第28話
橘さんから変なことを言われた翌日のこと。
自分の教室で気になっていることを聞く
「なぁ、翼。最近橘さんどう?」
「どうって?特にないけど」
「なんか変なこと言われてないか」
「うーん。いいや、ないなー」
「そっか·····」
昨日のは何だったんだろうか。もしかしたら他の人に無差別に聞いてると思ったが、どうやらそうではなかったらしい。まあ、後でそれとなく聞いてみる?
そうして少しの間教室で待っていたら橘さんが来た。早速聞いてみることにした
「おはよう、橘さん。昨日のことなんだけど····」
「えっ、あ、あの····えと。ごめんなさい!」
なぜか謝罪されながら走っていってしまった。
何か過ちを犯してしまったのだろうかと考える。
「······やっぱり昨日のあれだよな」
俺は何をするのがいいんだろうか?
時は経ち。昼時になっていた。そこで翼はいつも通り教室で弁当を食べることにした。食堂で食べる事もできるが、自分としては閑静としたところで食べたいと思っている。
そんなこんなで早速自分の弁当に手を伸ばそうとした時—
「あの、中村くん。今、いいかしら」
「ん?橘さん。また相談かな?」
「うっ、うん。そう」
「うーん。·····まあ、いいよ」
「!····そう、ありがとう」
ここ最近、橘さんがしょっちゅう俺に相談を持ちかけてくる。また、その相談内容が···
「あの、早速にはなるけど····。坂本くんのことなんだけど」
「うん」
「その····最近、話しづらいと言うか、なんかむずむずするの。坂本くんといると」
「そうなんだ」
弁当の白飯を咀嚼しながら話を聞いていく。今行っているのは、恋愛?なのかどうかわかんないけどそういう類いの相談を受けている。
あっ、タコさんウィンナーだ。
「うーん、前の食堂のときにもおんなじこと聞いた気がする」
「うっ····、そう、だったかしら?覚えてないわね」
「上の空だったからね」
「た、たしかに。それは認めるわ」
「ま、このままじゃ進展しないし、話進めるけど大丈夫?」
「えぇ、お願いします」
えっと、まず質問からだね·······
「じゃあ、橘さんは今裕太にどんな感情を向けてるか自分でわかるかな?」
「どんな感情?·····難しいわね、それ。でも、今はまあ······友達っ?そ、そう思ってるわ」
「ありがと。じゃあ、次の質問いくよ」
そんな感じでどんどん俺の親友である裕太にまつわる質問をしていった。例えば、好きな料理を知っているかなどの些細なこととか、両親の名前を知っているかとか少し踏み込んだものとかを質問をしていった。そして、休み時間も終わりが迫ってきた。
「じゃあ、次の質問。どんどんいくよ。橘さんが裕太のことを裕太って言ってみて」
「······?どういうこと。それ」
「だから、坂本くんじゃなくて、裕太って言ってみてってこと」
「そんなこと簡単よ。········」
「どうしたの?」
「い、いえ。ちょっと待って」
そう言って、ガバっと!机の下に隠れてしまった。下を少し覗くとすご~く深い深呼吸をしているのが見れた。簡単?
「ゆっくり言うわ·····。ちょっとまってくれないかしら」
「じゃあ、その代わり絶対に言ってくれたらいいよ」
「わ、わかったわよ····」
そして、何秒かブツブツなにか言って意を決したように口を動かす
「·····ゅ、ゆう—」
「あれ、ふたりでなにしてんの?」
「えっっ!?」
そこにいたのは首を傾げている裕太だった。
それと、なぜか少しだけ口角が上がってる。なんかいいことでもあったのかな?
「あ、あれ?なんでここに坂本くんが?」
「そりゃ、もう昼休み終わりそうだから戻ってきただけだけど。じゃ、俺はもう席に戻るねぇ」
「あっ!裕太少し待ってもらえないかな?」
「え、えー。うーん。まあ、少しなら」
「ありがとう。ものすごく助かるよ」
「それで、どうしたん?」
「それは橘さんがね·····」
そう言いながら立花さんの方を向いた瞬間。すごい形相でこっちを睨んでいる橘さんがいた
「な···かむらくん。これは偶然かしら?」
「ん、なんのこと?」
「とぼけないで!」
「それより、言わないの?絶対って言ったよね」
「〜〜〜〜〜〜!!」
「あ、の坂本くん。その·····」
「ん?どうしたの」
「その、〜〜〜〜〜」
声になってないようなものが聞こえた。何を言っているかさっぱり聞こえなかった
「裕太聞こえた?」
「えっと、なんか。幽体離脱?」
幽体離脱。ゆうたいりだつ。ゆうた
その意味を察した俺は生暖かい視線を送る
「いいじゃないっ!こんなの罠だわっ!?」
「ふむ、また俺の知らないところで一番弟子である翼がやらかしたようだ?」
「いえいえ、師匠には及びませんよ」
「あなたたちっ、いい加減にしなさいっっ!!」
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