第5話  side 橘 律花

私はいつの間にか独りぼっちだった。


私は別に一人になることが特別好きではなかった

一人になりたい時も勿論あるけど、それ以上にみんなと、友達といるのが楽しかった。

だけど、それが続いたのは小学3年生までだった



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それは律花が小3の時の母との会話


「ねぇ!まま!」

「どうしたの、律花」

「あのね、またテストで100点取ったんだ!」

「すごいね律花は、何かご褒美を上げなくちゃね」

「うん、ありがとっ!」


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それは律花が小6後期の時の母との会話


「お母さんただいま、これ塾の模試の結果」

「あっ、律花おかえりなさい。いつもお疲れ様

模試の結果もすごいわね」

「ありがとう。でも、もっと上を目指すから」


それを聞いて律花の母は心配そうな顔になる。


「律花、もう少しで中学受験だからって張り詰めすぎてもだめよ?

お父さんも、受験した方が良いって言ってるだけで、無理してやる必要はないのよ?」

「ううん、大丈夫。無理はしてないよ」

「そっか、じゃあ!いつも頑張ってるご褒美で明日はお休みだし、どこか美味しいところにいきましょう」

「いや、遠慮するよ。今は勉強したいから」



ーーーーーーーーー


それは律花にとって吉報が届いた日だ


「律花、合格おめでとう。難しいところなのによく頑張ったわね」

「うん、ありがとうお母さん。合格できてよかったよ」

「すごいぞ〜!律花、流石俺の自慢の娘だ!」


嬉しそう破顔した男前な髭を持った男が言った。


「お父さんもありがとう。私嬉しいよ」


一人の少女が心の底から声を出した。


「そうだ!お受験も終わったことだし。お祝いで律花の好きな所にいきましょう」

「おおっ!それはいい考えだ」

「律花、なにかリクエストはない?」

「···········」

「律花?」

「·······お母さん、お父さん」


小さい声でどこか気恥ずかしそうに言った。


「私、お母さんとお父さんの子で良かったよ」


そこで、長い間笑顔を見せなかった少女が満面の笑みをを浮かべたのであった。




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それから小学校の卒業式が終わり·······


「律花、いってらっしゃい」

「うん、行ってきます!」


今日は待ちに待った入学式の日だ。

どこか浮ついた足取りで学園に向かうのだった。


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(ふ〜、緊張した)


入学式も終わり律花は自分のクラスの自分の席に座っていた。そこで—


「—ねえ、こんにちは!」


(え?)


そこには快活な笑顔をした少女がいた。


「私早速だけど友達を作りたいんだ!」

「えっ、と?」


そんな元気のいい声に気圧されていた。


(あ、あれ?ど、どうやって話すんだっけ)


長い間勉強がけに時間を費やしていた律花はどうやって人と会話するのか咄嗟に出てこなかった。

そこで律花が言ったのが—


「—ぁ、あの今は一人がいい。ごめん」


それはほぼ無意識にいった言葉だ。


「あー、そうだよね。今はみんな緊張してるよね。ごめんね、一応これからよろしくね」


そこから律花人と会話する機会がどんどんなくなっていった。それが1年二年と続き、

律花の美貌と寡黙さ、どんなイケメンが告白しても、振る姿から学園中では—


—孤高の氷姫と密やかに呼ばれるようになった。



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律花は高校に進学して少しした。

律花は高校進学と共に友達を作りたいと思っていて、何度も脳内でシュミレーションしたが上手くいかない。今は高校でも1人なのかと半分諦めていた。


(さて、今お昼だし学食に行こうかな?ていうか、隣の男の子ぐっすり寝てるな〜。私も寝たい気分だけど、できないしな〜)


そんなことを考えながら学食に行く準備をしていると—


「—こんにちは、橘さん」


(え?)



それが律花(ヒロイン)と裕太(モブ)が初めて会ったときである。

最初は最悪。だが、それも徐々に直せばいい。

それもゆっくりゆっくりと







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