第15話

 今、私は社会人三年生。小三じゃあない。

 頭の片隅にすら残ってないレベルだった。思い出してみると、何故だろう。

 何故、今まで忘れていた。

 何故、アイツは教えた。

 何故、だろう。

 知らない。分からない。一体何を以て?もしや…。

「私…だけ」

 気付いてなかったのか。皆ぜんぶ知ってて、それで…。

「…っふは、はははは」

 やられた。馬鹿らしい、小賢しい。やっぱり私は軽蔑されていた。その上で、蹂躙されていた。

 私たちを。何だと思っているのだろう。涙まで溢れそうだ。どうしてくれるんだ。やっぱり皆、信頼できない。するもんじゃない。

 奴の親共は、何を教育してた?先公は指くわえて静観してたっての?

 このままだと、うっかり人を殴りそうだ。どこかに激情のぶつけ所無いかな。

 昔のことだ。この怒りは、持っていたってしょうがない。

 うろうろと視線を動かす。おっ、丁度良いところにコントローラーが。

「人ブッ殺すか」

 呟いて、ゲーム機本体を手に取る。ゲームを起動。

 キル武器キル武器…あったあった。ローラーで人を殴ろうそうしよう。カスタム画面で武器を変更。

 ロビーで、バトルを開始する。

 …結果のみを言うと、三分間の一試合で十五キルした。当然圧勝。なんだか、自分が恐ろしい。

「…ふう」

 ようやく正気に戻った、はず。

 取り敢えず書類を漁ることにした。でも、今日は色々ありすぎた。

「明日やるかー」

 ソファにダイブ。その勢いでテレビを点ける。録画していたバラエティー番組を一つずつ消費した。ただただ爆笑した。涙が滲んだのも、むせたのも笑いすぎのせい。

 きっと、そのせい。

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