第8話

気まずくなりいそいそと帰ろうとした坂本を先生は慌てて引き止めた


(え、なに?もしかして心の声聞かれてた!?)


突然のことでギョッとしていると、


「あの、頭の具合を心配しているのもそうなんですけど、私、まずクラスのみんなと仲良くしたいんです!」


恥ずかしながらそう説明する


「仲良く?」


よくわからず、首を少しかしげる


「はい!仲良くなるのはお相手のことはちゃんと理解しないといけないと思うんです」

「は、はぁ?」


いや、距離の詰め方急すぎないか!?

理解するのは間違ってないけど、それで家に行くってことになるのかぁ?


「私学生時代のときあまりというか友達がいなかったので、教師になって今度こそみんなと仲良くなりたいんです」

「まあそういうことなら?」

「はい、ありがとうございます!」


二パーッと、笑うのであった




ーーーーーーーーー




「準備できたので、早速行きましょう」

「わ、わかりました」


なんでこんなことになったんだろうか

そういえば—


「—先生、そういえば入学したときに個人情報の書類目通しましたよね?」


直後、ギクッ、と顔に出る


「あ、あのですね一応目を通したんですけど

その、一部の生徒の情報を忘れてしまって······」


······一部の生徒と言っているが、多分影が薄かったんだろう


「ささ、そんなことは忘れて行きましょう」


気まずくなって、話を変えた


「方向はどっちですか?」

「あっちです」

「わかりました」


しばらく歩き·····


「どっちですか」

「こっちです」

「あ、私もこっちですよ!」

「そうなんですね?」


またしばらく歩き····


「ここのマンションです」

「そ、そうなんですね〜」


どこかよそよそしい感じで頷く


「どうしたんですか?」

「い、いや~ここ私も住んでるとこだなーと」

「え」


まさかの事実が発見した、そこで····


「あ、お隣さんだ!」


妹の声がしたお隣さん?


「あ、どうもご無沙汰しています」

「こちらこそ~」


買い出しに行っていたのか食材を右手にかかげている


「あれ、なんでお隣さんとお兄ちゃんが一緒にいるわけ?」

「お兄ちゃん?あれもしかして楓さんのお兄さんって坂本さんですか!?」


んん~?つまり····


「担任が俺の家の隣に住んでいるってこと!?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る