第9話

 大会から二日が経った。終わってしまえば、あのステージが嘘のように、もう通常運転。私は、グラスに並々入ったビールを、くいと一口やりながら、ドラマを視聴中。最近は陳腐で単純なストーリーが多くて、頭使わなくて済むから助かる。

 ソファにどんと、あぐらをかく。

「いやあー、主人公、いつ見ても仕草も全てがかわいいわぁー」

 …分かってるよ、超絶地味ライフなことぐらい‼︎でも結局、こういう暮らしが丁度良い気がして。

 てか私、誰に言い訳してるんだろう。世間?

 結婚の「け」の字も無い生活だって、言われたってしょうがない。大好きなゲームで安定した資金は得た。ゲームは、戦っている時や、ストラテジー等の可能性を模索することは楽しい。確かに、充実した生活なんだ。

 しかし、私には、こういうときに顔を合わせて駄弁れる、気軽に肩を組める人が居ない。作れない。事実は事実だ。

 でも、私には優が居る。彼は今、どうしてるんだろう。私にとっては、単なる弟以上の存在。家族だったとしても、胸の高鳴りや期待は消せない。

 テレビに注意を戻す。この二人はどうせ何だかんだあってくっつく。だが一卵性双生児の姉弟の私達はどうだろうか。ムカつく。なんだか左目付近のホクロの辺りが痒くなってきた。

 ドラマ本編が終わり、EDの曲へと移る。クッションの効いた背に身を預け、軽快なラップを聴く傍ら、素朴な疑問が浮かぶ。

 そういえば、私達は直接会ったことが無い気がする。

 なんでだろ…。

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