第11話

「えっ!?坂本くん?」


床に倒れながら素っ頓狂な声を上げる


「や、やあ橘さん」


かく言う俺も結構動揺している

何でここに橘さんがいるんだ!?


「とりあえず、別のところに移動しよう」

「え、えぇそうね」


とりあえずスタジオ内のあまり人通りのないベンチで向かい合って座った


「あ、あの橘さんはなぜ故こんなところに?」

「別に、あなたには関係ないでしょ」


辛辣に突き放された


「もしかして橘さんもアイドル好き?」

「!」


体をビクンッ、とする。

いや、図星かよ


「な、何か悪い」


頬を少し赤くしながら腕を組む


「別にいいじゃない。学校でストレス溜まってるもの」


ああ、友達いないしね


「なんか、失礼なこと考えてる?」

「ソンナコトナイヨ」


すぐさま即答する


「本当に?」

「本当だよ」

「それより、私がなんでここにいるのって話をしてたわよね」

「左様です」

「わたし、アイドル、好きなの」


いやまあ、そんなんだろうと思ったよ


「別に偏見とかはないよ。現に俺も推してるし」

「へえー、でもこれを前にしてもそんなこと言えるかしら?」


雰囲気が変わった。

そして、橘さんはゆっくりと懐かあいるものを出した


「それは?」


俺の身近なものだが、あえて聞いてみる


「これは会員になるともらえるカードよ、これがいるといろいろな恩恵があるの。まさかそれすらもなかってなかった」


挑発するような、勝ち誇ったような表情をする

さらに、「そして、」と続いていう


「この会員カードの番号はNo.0001000。つまり、私は1000番目に登録した結構すごいものを持っているのよ

それも、ナンバーが一万以下の人たちのカードは銀なの」


そしてドヤる。圧倒的ドヤ顔だ。

背景に『ドヤヤヤーン』とつくくらいには


1000番目か。結構すごいな、国内でも6百万というファンを抱えているアイドルの会員で1000番目とはなかなかの古参なのだろう


—だが、ここで凄いすごいと言って、引き下がってはオタクが廃るというもの。

心の中で呟きながらスッと、俺も少しばかり特殊な会員カードを掲げる。

さあ、橘さん。いざ、尋常に勝負!!


「橘さん。」

「なによ?」


俺は不敵に笑う


「これを見てもまだその態度を保っていられるかな?」

「それは何?」

「これはサンムンの会員カードだ」

「それが?金色じゃない。他のアイドルのカードじゃないの?」

「フッ、浅い、浅いよ橘さん」


そう言いながら俺は、何も書かれていない裏面から表面にひるがえす。


「えっ!!!」


そうだろう、そうだろう。

橘さんの顔は今実に面白いことになっている。


「そう、おれは会員No.0000003だからな!!」


表はオタクの宝物も宝物で、5人全員のサインが入っている。

でも、これよりやばいのがあってな、

これは特別中の特別なんだけど。これは顔パスにもなって、場所相応のお金を支払うと当選無しで指名した場所に無条件で入れる。ヤバない?


ちなみに、会員番号一番がみみみさん

二番がアカマルさんだ

やっぱあの人達強いね。

そして、四番がヌコさん、五番がクロマルさんだ


「ま、そういうことだよ。おととい来やがれってこ—てっ!どうしたの!」


なぜだが、めっちゃこっちを睨んでくる

ちょっと言葉きつかったかな?


「か、会員カードがすごいからってそこで終わりじゃないわ!」


声を震わせながら、頑張って抵抗してくる


「ちょっと付き合いなさい!」

「え、それはもっとお互いを知ってから····」

「物品販売!!」

「······ハイ」


茶化すつもりが、怒鳴られた

しかも、ちょっと涙声になっている。

わりぃ、俺○んだ。





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