第5話 カンヘル部隊
「それじゃあ、行ってくる」
「大丈夫?怪我しないようにね?」
「どうか元気でな」
休暇が終わりまたあの場所に戻らないと行けなくなってしまった。けど戦場に行かないと敵討も、家族を守る事もできないから。俺は行かないといけない。
「がんばってねーーー!!!」
最後まで元気なお母さんだ。俺が行くことになった時は涙目になっていた。少し恥ずかしかったが、俺は家族が大好きだ。
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「ここ...だよな?」
基地に戻り、リリーナ中佐から渡された紙に従い着いた小さな一部屋だけだった。
ドアを恐る恐る叩き、人を確認する。
「ああ、ようやく来たか、入って」
「失礼します」
その部屋はまるで様々な研究がされているだろうという事が分かる。机には大量のプリント。床に雑に積み重なれている本。まぁ...言ってしまえば...
「汚い.....」
「小声で言っても聞こえてるぞ。」
「まず、君に伝えなければならない事が2つある。」
大体分かるような気がするが、おそらく俺の力についてだろう。
「まず一つ、君の魔法についてだ。自分でも結構頑張って研究したんだけどね...結果は、よく分からない」
リリーナ中佐でも分からないとなると、本当にこの力は神に貰った力なのか?
「現象わかってる事を伝えれば、君は全ての魔法に適正があるのと、魔力の流れがものすごく違う事だ。」
魔法の適正は何となく分かったが、魔力の流れ?
「その、魔力の流れとは?」
「そうだね、どんな人であれ魔力には流れがあるけどそれは人によって違う。ある程度は似るけど、君のは根本的に違う。」
これは、俺が異世界から来た、という事を指しているのか?もしバレたら大変なことになるかも知れない...
「けど、魔力の流れが違うだけで、何か特別な事とは?」
「無いね、ただ人とは違うねってことだし」
それでも、この異質な魔力の流れを見て、全ての魔法に適正があるって言われたら不審に思われそうだ。
「そして2つめは...あー...」
歯切れが悪いな、いったい何だ?
「私たちの部隊に入る事になった...」
...なんだそれ?
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「別に、大丈夫と思います。」
「いや、あそこは君が思うより変人の集まりだ、油断しない方がいいよ...」
ソルーシャ隊長が居る、カンヘル部隊。聞いた話によると、とんでもない変人の集まりって聞いたが、一体どんな人がいるんだろう?
「それじゃ、開けるよ」
ソルーシャ隊長が扉を開けたら、そこはとても異質な空間だった。
「おい!カイル!てめぇまだあの時の借りを返して無いだろ!」
「フン、あれが借り?バカバカしいな、そんな物を借りと言うとは...おつむの悪さが見えるな」
キチンとした、スーツのメガネをした人と、筋肉がものすごいある人がいい争っていた。筋肉が多い方がキレたのか、いろんな所に血管が浮き出てる。
「てめえ、骨の3、4本は折られてぇか?」
「やってみろ、筋肉バカが...」
その間に、聖女のような優しい人が入った。あそこに入って行くなんて結構度胸あるな...
「その、皆さまケンカは...」
そして、流れるように手で顎を上げて来た中性的な人が来た。俗に言う顎クイだ。
「ねぇ今夜僕の部屋に来てよ。今日は1人で寂しくて、君の様な可愛い子が一緒にベットに居てくれたら良いんだけどな...?」
「あ...いや..その...」
「はぁ〜...今日も普通だな。」
何だこれ....
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「みんな注目、彼が今日からこの部隊に入るミルキー・レイン君だ。」
「ミルキー・レインです!これからよろしくお願いします!」
そんな異様な時間も終わり、俺は自己紹介をしていた。ある人は品定めをする様な目で、ある人はようやくまともな人が来た、という目で見ている。
「おい!ミルキー・レインとか言ったな!お前は全ての魔法に適正があると聞いたが本当のことかよ!」
やはり、どんな人が聞いても全ての魔法に適当があるということはかなりの事だ。
「はい、本当です!」
そう言えば、彼は立ち上がり手と足を回し、準備体操をしている。
「よし、じゃあお前ひとつ賭けをしよう。」
「え...賭け?」
何だ、一体何が起こる?
「俺より強かったらこの部隊に入ってもいいぜ!」
そう言い終わったら、こっちに近づいて顔を殴ろうとして来た。
「あっ...ぶね...!!」
準備体操をしてる時点で何かやばいとは感じたが、いきなり初対面で殴ってくるとか...
そうだった、ソルーシャ中佐から聞いた変質者の集まりってこう言うことか...
「一発目は確認、二発目で潰す!!」
大きな右フックをしてきた、俺は避けるのは無理だと思い両手で受け止めたが、そのまま壁に吹き飛ばされた。
「これは、流石に相手が悪すぎるな」
「その、いじめは...」
「さ、こっちに来て、天使さん?」
クソ、受け止めた手が震えてる。こっちだって受け止める体制だったのに、それを無理矢理変えやがった...
「受け止めるとはなぁ、やる気がある奴は嫌いじゃねえ、だが...そろそろ終わりにしようか!」
「こんなところで、終われるか!」
相手はトドメを刺そうと、結構なスピードで来た。だが、あの時経験したあのクソ野郎よりは遅い。思いだせ、あの時の憎悪、そして殺意を!
俺はそのまま殴って来るかと思ったが、空中でジャンプをし、腹に足を引っかけ、マウントの状態を作った。
「何発耐えられるか?」
こいつは勝ったと思っている。絶対に。だからこそ、俺はこんな所で負けてはいけない。アイツを殺すために...
「お前だって、どれくらい火に耐えられる?」
俺は上半身を起こしコイツを掴み、俺ごと燃やした。
だがそれは一瞬だけだった。
「君、流石にやり過ぎじゃないかい?」
「なっ!?君たち!流石に度がすぎるぞ!」
「だぁっ!クソ!マジかよ!?」
「クソっ...あっつ...」
思う様に魔法が出ない?なぜだ?あの時の感覚は出来たはずなのに...
「お前!面白いなぁ!流石の俺もそこまでは考えてなかったぜ!」
「僕も、まさか急に来た奴が無理心中をするとはな」
「けど、俺は賭けに負けてしまった...」
「あ?あんなの嘘に決まってるだろ?」
....え?
「まさか、あんなのを信じていたのか?」
「おいおい、流石の俺もここまではしないぜ?」
俺は思った。ここの人たちは本当に性格が悪いと...
「まぁ、とにかく俺はお前を気に入った!これから鍛えてやるよ!」
「あ、ありがとうございます...」
緊張が取れたせいで、息が続かない。体も無理に燃やしたせいか痛みが止まらない。
「君たち〜...!責任を取るのは私なんだから暴れるなら外にしろ!!」
ソルーシャ中佐がものすごいキレてる。魔力を見る事が出来ない俺でも、今だけは見れる...ような気がした。
「わりい、金は出すからな?」
「そうゆう問題じゃない!!!」
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「フゥゥゥ!暴れた後の酒は美味えな!レインもさっさと飲め!」
「いや、僕はまだ19で...」
「そんなクッセェ事言うなよ!」
戦った後、俺は傷を治していたら夜になって酒場に連れ出されていた。
「レインと言ったか、自己紹介がまだだったな?私はカイル・ドミノだ。よろしく頼む」
メガネにスーツ、何よりキチンとした佇まいの人がカイル・ドミノ
「僕はミラノ・ウィンド、良ければ君も今日一緒にベットに来ないかい?」
中性的な人がミラノ・ウィンド。たしか男、女構わず食べてるって噂を聞いた事がある...
「シーク・ノノールです。また、怪我をした時には声をかけて下さい。」
あの時、俺を燃やして治してくれたのはシーク・ノノールさんだ。リリーナ中佐からは目付け役として来てるらしい。
「俺はグリム・ドリトス!殴る事なら得意だ!」
戦った人がグリム・ドリトス。筋肉が凄いし、2Mぐらいはあるんじゃないか?身長。
俺はこれからこの部隊に入り、共に戦争を終わらせるんだ。そんな決意をし、力強く挨拶をした。
「これから、よろしくお願いします!」
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「ふんふんふふ〜ん♪」
私はあの時、人生で初めて恋をした。殺意に満ち溢れた表情。絶対に殺すという意思。私はそんな思いに心打たれてしまった。
「紙?また任務か」
昔に大勢の人を殺しすぎて危険人物になって、今はこんなクソみたいな鎖と足かせがついてる。外す時は戦場に着いてからだ。
昔は戦場に行くのは余り楽しくなかったが、今はものすごくワクワクしてる。なんでかって?
「また会えるかなぁ?」
私だって1人の女だ。恋焦がれるなんて普通の事だ。そしてその時は私の手で殺す。それが、私にとっての愛情表現だからだ。
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