第5話

俺は、ムギ家族をプレージのコテージへと送り届けるとプレージを見て回ることにした。

ムギには、就業後に来るように言われた。

俺は、シズ・ミヤ・ムギの3人と結婚している。

こちらの世界では、重婚は禁止されていない。

実は、シズとミヤの家族には何度か会ったことがある。

というのも、彼女たちの両親はうちの常連だからだ。

続々とチェックインを済ませて、お客様たちが来所されてくる。

テント担当のスタッフが慌ただしく動いている。

でも、順調そうだな。

インカムには、チェックインの様子がアナウンスされている。

チェックインも4割ほどが完了しているようだ。

その内、ロッジ・コテージのお客様は全員チャックイン済みだそうだ。

それぞれが、アクティビティに進んでいるらしい。

プレージのアクティビティ予約は、ムギの家族が中心だからムギに任せておけば大丈夫だろう。

休暇中だけど、彼女自身も楽しむことだろう。

それに、ムギ以外にもスタッフがいるから大丈夫だ。

彼女が、のんびりできたらいいな。

俺は、そのあと一度受付へと戻る。

受付の前には、まばらに列が出来てきた。


「お、クオくん」


受付の前に、並ぶ列には半森人種の集団がいた。

その内の1人の男性が俺に話しかけて来る。

彼は、ミヤの父親の司さんである。


「ツカサさん、今日はどちらに?」

「今日は、フォレットのテントとプレージで釣りの予定だよ」


言われてみれば、ツカサさんの肩には釣り道具とクーラーボックスが掛けられている。

自前の道具だろう。

彼は、多趣味でいろいろなことが出来る。

たぶん、うちのお客様の中でアクティビティを一番満喫している1人だろう。

自宅は、ここから程近い山中にある。

元々は、ここら一帯は半森人種が管理していた場所だった。


「釣りですか、そう言えば今日はムギのご両親がプレージに来てますよ」

「ほぅ、紬くんと言えば竜人種のお嬢さんだったね。

後で、会うことになるかもしれないな。ちょっと楽しみにしておこう」


やがて、ツカサさんの順番が来たようで受付へ向かった。

俺も、受付へと向かう。


「そう言えば、今日は私もプレージの担当なのでまた後で会うと思います」

「おお、そうなのかい?

じゃあ、浜焼きに付き合ってもらおうかな」

「分かりました、じゃあ浜焼き場の準備を後でしときますね」

「頼むよ」


俺は、そのあとツカサさんと別れてフリーサイトへと向かった。

フリーサイトは、そのエリアの中でも草原、丘などがある。

だが、ここはロッジもコテージもない。

フリーサイトは、自身のテントを張る為、今は設営準備をしている人達がまばらにいる感じだった。

もちろん、自身のテント以外にもレンタルすることもできる。

俺の仕事は、レンタル品のテントを張ったりする。

それに、他にもレンタル品はいろいろあるので設置も手伝う。

こちらには、スタッフはいるが専属というわけではないので近い所に控えることはない。

フリーサイトの入り口から入ると入り口脇にロッジがある。

ここが、レンタル品の貸し出し場所である。

俺は、ドアを開ける。

まだ、レンタルには誰も来ていない様だ。

ここに、スタッフは常駐していない。

まあ、いつも俺がいるのだけど。

俺は、いつもの定位置であるロッジのバルコニーにあるロッキングチェアに腰を下ろす。

ちょっとだけ休憩かな。






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