第25話

朝のことから少し飛んで今は放課後。今日は父さんの飲食店にやってきた。

今日は比較的に楽な日程だったからまだ力が余ってる感じがするし、ここらで荒稼ぎするか


そして、早速バイトの支度を始めた。父さんは今留守で、今は母さんが厨房の監督みたいなことをしていてバイトの方たちが主流で全般のことをやっているようだ。

そんなこんなで接客をしたり料理を作ったりしていると·······


「こんにちは〜····」

「いらっしゃいませっ。あれ?、先生じゃないですか」


そこにいたのはひより先生だった。それとその他にも多分先生の同僚と思われる人たちがいる


「どうして坂本君がここに?·······ま、まさか隠れて内職!?坂本君それは校則違反ですっ!」

「そうだけどそうじゃない」

「落ち着いてください。ここ坂本食堂ですよ?その子の苗字、坂本ですよ?」

「·····あっ!!たしかに!」


気付いていなかったのか、流石に影が薄すぎると思う

でもまあ、一応納得してもらったみたいだ?

家の手伝いってことで許してくれた

その後はテーブルに先生たちを案内した。


「ご注文はお決まりましたか」

「うーん、どれも美味しそうですけど·····なにか、おすすめってありますか」

「おすすめですか?では、中村先生は何系の料理がいいですか」

「えーと、じゃぁスタミナがつく料理が食べたいです!」

「スタミナですか」


なるほど、先生はすぐバテるから体力をつけたいという魂胆なのだろうか。スタミナだとタンパク質とか無機質などの体の組織を作るものだったり、炭水化物らへんがいいのだろうか


「でしたら、数量限定のセミ料理はどうでしょうか」

「ん?すいません、ちょっと聞こえなかったのでもう一回言ってもらっていいですか」

「セミ料理はどうでしょうか」

「セ、セセセミっ!?」

「はい、栄養豊富ですよ」

「な、なにか恨まれることしましたか私?」

「いえいえ、そんなことないですよ。むしろ逆で先生にはいつももお世話になっているのでそのお返しとしてオリジナルセミ料理を振る舞いたいと思いましてですね」

「オリジナル···?それは、気になるけど···セミィ」

「そんなに嫌ですか·····。では、他の人で食べたい方はいますか?」


俺がそう発言した瞬間に全員が視線をそらした。はて、なんで全員が全員そっぽを向くのだろうか


「いや、僕たちは結構だよ。その代わり、君の担任の中村くんに振る舞ってあげなさい」

「お、大井先生!!何を言うんですか!?」

「中村くん。これは立派な教師の第一歩だよ」


大井先生が諭すように言うと、他の先生もウンウンと食い気味に頷く。何の話をしているのだろうか?


「り、····立派な?」

「そうだ、教師は時に生徒を怒り正しくしたり、生徒たちの気持ちを受けとめてたりする必要がある。それをすることでまた一歩前進する」


大井先生による感激的なスピーチが放たれる。

ひより先生は下を向きながら、ピクピクしながらセミ料理を注文してくれた。

なんかそれだけで、他の先生陣は拍手喝采していた。そんな虫嫌いなの?ちょっとしょんぼり


だが、ここはセミの偏見を払拭しなくていけない!!坂本食堂代表として腕によりをかける。

漢裕太。いざ参る!!


結果的に言うと、目をつぶって食べたら案外に良いと評価された。でも目をつぶらなかったら裏がグロテスクで食べれないらしい。

あと、節約生活をしていた先生からは値段も安いし、味も悪くないことから大喜びされた。


食堂でドンチャンしている裕太であるが、

橘律花に悲劇が起きていた




ーーーーーーーーー





(えーと、必要な食材はこれだけよね)


今はスーパーの買い出しの帰り道にいる。

今は夜遅く、さらにここは台風が来て街灯が倒れてしまっていて、未だ修理されていない。そのため、目の前を注意深く見ないと、誰かとぶつかりそうだった。


でも、今の橘はどこか浮ついているような、もの想いにふけっているような感じがする。


(最近、なんだか学校が楽しくなってきてるような····)


中学の時も学校に行きたくないと思ったことはないが行きたいとも思ったこともない。

それは、高校に入ってもしばらくそうだった。

そう···、しばらく。ある日を境に学校に行くのがだんだんと楽しくなってきている。そのきっかけがなんなのか自分自身もよくわかっていない。

まあ考えても仕方ないので思考を中断する


—そこで、突然誰かの足の音が聞こえた。

真夜中でもあったのでそれが怖く、振り返った

が、そこには誰もいなかった。自分の勘違いだといいと思ったが念の為走って家に帰ることにした

それからずっとスーパーの袋を持ったまま我武者羅に走った。だが、最初の足の音がいまだ聞こえるのだ。

そこでやっと自分の家が見えてこようとしたときに—


——ダンッ‼


突然大柄な男が現れた。

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