ENJEL

わわを

Prologue

 それは今より丁度千年前のこと。

 まだ魔法が人々に受け入れられなかった時代。

「魔法は魂を汚染する」、「魔法は邪悪なもの」。未知に対する偏見がそのうわさ話を作り上げた。

 ある時、神を信仰することに熱心だった当時の人々は、魔法を使うものを異端として「魔女狩り」を始めた。

 凄惨な魔女狩りはとどまることを知らず、規模も方法も、どんどんと残酷なものへとなっていく。魔法を使えないただの一般人民も、理由なき私刑により数多の命が息絶えた。


 ある日、ある魔女が声を上げた。


 その魔女は「千輪の魔女」。現在に置いても彼女を超えるものはいない、当時──そして歴史上で最も強い魔女だった。

 彼女は己が命を賭した大魔法を使い、魔女狩りとそれによって引き起こされる災害を止めたことで、世界に平和をもたらした。

 彼女の死から数十年が経ち、教会は一つの声明を出した。


「魔法は神により捧げられた奇跡。私達はそれに気付かず過ちを犯してしまった。数多の民を傷つけたこの罪過は必ず禊ぎましょう」


 そうして、魔法の時代はやってきた。

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ENJEL わわを @wawawo

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