血と俺の血が混ざっているのか、傷痕がよく分からない。とてつもなく痛いがまだ立っていられる。
「まだ立っているのか、おとなしくやられていればいい物を」
次が来ると思い、俺の周りに炎を撒き散らしとにかく攻める場所をなくす様にした。
だがこのままでは俺が守るだけで相手に攻撃出来ない。そうなれば俺の負けだ。となると、ここは一旦グリムさんに会った方がいいな!
あたりを燃やしながら俺はグリムさんを探し続ける事にした。
「グリムさーーーん!!助けてくださーーい!!」
とにかく声を出すことにした。悲鳴や叫び声で聞こえないと思うが、少しでも可能性を上げるんだ!
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