第1話
俺は、ビレージへとやってきた。
耳には、インカムを付けている。
手には、タブレットを持っている。
管理棟は、4つの棟の真ん中にあるので行き来はしやすい。
まず、俺がやって来たのは湖にある桟橋だ。
ここには、ボートを停泊させてある。
全部で5艇。
この点検からだ。
「あ、
「お疲れ様。点検作業は順調?」
「はい、あと1艇です」
桟橋には、先に来ていた3人のコンシェルジュ達がいた。
基本的に、ジャケットにスラックスかスカートと言った身なりになっている。
桟橋にいるのは、男性スタッフ1人に女性スタッフ2人で皆スラックスに革靴を履いている。
他のスタッフは、今頃各テントのメイキングをしている頃だろう。
チェックアウトが1時間ほど前に終わっているので片付け作業中である。
午後には、チェックインが始まるのでそれまでに終わらせなくてはならない。
それぞれのエリアには、コテージが1棟、ロッジが2棟、テントが8張りある。
2人1組で行動をしている。
各エリアに、支配人(副支配人)に30人のスタッフが常駐している。
副支配人と言うのは、ミヤとシズのことだ。
それに、もう1人いるのだが今日は休んでいる。
今頃は、管理棟の厨房に篭っているだろう。
彼女は、そう言う人だから。
「支配人、チャック終わりました」
「お疲れさん、じゃあ次は備品チェック行きます」
彼・彼女らは、BBQいやGBQ用具のチェックへと向かう。
GBQとは、グラマラスバーベキューの事である。
BBQよりもワンランク上のバーベキューと言った感じだろうか。
お肉も野菜にも上質な物を選び、調味料にも気遣った。
最高級の物を選び…もちろん、機具にも拘った。
ファンタジー的な鉱物とかはないからそっち方面の拘りではないけど。
高級焼き肉店のような物をBBQでやっている感じかな。
でも、自由度はかなり高い。
肉以外にも魚介やマシュマロなどお客様の要望に応えられるようにしている。
食材の搬入は、午前中の間に行われる。
管理棟にある厨房に搬入される。
俺は、タブレットを操作する。
チェックリストに、チャックをしていく。
「じゃあ、後は任せるね」
「はい」
俺は、ロッジへと向かう。
ロッジは、湖畔の北側と南側の2ヶ所にある。
まずは、一番遠い南側へと向かった。
ちなみに、コテージは湖の東側にある。
湖畔をぐるっと回り、危険物やゴミが落ちていないか確認していく。
小さなことでも確認は怠らない。
それで、怪我や事故につながる可能性があるからだ。
ロッジに向かう間にも、テントがぽつぽつと見える。
テントの片づけ《メイキング》は、寝具の交換や掃き掃除、ランタンなどの燃料の補充・交換などを行う。
大体が男女ペアで行動している。
夫婦で作業をしている人たちもいるし、恋人同士もいる。
ぎこちない男女もいたりはする。
社内恋愛大いに結構。
でも、就業中は節度はわきまえてくれればそれでいい。
インカムには、各地点の進捗が届いてくる。
順調みたいだな。
タブレットのチェックリストにチェックを付ける。
革靴に、砂が纏わりつく。
きゅきゅっと砂地が音を鳴らす。
鳴き砂の敷き詰められた湖畔なのだ。
人工のジオトープ。
この施設自体が、大きなジオトープである。
最初はなにもなかった。
いや、在ったのは農業プラントの跡地としての建物だけだったかな。
そこに、木を植え、花を植え、石英粒を敷き詰めた。
この農業プラントの跡地には、当時は移民であった子供たちが慎ましく生活をしていた。
彼らと行動を共にして、そして今も仕事をしている。
低めなラティスの塀に囲まれた木造建築の建物がある。
ロッジなので、風呂やシャワー、トイレなど宿泊する上で最低限の設備を備えている。
2階建てで、寝室は2階に2部屋がある。
1階は、暖炉のあるリビングがある。
ロッジとコテージのコンシェルジュの人数は多めにしてある。
いま、このロッジには4人のスタッフが作業をしている。
「
俺を見るなり、巻き角の男性が挨拶をしてきた。
彼は、獣人種である。
山羊だったか、羊だったか。
まあ、その辺りだ。
「お疲れ様です。進捗はどうですか?」
「はい、こちらは問題ないです。まもなく、終わりますのでこの後はコテージの復旧に向かおうかと」
「ああ、そうか。こっちは、昨日宿泊はなかったですね」
「はい、なので簡単な清掃のみです」
俺は、タブレットのチェックリストにチェックをしていく。
インカムでも、進捗がどんどん送られてくる。
後は、コテージだけかな。
「俺も、コテージに行くかな」
「では、私達も一緒に行きます」
ピンと伸びた細長い獣耳の男女が奥からやってきた。
確か、馬の獣人種だったかな。
女性の方なんか、ウマ娘に見えなくもないかも。
向こうの世界にいる時は、よくやっていたな。
こっちには、そう言ったゲームはあんまりない。
スマホもあるし、パソコンもあるけど。
どうも倫理観が違うようだ。
あっちの世界では、架空の存在だったがこっちには実際にいるから。
「じゃあ、行きましょうか」
俺達は、コテージへと向かう。
ビレージにも、木々が植えらている地域がある。
それが、コテージがある場所である。
昨晩、コテージでなかなか賑やかだった。
その為か、メイキングも時間が掛かっているようだ。
ロッジと同じようにラティスフェンスの囲いが見えて来る。
別荘のような見た目のコテージは、木々に囲まれている。
コテージにはプライベートプールやサウナもある。
ロッジと同じで風呂やシャワー、トイレ、寝具など宿泊するのに必須の設備がある。それ以外にも、食器類、テレビ、冷蔵庫、冷暖房器具まで備えている。
コテージに入ると一緒に来た2人も作業に加わる。
先に作業していた女性スタッフがやって来る。
「
「お疲れ様です、進捗は如何ですか?」
「はい、寝室のメイキングは終わりましたが他がまだで」
「ロッジから2人加わりましたので、頑張りましょう」
コテージは、2階に4つの寝室がある。
それ全てが終わっていると。
後は、お風呂にサウナ、プールなどかな。
それから、俺も作業に加わり30分ほどで作業が終わり全員で管理棟へと戻るのだった。
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