第4話
午後になり、俺は受付へと向かう。
受付は、管理棟の1階東側にある。
西側には、搬入口があるのでそんな配置だ。
普段は、受付業務の総括とフリーサイトの受け持ちが俺の担当である。
今日は、受付業務、フリーサイト、プレージとやる事が多い。
まあ、受付業務は予約時にいつ来るかが大体わかっているから俺以外が担当しても問題はない。
一応、専属の受付が交代で居てくれるし。
受付窓口は全部で4つある。
それぞれのエリアで分けてある。
フォレットが、エルフ人種。
フルールが、獣人種。
プレージが、竜人種。
フリーサイトが、純人種とそれぞれが担当している。
エリア毎に、それぞれの人種が一番多く利用するためそう配置している。
受付の外には、案内役が待機している。
受付から各エリアへと案内を務める。
そこから、先は案内役から各テント・ロッジ・コテージの常駐担当者へと引き継がれる。
受付・案内役は、各3交代ずついる。
全体で200~250人ほどが働いている。
結構大所帯だ。
スタッフ達の宿舎は、管理棟の3階から上になる。
管理棟は、全部で5階建て。
俺の部屋も、5階にある。
「準備は大丈夫そう?」
「はい、大丈夫です」
「今日は、プレージに居ることが多いかもだから何かあればすぐに連絡してほしい」
「わかりました」
受付に入ると、既に受付は稼働をしていた。
窓口の後ろで、作業をしているスタッフ達と会話をしてから俺はプレージへと向かった。
ちょうど、向かい始めると鬼人種の女性が並走してきた。
「支配人、これからプレージですか?」
「うん、そうだよ」
彼女の後ろには、青い髪とサファイアの様な青く光沢のある角を持った男女が5人付いてきていた。
どことなく、ムギの角に似ている気がする。
たぶん、竜人種なのだろう。
青ということは、水竜系統かな。
ムギと同じだな。
彼女は、確か黒竜人種とのハーフだったはずだ。
だから、角だけ黒曜石の様に黒い。
「えっと、こちらのお客様たちが紬副支配人の知り合いらしくて」
「ああ、水竜人種だものね…じゃあ、俺に任せてよ」
「はい、お願いします」
彼女は、お辞儀をして受付へと戻って行った。
俺は、お客様たちに向き直る。
「初めまして、私はここの支配人をしています。神楽坂 久音と申します」
「これは、丁寧に。僕は、紬の父でね。クロスと言うんだ」
え、紬の父親。
確かに、年上のような気はするが竜人種は見た目の年齢が若い。
老成するのも、ずっとずっと長い年月が必要だという。
「ムギのお父さん!」
「あはは、そんなに驚かないでくれよ」
いやいや、驚かないのは無理だ。
そんな彼は、俺の事を見ながらうんうんと頷く。
「ふむふむ、君からあの子の気配を感じるね。
君が、番くんかな」
スーッと細い目になっていく。
正直怖い。
竜人種は、俺よりも力が強く喧嘩なんかしたら殺されてしまうだろう。
「おっと、怖がらせてしまったようだね。
放蕩娘が、どんな番を作ったのか気になっただけだから気にしないでくれよ」
ほぅっと息を吐く。
正直怖かった。
生きた心地がしなかった。
そうしていると、1人の女性が駆け寄ってきた。
黒髪を後ろで束ね、ムギと同じ黒曜石の様に光沢のある角がある女性。
どことなく、ムギに似ている。
「先に行くなんてひどいわ」
「ああ、ごめんごめん。ハニー」
クロスさんが、そう言った。
「ハニー」…つまり、ムギのお母さんということか。
だから、彼女に似ているのか。
「あら、あらあらあらあら。貴方が、久音さんね。
娘から話は聞いているわ」
彼女の後ろには、隠れるようにムギがいた。
でも、眠たそうな眼はしていない。
「クォ、後は私が案内する」
「そう?まあ、俺もいまからプレージに行くところだから一緒に行くよ」
「助かる…私のパパとママ、それと親戚」
簡単にムギが紹介してくる。
俺達は、談笑を躱しながらプレージの入り口へと辿り着いた。
大きな半透明な両引き戸の扉がある。
俺は、カラカラと音を立てながら扉を開ける。
「ようこそ、プレージへ」
俺は、そう言ってムギの家族たちの前に立って挨拶をした。
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【補足】
まだ出てきてない人種がいっぱいいます。
エルフだけエルフ人種と書いてるのは、補足忘れていたから。
次回からは、エルフ=半森人種記載にします。
【補足2】
プレージ
竜人種、魚人種、半魚人種に人気
フォレット
半森人種、森人種、妖精人種に人気
フルール
妖精人種、獣人種、半獣人種に人気
フリーサイト
獣人種、半獣人種、鬼人種、半鬼人種に人気
ちなみに、純人種にはどこも人気
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