第9話

「まさか、お隣さんがお兄ちゃんの先生だったんだね」


楓が夕食に手を伸ばしながら言う


「そうだな~、学校で初めて先生と会って既視感あったのはお隣さんだったからか」

「そうそう、先生挨拶してくれたけどお兄ちゃんじゃなくて私が出たもん」

「うっ、そうだな。もう少しはっきり挨拶しとけばよかったよ」


そう言われて、苦虫を噛み潰したような顔になる


「先生も春休み中に引っ越してきたけど、お兄ちゃん春休み中忙がしかったもんね」

「ああ、もっとちゃんと挨拶しとけばよかったよ」


ま、過ぎたことを気にしすぎるのも良くない。そんなことは一旦置いといて。

明日は数少ない趣味の時間だ。今にも騒ぎたい気分だよ。

明日は早いし、今日はさっさと寝よう。




ーーーーーーーー




ピピッピピッピピッピピッ


ん、もう朝か。

あいも変わらずうるさいな。


ん?なんか重いな、あと妙に暑いし


そこで薄っすらと目をあける

楓が俺の腕にしがみつきながら、スースー寝息を吐きながら寝ている。


「ああ、また夢遊病か」


夢遊病—まあ、そんな深刻なやつじゃないけど。ただ、楓は少しばかり幼少期に寝込んでいた時期があり、他の人達より発達が遅れているだけ。

もう少し成長すれば、夢遊病も治るだろう。

朝にこんなことされたら心臓が持たないよ、いっつもこんな感じなんだよな〜。


ベットから身を起こし、楓をベットにねかせる。


起きて少し時間がしてから俺は朝食を作って、食べた。楓の分は作り置きだな。


「行ってきます」


小声でそう言って家をあとにした。





ーーーーーーーーーーー




目の前に5人くらいの人たちが見える

比率としては男性2人、女性2人だ


「みなさん、お待たせしました」


「ん?おお、やっと来たでござるか」

「今日はちょっと遅かったですね」

「こんにちは」


「さかさか氏、やはりアイドルは天使だと思いますか?」


各々違う返事をする


「いや、すいません。それより、早速ライブにいきましょう」


俺の数少ない趣味はアイドルのライブを観ることである



—サンライト☆ムーンライト通称サンムン

高校生から大学生の女の子5人で結成されているグループだ

地下アイドルからデビューして、わずか3年足らずで怒涛の勢いでトップアイドルの仲間入りをした新進気鋭のアイドルだ。

当時、名前のセンスいいな〜って思っていたが、

前のインタビューで『お泊り会の勢いで決めました』だって。感じ方は人それぞれだよね。


「それにしても、感慨深いですな」


歩きながら、涙ぐみながら言う


「それ、あの子達が地下から地上に出てからずっと言ってますね」

「そりゃそうでござるよ。地下の時は親しく接してくれたのでござるからな」


実際、このメンバーはサンムンの超古参勢だから

交流が減ったっていう認識だろう


「ですが、あのメンバーが有名になって良かったと思っているでござる」


腕をアームのように曲げてガッツポーズをし、後方親御面する


「そんなこと言っている間にもうつきましたよ」


ストレート髪の多分この中で一番アイドルがすきな人が言う

「む?そうでしたか」

「じゃ、今日も楽しみましょう!」

「そうですね」


俺も気合入れないとな。

そう思いながら、おもむろに懐から伊達眼鏡を目に装着した。そう、行こうか戦場へ‼

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