第6話

ロッキングチェアをギコギコさせながら少しの間休憩していると人の気配が近づいてくるのを感じた。


「あ、いましたぁ」


ちょっとゆっくりした喋り方の女性の声が聞こえた。

良く知った人の声だ。


「ムウさん、今日も来てくれたんですね」

「はい、クオさんがお勧めしてくれたテント届いたので試してみようかと思って」


真っ白でふかふかの尻尾に、ふわふわしたケモ耳。

夢生ムウさん。

シズのお母さんである。

ミヤの両親もそうだが、彼女もかなりの常連である。

近くの獣人種の村に住んでいる。

大家族のお母さんでもある。

お父さんは、数年前に亡くなっているらしい。

シズは、ムウさんの長女になる。

でも、3つ子らしい。

シズは、三姉妹の長女。

次女・三女は、もう結婚していて子供もいるそうだ。

また、三姉妹の下には2つ違いの双子の男の子、4つ違いの双子の姉弟、6つ違いの兄妹と8つ違いの姉妹と2歳ずつ兄弟姉妹がいる。


「じゃあ、設置手伝いましょうか?」

「お願いしようかしら」


俺は、ロッキングチェアから立ち上がる。

立ち上がるとさっき見上げるほどだったムウさんの背丈が低くなる。

彼女は、あまり身長が高くない。

たぶん、元になった獣が小型犬だったのではないだろうか。

大体、俺の胸位の高さだろうか。

俺自体は、180cmだっただろうか。

だから、140~150cmくらいかな。

デニムにTシャツ、その上に厚手のエプロンを纏っている。

エプロンは、難燃素材の物のようだ。

色んな物が入れられるような大きなポケットがある。

ムウさんは、前を歩いて聞く。

俺は、その後ろを付いていく。


「あ、そういえば今日はムギの両親もきているんですよ」

「あらあら、ムギちゃんの?

それは、挨拶に行かなくちゃ」

「じゃあ、あとでみんなで行きましょうか」

「みんな?あ、ツカサさんたちも来てるのね」

「そうなんですよ、ツカサさんはいまは釣りにいっているのですぐに会いそうですけど」


俺達は、やがて平原の真ん中の人だかりに辿り着く。

そこには、上は18歳から12歳くらいまでの子供がいた。

そう、シズの兄弟姉妹たちである。


「あ、クオにぃ」


誰かがそういった。

うん、みんなそう呼ぶから誰が言ったか分からないな。

俺は、彼ら彼女らに囲まれる。


「おう、みんな元気だったか?」

「うん」


まあ、そう言っても先週くらいに会ってるけど。

周りには、さっき言っていたテント以外に小さなテントが建てられていた。


「じゃあ、大型テント建てようか。みんな手伝ってくれるかな?」

「手伝う」


皆の声が揃う。

平原には、大きなパーツが置かれている。


「じゃあ、まずはグランドシートを広げようか。みんな引っ張ってくれるかな」


みんなでグランドシートを敷いていく。

でかいな、確かテントの直径は5mだったかな。


「よし、広がったね。ダブルクロスのポールだから、テントを広げてフレームポールを連携していこう」


テントは、ドームテントである。

超大型のテントでこの大所帯でも使用が出来る。

俺達は、作業を続ける。

俺の指示でみんなが動いてくれる。


「フレームポールの端末をコーナーグロメットに差し止める」

「コーナーグロメットってなに?」

「この輪っかみたいなものだよ」

「その後は、メインポールをスリーブに通す。

メインポールをスリーブに通してテンションをかけて終わりだな」


あっという間に、テントが設置されていく。

人数も多かったからあっという間だった。

それに、連携も早かった。

仲がいいのだから頷ける。


「あらあら、あっという間ね。流石、クオさんね」

「あはは、どういたしまして。さて、俺は次の仕事に行きますね」

「あら、じゃあ私も一緒に行ってもいいかしら。ビレージに向かうのよね」

「あ、なるほど。じゃあ、行きましょうか」


俺は、ムウさんを連れてビレージへと向かう。


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夢生ムウ

シズの母親で未亡人

チワワをベースにしたケモナー

多産で子沢山

20歳の3姉妹、18歳の双子兄弟、16歳の双子姉弟、14歳の双子兄妹、12歳の双子姉妹の4男7女

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