第19話
「ね、姉ちゃん死んだか?」
床に倒れ伏している。さらに、作っていた料理がトマト料理らしいものだったのでココはもう殺人現場と化していた。
姉ちゃんのきれいな白髪が赤く染まっている
「おーい、聞こえてる?」
ダメだ返事がない、ただの屍のようだ。
「·········ぅ、···ぁ」
「生きてた!」
死んでなかったわちゃんと生きてたわ
「ちょっと待ち、今助けるから」
起こしたり、料理を片付けたりなんだりして数十分
「ありがとー、助かったよ」
「いやまあ、それはいいんだ。それで、擬似殺人事件が起きた経緯は?」
「えっとね、まず今日は久しぶりに生徒会の仕事が終わって、裕太を最近甘やかしてなかったか料理で甘やかそうと思ったの」
生徒会。そういえば姉ちゃん、総務とかなんだったか?それで、仕事が終わってもてなそうとしてくれたと—
「—それでトマトがああなっちゃったと」
「うっ、そんな渋い顔しないでよ。お姉ちゃんも頑張ってるのよ?」
「まあ料理を作ってくれてたのは素直に嬉しい」
「だ、だよね!」
「ただ、ここで重要なことがある。」
「な、何?」
「—姉ちゃんって、料理できたっけ?」
「うぐっ!」
「はあ、昔からできないよね料理」
「違うの!ちゃんと分量も寸分違わず行けたわ!
だけど、なんで私が作る料理は不味くなるの!?」
「··········」
なんかもう悲しいね、
姉ちゃんはなんでもできる。出来すぎていて怖いくらい勉強も生徒会長や副生徒会長もいる学年でテスト順位1位を取るくらい。でも、運動はできない
「そっか、じゃあ俺が料理するから何がいい?」
「今日は緑黄色野菜が少なかった。だからビタミンA中心のもの」
「ああ、だからトマト」
トマト事件の真相わかったわ。そんな栄養素大事なのかな?でもこの前このこと言ったら2時間くらい説教食らったしな、言わないでおこう
「じゃあ、先お風呂入ってきて」
「一緒にはいらないの?」
「なんで一緒に入るんだ?」
「だって、この前も一緒に入ったよ」
「この前て、いつの話ししてんだ!さあ、早く入る」
「はーい、つい最近なんだけどな~」
「最近の感覚が狂ってる」
言葉が終わる頃にはトコトコ風呂場に向かっていった
さて、何作ろうか?迷うな
トマトの野菜と,·····あ、トマトのハヤシライス作ろっかな、野菜多めで
ーーーーーーーーーー
「美味しかった」
「それはお粗末さん」
今は食後のティータイムといったところだろうか優雅な時間を過ごしているよ。
まあ、何も飲んでないが
「そろそろ寝ようかな」
「そうなの、おやすみ」
俺も少し本を読んでから寝ようかな
少し本を読み進んでいると—
「—ねえ、ベッドに送ってくれないの?」
何をいってんだか、子供じゃあるまいし
「······卑猥だぞ」
「別にそんなんじゃないし」
なんで、自分でいかないんだ。
項垂れているとあるものが目に入った。ああ、なるほど
「まあ、車椅子が赤くなってるし。そりゃ嫌か?」
「そうなの、足が不自由なのも辛いの。わかるこの気持ち?」
「わかんないよそんなの。ただ、介護することはできる」
「あー!お姉ちゃんを年寄り扱いはだめだよ」
「そんなことしてない。それより、はい」
もうなんかめんどくさくなってきたので、早く背中を貸すことにした
「ふふっ、ありがと」
「はいはい、これくらい何日やっても疲れないよ」
「ふ~ん。じゃあ、毎日やってもらおうかな?」
「それは勘弁してくれ」
姉ちゃんは何年前だったかな。たしか俺が中学のとき不慮の事故で足が不自由になってしまって、それからは車椅子生活と同時に俺の介護生活だよ。車椅子に乗る前は文武両道で運動もできた分、不便さが際立っていた。
ま、そんなのはどうでもいい。もう寝室についた
「ほら、降ろすよ」
「わかった。ありがと」
「このくらいでいちいち言わんくてもいいよ」
「もう、素直じゃないな」
「ハイハイ、じゃ今度こそお休み」
「うん。お休み」
ーーーーーーーー
ある少年が過ぎ去った暗く静かな一つの寝室
一人の少女が枕に顔を隠して、毛布を顔を隠すように覆っている
(いつもと変わらないな〜)
一人の少女がぼやいていた
(勉強はしてるのかな?付き合ってあげてみっちり対策するのもいいな、一緒に)
色彩がない暗い部屋によく見たら少し見えるだけの赤が見えた
(やっぱり暖かったな。顔とか大丈夫だったかな?)
破顔してないだろうか、だらしない笑顔を見せていないか。そんな思いが過る
(だめだな〜、私。幸せすぎるよ)
暗い部屋の赤はトマトよりも鮮明に赤くなっていった
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