第29話


今日は土曜日。

今朝まではダラダラ過ごそうと思っていたが、唐突に父さんから仕入れを頼まれて買い出しをしているところだ。

今は繁華街を歩いている。


「えーと、次はなんだったかな」


気の抜けた声を上げながらメモを見ている


「ん?」


すると、前の人が何かを落としたまま過ぎ去りそうになっていた


「これは·····。学生証か。あっ、すみません!」


落とし物はまさかの四葉学園の学生証だった。

迂闊すぎだぞこんなの


「なんですの·····?」

「ああ、君が—」

「—はぁ、またナンパというやつですか。まったく、お忍びできたらこうですの」

「はぁ······?」


え、なに俺ナンパと勘違いされてんの?心外だ。

ていうか、この声どっかで·····


(あぁ、お嬢様口調の人か)


名前は学生証を拝観して、西園寺さんってことが分かった。たしか、あのときの他の生徒たちがコソコソと言っていたけど興味なかったし。


あと、なんでこの人いまだに振り返ってないんだ

もしかしなくても、ナンパ対策?

いや、やろうとおもえば背中殴れるし


—と、そんなアホなことを考えていると


「まったく、早く諦めたらどうなの。野蛮人」

「ムカッ、あそう。ならもう言っちゃうけどいいのか?」

「ええ、早く消えない。しっし、ですわ」


まあ、さすがに学園に落とし物として入れてやるよっ。ハッ!!


そんなナンパ野郎を追い払ったと勘違いしている西園寺が向かったのは図書館。なぜかというとここの図書館は特定の高校の生徒だったら完全無償で利用できるからだ。


「えっと、学生証はどこかしら」


ない。バックの中をいくら探しても見当たらない

まさか落としたのかと脳裏によぎるが、自分がそんなヘマするはずがないとその考えを一蹴する。

そして、考えた末至った結論は····


(あのナンパ野郎ですわ〜〜!!)


きっとあのナンパしてきたやつが取ったのだろう

だが、気持ち悪すぎて見向きもしなかった。


(う~~。絶対見つけ出してやりますわっ!助けてくださいっ。お父〜さま〜!!!)



ーーーーーーーー



たっくもう、この学生証どうしよう。ふむ。一ヶ月後とかに提出してもいい。ていうか、傲慢すぎじゃないか!?

あいつは絶対に許すマジ

まあ、べつにいいや。あんま怒ってないし。あれ相当の箱入り娘だよ絶対。

まあ、それよリまだ買い出しの品あるからそっちに思考を切り替えないとな。

いやまて、ここで俺が落とし物を集める所に置いたら怪しまれるかもしれない。

いやいや、俺はれっきとした善人だぞっ!?

反論の余地はあると思いたい!

ていうか、反論できなかったら理不尽だ!


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