第17話
変な噂が流れた次の日。
この学校にも慣れてきたであろうひより先生がホームルームで報告があるとのことだ
「皆さん。重大な発表があります」
変な雰囲気が漂う。なんだこの重苦しい空気
別にそんな緊張することでもないんだろうなー
そんな誰もが固唾をのんでいると—
「—定期テストの時間です」
チーンッと静まり返る教室。と、次の瞬間ドッと笑い声が飛び交う。
「先生それそんなガチトーンで言う事なんですか?」
「そうですよっ。心配して損したじゃないですか」
笑うことを抑えられないというように言葉を続ける生徒たち
一瞬、『テストなんかクソくらえー』な発言かとおもったが—
「僕たち、普段から勉強してるんですよ?」
「そうそ、対策もバッチリだし!」
なんとその真逆だった。みんな不良なのかと思うてたらな、みな真面目なったんじゃよ。いや~感心感心。
(マッッズーイーーー!!!)
勉強?そんなの入学してから一度もやってないですね
「そうですよね。先生、テストが1週間前だってこと皆さんに一応お伝えしようとしたんですけど、徒労でしたね」
ん?1週間前?何が?
—テストだよっ!
ハッ!心の中のもう一人の俺が出てきてしまった!
(忘れてましたすいませんっ!!)
絶望のままホームルームが終了した
ーーーーーーーー
「なあ、裕太今日一緒に帰らないか?」
「悪い、翼。俺少し学校に残るわ」
「?そうか。じゃ、またなっ」
「はいはい、またな」
翼を見送ったあと、閃光の如く素早く身支度を済ませて図書室に行く
(今は!今は一刻も早く勉強をしなくては!)
はやる気持つもあるが、ここは冷静に廊下を歩いていき、そ~っと図書室の扉を開けた
(どうしよう、なんの科目からやろう?最初は暗記系からだろうか?)
「—あれ、坂本くんじゃない」
「えっ」
反射で体をビクッとしてしまった
そこにいたのは孤高に図書室で一人勉強会をしている橘さんがいた。
「ああ、橘さんも勉強してるの?」
「ええ、そうよ」
なんか気まずい。橘さんと喋っていると妙に落ち着かない
「じゃっ、橘さんも勉強頑張って」
ここは早く逃げるが吉。さっさと退散しよう
「えっ?一緒に勉強しに来たんじゃないの?」
何を言ってるんだろうかこの子は?
目を少し丸めながら首を傾げている橘さん。なんでそうなったん?
「いや、そういうわけじゃない」
「そ、そうなの?」
ちょっと残念がるんじゃない!いたたまれないだろそんな顔されると
—周りに人いないよな。ここで断ると友達認定されなくなりそうだし、最も近くでラブコメを見たいという目標は潰える可能性が出てくるかもしれないしでてこないかもしれない
「いやいや冗談だ。ホントは図書室に入ってく橘さんを見かけたから様子を見たかったんだ」
「ふ~ん。そうなんだ」
おいなんだその勝ち誇ったような顔。なぜそんな表情豊かだし
「はーっ、しょうがないわね。いいわ一緒に勉強しましょ」
「あ、ああ分かった」
それから数分言葉はなかった。だが、思いの外最初のような気まずさはなくなった。これが、溢れ出るカリスマ?
「(ここの数式なんだったかな)」
「何処か分からないところでもあるのかしら?」
おっと、つい声が漏れてしまっていたようだ
「ん、まあそうだな」
「どれ、ちょっと見せて」
「ああ、ハイ」
「ありがと。これはコツさえ掴めばすんなり解ける問題よ、教えてあげるからちょっとこっち来て」
「ああ、ハイ」
すんごく懇切丁寧に教えられた。
もう完璧にマスターしたんじゃないだろうか?
そこで意欲が湧いてもう一踏ん張りしようと思った。橘さんの隣で
席移動しよ。胃が痛くなってきた
「ありゃ、消しゴム落としちゃった」
はよ、ひろわんと。
(いっこい、承知之助のドンブラコ)
—あ、あった。ふう、ミッションコンプリート。
後は席にもどっ·····もど···
俺が消しゴムを拾って顔を上げてしまったからなのだろう。
そこには視界いっぱいに広がる
神秘的な純白な一つの布があった
(そっか、しろかー)
「遅いわね、そんなに消しゴム見つからない?」
上から怪訝そうな声が聞こえてきて、ハッと我に返る。いかんいかん、思考停止していた。
頭を振り、気を取り直し椅子に戻ろうとしたら—
そこには恥ずかしく顔を真っ赤にしながらも、鬼のようにを強張らせている顔が目の前にあった
(ホラゲより怖いんだが)
顔面蒼白も蒼白。冷や汗がドッと身体中に流れる
「何か遺言は?」
「ハハッ。ボクは何もわるく—」
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