第11話

 なんで優と私のホクロの位置が一緒なんだろう。

 唇から、うっすらとした血の匂いが鼻を刺激する。呑んで飛び飛びになりつつあった意識が、この事実の所為で、やけに冴え渡った。

 正気に返り、洗面所で歯を磨く。ふと、鏡の中の自分と目が合った。

 いやいやいや、無い無い無い。常識的に考えて、現実であるか?てか、こういうのって徐々にイワ感あってからじゃね??

「突拍子なさ過ぎっしょ…」

 まさかの急展開。これが小説なら、『ヒロイン、話が始まってから三日程で真相を見破る』ってことになる。早い早い。読者なら、むしろ「ミスリードであってくれー!」と心の底から叫んじゃうかも。話が終わっちゃうから。

 まさかだけどさ、

「優と私って、同一人物…」

 で合ってる?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る