第9話 出会い3

球団のホームページに写真が掲載されている、各ビールメーカーの売り上げトップ3のビール売り子達は、きれいな子ばかり。それに華奢な子が多い。

だからこの仕事が、実は、10kgあるビール樽と、それにホースやガスなど入れて全部で15kg近くも背負って、試合の間中、階段を上り下りし続ける、肉体労働だと知らない人が多い。

その見た目だけで、華やかなバイトと勘違いして、応募して来る子達が毎年一定数いる。


野球の好きな子がビールの売り子になるとも限らない。

営業力と根性が必須のバイトだから、就職活動の際に「ビール売り子をしていました」と言うと、どこの会社でも面接官の食いつきがいいのは周知の事実で、そのためにバイトをする子がいる。

過去には、テレビ局の人にスカウトされて、野球担当のアナウンサーをするうちに、選手と結婚した人もいた。



わたしがこのバイトを始めたのは、光輝の影響で野球が好きになったこともあるけれど、売ったら売っただけ、歩合が大きいのも理由の一つだった。


4年生になって授業が実習ばかりになったら、アルバイトもそんなにできなくなる。

だから今のうちに、お金を貯めておきたかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る